Vol.549 服(FZRx) 2005-03-03

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 オートバイに様々なスタイルがあるように、ヒトにもいろいろなスタイルがあるようです。
 わたくしのマスターのお仕事は、女性のヒト用の洋服を撮影する機会が多いようです。
 夏はスタジヲ内も暑くなるので、たまにスタジヲの搬入用扉を開けて撮影しているときもあり、わたくしも外からその現場を眺めさせていただいております。
 色々な形の服を、一人のヒトが何回も着替えて目の前を行き来するので、Pで待っていると拝見できるのでした。
 わたくしたちと違うのは、ひとりのヒトが色々な形状の服を着れることです。
 オートバイは大抵の場合、外観はほぼメーカーが用意した形や色のまま一生を終えることが多いですが、ヒトは一生のうちにたくさんの種類の服を着替えます。
 ヒトの身体は色々な服に対応できるように可動部分が多く、また服の方も着るヒトに合わせてお直しをすることによって、ある程度形状を変えられる機能を持っていたりします。
 種類も非常に多いです。

FZR:「イイなぁ」
狸穴:「FZRもたまには違う形状のカウル、着てみたい?」
FZR:「オートバイのわたくしでは、装着できるカウルの形
    状やサイズにも制限がありますわ」
狸穴:「まぁね。でもその形状をオリジナルで最初から起せ
    ばいかようにもなる」
FZR:「でもマスター、そうなると製作にすごく手間と時間
    と費用がかかりますし、走ると言う機能を阻害する
    形状もあり、ということになってしまいますわ」
狸穴:「だな」
FZR:「それに、わたくしは現在の形状とカラーを気に入っ
    ておりますので、あとはキレイにしていただければ
    充分かと考えます」
狸穴:「ソレはありがたい」

 わたくしと違いヒトの女性は多様な服を着ています。
 男性も色々な服を着ますが、女性の方が少しそのバリエイションに幅があるような感じです。
 また、同じ服をいつも着ているヒトは少ないです。
 わたくしのお友たちのAちゃんもドカ姐さんも、季節に合わせていつも違う服を着ています。
 ただ、オートバイに乗るときのドカ姐さんの外装はスタイリッシュですが、3パタンくらいに落着いているようです。
 冬場のマスターの外装はいつも一定で、なぜか60歳以上のオバ様たちに好印象を戴く熊ジャケットです。
 この傾向が判明し最近では職業意識を超えて、わたくしたちオートバイのことを良く知らない方に対しても『敵意がない』というサインとして着ているとか。
 お坊さんが頭を剃髪されるみたいです。
 他の服も持っているようですがオートバイに乗るには合わず、まず着るコトはありません。

 このようにわたくしが拝見できた過日のマスターのお仕事は、成人女性の服の撮影でした。
 服を売る際に使う写真と言うことで、ファッションフォトと言うカテゴリーに分類されるそうです。
 同様に服を撮った写真でも、商売を意識していないmodeフォトと呼ばれるカテゴリーとは、マスター的には全く違うそうです。
 わたくしには同じ風に見えますが、どちらかと言うとmodeフォトの方が不思議な仕上がりの写真で、マスターはお好きなようです。かつて棲んでいた金星地下の景観を模しているのでしょうか……
 スタジヲで撮影されているときも、モデルさんが完全に静止した状態で撮影したり、動いている時に撮影したりで表現内容が違ってくるのだそうです。
 野外ロケでも静止と動き、は屋内撮影同様扱いが違うそうです。
 オートバイもスタジヲ撮影と野外撮影では、表現内容が変わってきます。
 コレはヒトもオートバイも同じなのかも。

 メイクも目の周りは、3人の全身ショットで引いても影響がすぐ出るそうです。
 細かくて難しいんですね。
 普段から大雑把なマスターは、大丈夫なのでしょうか……
 たまにマスターはメイクさんのところへ行って、たくさん色を使ってお化粧してます。
 といってもマスターの左腕に化粧をして、フィルムやCCDやライトの具合を見るためにしているのですが、メイクさんたちが使うマスターがまだ経験したことのない化粧品をためしているのでした。
 マスターが顔に厚化粧をしている訳ではないのでした。
 ……最近はした方が良いかも。
 わたくしも少し塗って戴きたいです。

 服のデザインは、物理的威力行使や言葉による威圧に代る媒体として発生した部分があるそうです。
 その服をヒトが着て、『自分はこの傾向があるのです』『あたしの仕事は**よ』と言うコトを、言葉や行動を介さなくても、時代性を加味して対峙する者や大衆に一瞬で簡潔に伝える道具だとか。
 その効果が及ぶ領域は、ヒトの精神構造の無意識と言う領域を中心にその近傍への影響を狙っているそうです。
 言葉や物理的力の行使では直接的ですけど、自身は何もしないで同じかそれ以上の効果を上げることができるようです。
 コレとは逆に、『**大学の院生です(でも本当は公安なのだ)』『ラーメン屋のバイトよ(ロスじゃ女優だけど)』と言うのもありだそうです。
 どちらかと言うと後者の方が多そうですね。
 わたくしのマスターはどちらかしら。
 どう見てもフォトグラファーと言うよりも、もうすぐホームレス? ……かも。
 もうチョットちゃんとして下さい。

狸穴:「をい」
FZR:「あ、聴こえてましたか」
狸穴:「減っても修理しないぞ」
FZR:「ごめんなさい」

 マスターの熊JKはある意味、鎧です。やっぱり正体不明でした。
 服には保温機能や緩衝機能があったり、防疫や迷彩機能(光学迷彩は現時点ではまだ売っていないので除きます)を持ったものもあります。
 この他にもヒトの着る服には、皆で同じデザインの服を着る制服と言うカテゴリーがありました。
 制服は同じ組織や仕事に属していると言うことや、違うデザインをしているヒトは敵だと言う意識分けの機能があるようです。
 制服の特殊な使い方もあるようですが……わたくしはあまり経験がないのでよく判りません。
 軍隊や警察では機能のほかに権威や威圧や階級や職域の表現と言う、形像的な機能を持たせているようです。
 元々、服のデザインは寒さや暑さを調整する機能以前に、軍事と言う部分から始まったそうです。
 このジャンルの種類や機能や年代については中尉殿が詳しそうです。
 中世以前の服は現在マスターが研究中です。
 普段着として、カエサルのような服を作って着ることにしたそうです。
 仕様的にあまりお似合いにならないので、もう少し身体のラインを全体的に隠せるようなカタチの服が宜しいかと思いますわ。
 古代ローマの服ではライディングには適しません……このへんはわたくしの言うコトはあまり聞き入れて戴けないので、どなたか……せめてヴァン・ヘルシングさんくらいの年代の服にするように薦めてください。

狸穴:「FZRの外装も一応は制服に近いカテゴリーだけど、
    アメリカーナと言う特殊