Vol.553 DUCATI 999 2005-03-31

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 先日ドカの999が来ました。
 何をしに来たかというと、エンジンオイルの交換とクラッチの当り調整。
 その他諸々。
 走行は6000Km程度。
 1年前からお話だけはしていたのだ。

FZR:「はじめまして。ザクのようなDUCATIさん」
999:「はじめまして、FZRx」
FZR:「どうしたのですか」
999:「我がマスターからすでにお聞きと思いますが、どう
    も自分は性格が過激すぎるらしい」
FZR:「……確かに。装備が凄いですものね。この国の公道
    を走るにはちょっと勇ましいかも」
999:「日本の道路はとても平滑で自分としては走りやすい
    のですが、速度設定が交通の流れより高い所にある
    ようで、思うように能力を発揮できないのです」
FZR:「……出力も大きいし、先日ご一緒した"04のR1さ
    んも同様のお悩みがあったようです」

 このDUCATIが安定して能力を発揮できる速度は、この国の交通の流れよりもはるかに高い速度が要求される状態なのでした。
 法律を変えるか、オートバイの設定を変えるか……
 せっかくある能力を削ぐのは心苦しいし。
 そう言えばMV AGUSTA F4Sも去年、全く同じ悩みを抱えて来ていた。

オーナー:「999の前に乗っていたSSと比べると、峠道やサ
    ーキットをちょっと走った感じじゃ確かに性能は高
    いんだが、いつも峠で走っているときと同じくらい
    気を張っていないと。……ゆっくり走っているとき
    は今より少しは気を抜きたい」
狸穴:「999でもやっぱ、疲れるの?」
オーナー:「疲れるというよりも、人車共に辛い」
狸穴:「といって、999をダルな状態にするのは忍びなか
    ろう」
オーナー:「ちょっとで良いんだ、楽ができるようにならんかな」

 ということで、乗ってみました。
 第一印象は、今様のオートバイで、車体剛性は途方もなく固くエンジン出力も結構な状態です。
 凄い前傾ポジション。
 エンジンは、しっかり2気筒だねぇ、スロットルの反応が楽しいです。
 曲がってみると、物凄く反応が早い。
 ハンドルバーじゃなくて、アナログ式ジョイスティックが付いていたほうが似合いそう。
 60km/h程度で交差点を曲がると、スロットルにもブレーキにもリーンアングルにも凄く反応してます。で、動きはするもののこの速度域でのG入力が弱すぎるせいか、ちょっと動きが硬い。
 トラクションを掛け始めてから掛かるまでの反応時間は、滅茶苦茶速いです。
 速過ぎてコントロールが対応できず。
 このオートバイは、本当の意味でのナラシがまだ済んでいない感じ。
 FZRで130km/hくらいで降りてくる右カーブも、999だとなんてことない感じ。
 同じカーブでの挙動はR1やMV AGUSTAも似たような印象で、170km/hくらいでも大丈夫な感じ。
 これじゃ、確かに60km/hで走ると辛いねぇ。
 排気量があるので低回転域で走ることもできるかと思うが、MV AGUSTAや999だと、どうしてもギクシャクしてしまう。
 でも996よりは999のほうが全然乗りやすい。
 996は完全にDUCATI味で、999はDUCATIなんだけど日本のオートバイみたいな乗りやすさも持ってます。でも常に一定以上の緊張感は強いられますので、大変。

 この車体を常用しているわけではないので、馴れていないこともあるのですが……確かに人共に辛いです……999は街を流すための設定がまだ甘いのだ。
 デフォルトのままだと、サーキットが棲家……なのは確かです。
 なんせお値段が高いので、すり抜けするのが恐いから低いギアで自動車と共に渋滞にはまっていたら、オーバーヒート気味。つか、オーバーヒートであると表示。
 R1だと、ずっと渋滞にはまっていてもこのようなことは無かったが……
 まだ気温14度くらいだけど、これから夏だし……どうなるんじゃ?
 エンジンからの排熱で、オーバーパンツ越しでも脚が熱いです。

狸穴:「んで、999のエンジンオイルなに入れてるの?」
オーナー:「買ったお店のオイルを2000kmくらいで交換。
    そろそろ交換時期を過ぎてる」
狸穴:「オイルの選択が……合っていないのかも」
オーナー:「お店のメカさんから『どのバイクもコレでやってま
    すし、良いんじゃないですか』といわれているが」
狸穴:「999なのにシフトが渋いし、ヒート気味。そのメ
    カさん、過去にも自分でDUCATI乗ってないで
    しょ」
オーナー:「『DUCATIはイタ車だから日本車のように楽に
    は行かない。だからシフトが渋くても我慢だしヒー
    トも当然』、なんだそうだ」
狸穴:「……もうちょい、いいオイル入れてやったほうが良
    い気がする。確か……純正指定は1Lで4000円
    超えるシェルのアドバンスでしょ。イタ車とか日本
    車というくくりはあまりしないほうが良い気がする
    けど、特殊といってもイイ部類のオートバイだし、
    必要なオイルの性能は確保した方が良いよ」
オーナー:「SSの時はシェル入れていたんだが、今度のは水冷
    だし」
狸穴:「水冷でも、必要なオイルは必要だと思う。ピストン
    リングも薄く硬いものを使っているだろうし」

 ということで、先日まとめ買いしたオイル処理箱にてオイル交換。ホントはフォークオイル換えに、遊びに来たのにね……
 30分ほど冷ましましたが、オイルはかなり熱かったです。
 999に入れられていたオイルは熱を保存してるのか? これじゃ冷めない。
 始動時は逆に固いらしい。
 生温い時のみ、調子が良いとか。
 このエンジンに入っていたオイルは、元から合っていないのだ。
 回転が合っていたにもかかわらず渋かったシフトのことを考えて、TCOVを投入。
 訊いた話じゃ、999のシフトタッチはホンダ並に良いと聴いているのだが……先ほどまで入っていたオイルは熱とせん断ですでに能力を失っていたと思う。
 まぁ、TCOVに入っている添加成分と基油を持ってすれば、シフトタッチや機械音に関しては改善されるだろう。
 ピストンから出ている微かな打音は、このエンジンの場合首振り音というよりもリング音の方かな……コレもかなり抑えられるはず。

 オイルを入換え、3000rpmほどで軽くブリッピングし、一旦エンジンを止めてしばらくしてから油量の確認。
 OK〜
 で、アイドリングさせると機械の音は少し静かになりました。
 前のオイルはヘタっており、ギア歯面での緩衝や潤滑に厳しいものがあったのかも。
 ヘタリが早かったというコトは、能力のあまり高くない添加成分でブーストされていたオイルだったのかなぁ……
 今回は初めてだったのでTCOVをいきなり投入しましたが、この感じだとTCOUBBでもOKな感じです。
 一応、発熱量が半端じゃないエンジン、という伝言があったのでTCOVにしました。
 5w−45と聴いて引いておりましたが、この元油は夏でも5wで充分市販の10wよりも強力な緩衝性と油膜保持をしますのでご安心を。

 あとはEGS−LIMITEDをガソリンタンクから入れてやれば、ピストンリング回りも落着き、燃焼室の熱をもっと外部に排出できるようになるから、完璧>オーナー氏。
 勝つためのレースに使う場合は、またご連絡ください。
 ……専用油脂を作ります。
 それにしても、スロットルの反応が速いエンジンですねぇ。
 クランクシャフト軽そ〜。つか、燃焼室とカムプロフィールでも馬力出しているって感じ。
 ECUの設定も完璧! という感じで凄そうです。
 やるな、イタリアン。
 反面、オイルの性能等にも敏感に反応するエンジンになっているのかも。
 で、試走していただきます。

オーナー:「さっきより……振動が減ってる」
狸穴:「行ってらっしゃい〜」

 後姿をお見送り。
 しかし……なりは小さいけれど、どこから見ても筋肉質な印象のオートバイだなぁ。

FZR:「行っちゃいましたね」
狸穴:「大きさはFZRとそんなに大きく違わなかったねぇ」
FZR:「はい。デザインを含め、迫力はわたくしとは違う世
    界でした」
狸穴:「エンジン形式も会社も国も違うしね。R1はもう少
    しFZRに近いかな」
FZR:「R1さんも凄かったです」
狸穴:「あのエンジンを巧く押さえ込んでいるあの車体、凄
    かったねぇ」

 10分くらいで戻ってくるかと待っていたが、なかなか戻ってこない。
 FZRのリアタイヤを点検していると戻ってきました。
 ヘルメットの中から息で曇ったシールド越しに笑ってます。何か叫んでるけど聴こえません。
 ……良かったのかな?
 ヘルメット外さないと、なにを言ってるか聴こえないよ。

オーナー:「なにコレ!」
狸穴:「凄いでしょ」
オーナー:「さっきまでのオイルは……」
狸穴:「余程、嫌いだったんだよ」
999:「コレで本来の性能が発揮できます。いくらでも回り
    ます、という感じ」
狸穴:「うるさいから、ここじゃ余り回さないでね」
オーナー:「向こうの真直ぐの道で7000rpmまで回してみ
    たけれど、振動が増えなかった。トルクが凄い」
狸穴:「これからエンジン細部でこのオイルが能力発揮し始
    めるから、もう少し良くなると思う。この元油、持
    ちも良いよ。でも一応、3000kmくらいで換え
    てね。出力の安定だよ」
オーナー:「んで、お約束のエンジンブレーキ、減った。まだ良
    くなるの?」
狸穴:「なる。たぶん1500kmくらいまで少しづつなり
    続ける。ソコから先は安定」
オーナー:「思いっきり回してぇー!」
狸穴:「まだだめ。金属表面の油膜が今までのモノと入れ替
    わってエンジンに馴染むまで、せめて次の燃料給油
    分くらい走ってからが吉。あとはEGS−LIMI
    TEDという燃焼室に作用するものがあるから、そ
    れもいずれ使ってみたらよい」
オーナー:「なんですか? それは」
狸穴:「あとで帰ってからページを見て。最近暖かくなって
    皆がオートバイを引きずり出して乗り始めたみたい
    で、在庫が急に全部はけちゃったので今日はお渡し
    できない。使ってみれば判ります」
オーナー:「ふーん。このオイルと対か?」
狸穴:「だね。燃焼室とそれ以外で分けているから、そう考
   えても良いかも。塩素とか硬い粒子等の厄介なものは、
    入ってないからご安心を」

 ひととおり、お約束の反応をしていただきました。
 フォークオイルはココでは換えられないから、自分でやって戴くことにして、お渡し。
 梱包も配送もしなくて済みました。楽。

 それから3日後、フォークオイル量の設定を電話で訊いてきたので翠雨さんのDUCATIのデータを元に、999が使っているオーリンズ・フォーク用に変換してご案内。
 イニシャルは抜き気味で、使用油量を少し大目にいたしました。
 機械的なパーツの交換や設定の変更は一切なし。
 その夜、また電話がかかってきた。

オーナー:「今、箱根からの帰りなんだけど、リアもなんとかな
    るかな」
狸穴:「なるけど、O/Hになるから時間掛かるよ」
オーナー:「どのくらい」
狸穴:「サーキットもそろそろシーズンに入ったから、今だ
    と3週から1ヶ月くらいだと思う」
オーナー:「30キロくらいで走っていてもフロントがゴツゴツ
    しなくなった。ギャップに突っ込んでも、ケツは浮
    かないしラインも変わらない。何でこうなるの?」
狸穴:「……そうなるように、作ってある」
オーナー:「成分なに?」
狸穴:「俺も知らないようにしている。また、それが判って
    も触媒とかその配合比率や順番までは判らない。知
    っても意味がないことなのだ。……自分で作って売
    りたいの?」
オーナー:「……とても、こんなもの作れないよ」
狸穴:「んじゃ、聞いてもしょうがない、でしょ」
オーナー:「だね。エンジンの油温も少し下がった。このエンジ
    ンオイル、油温がぬるくても高くても変わらないね」
狸穴:「面白いでしょ。俺も毎回驚いている」
オーナー:「コレ作った人、オートバイのこと好きで良く知って
    るんだねぇ」
狸穴:「楽になった?」
オーナー:「シフトがとても楽」
狸穴:「なんだか円陣家さんのコマーシャルみたいになって
    きたな。ところで999イイね」
オーナー:「ポジションやアクションや価格は凄いけどね。対価
    を払っても良いと思うものを持っている」
狸穴:「俺もそう思った。ハンドル切れ角はもっと欲しい」
オーナー:「ところで話は変わるが、狸穴氏は、なんでFZR2
    50なの? 同じの買いなよ」
狸穴:「FZR250は生き物みたいで面白いのだ。それに
    そんな高いの、恐くてそのへんに停められない。身
    の丈にも合わん。良いお勉強をさせていただきまし
    た。ありがとう」
オーナー:「そか……そうなんだよね。俺も下駄にZealとか
    FZRの中古、買おうかなぁ」
狸穴:「わはは。せっかく999がいるんだから、もっとい
    ろんな所を走ったら?」
オーナー:「そやな。でも気を使わなくて済むのも欲しい」
狸穴:「んじゃ、買ったら。3万円くらいのセローとか。パ
    ーツがたくさん出ていて面白そうだよ」
オーナー:「え……セロ〜?」
狸穴:「あ、馬鹿にしてると蹴られるぞ。安心してファミレ
    スのPに入れる。新車も良いけど、中古も適当に手
    が掛かって面白い。バラして塗って遊んでも楽しい
    かも」
オーナー:「手が掛かるのは嫌だなぁ……他にはどんなのがある?」
狸穴:「自分で捜す方が良いと思うぞ。近所のオートバイ屋
    さん覗いてみたら」
オーナー:「そか」
狸穴:「なるべく近所で、面倒見の良いお店を捜すと吉」

 ……オートバイが好きなんだねぇ。
 さて、次はリアショックアブソーバーか。
 そのときに前後合わせるかな。
 でもしばらくこのままでいつもと同じ所を走っていただき、リアの要求値を出していただこう。

 街中でも他の交通とリズムを合わさず、1〜3速でゴリゴリ走る方には、デフォのままでもなんとか行けそうですが、ある程度流れに乗って走りたい場合は、やはり脚回りの再設定は、都内の事情に合わせてしてしまった方が楽みたいですね。

 時々、DUCATIのスロットルを少しだけ開けて、ショーファーカーのように走らせようとしている方をお見かけいたしますが、その走り方は似合ってません。
 DUCATIも、その乗られ方は好きじゃないみたいです。
 高いアベレージスピードと、下品になる寸前・でも絶対下品にならない走り方。
 車線変更で、お釣りを出しているなんて許されません。
 この走り方は……乗る人間の性格や幼少期から育成された無意識下での品の良さ、が問われます。
 中途半端に自分を偽ったり、隠そうとする傾向の人にも向きません。
 元気に走ると機関消耗も激しくなりますが、減ったらすぐに直す、を続けて乗るオートバイなのだ。
 極論しちゃうと、普段からクランクケースを自分で割れる程度の技術と時間、を持っていないとDUCATIは楽しくないかも。
 DUCATIは製造メーカの人やShopの人が、一番楽しんでいるオートバイ?
 デザインは優雅なのに厳しいオートバイだなぁ。

オーナー氏+999 FZRx+狸穴

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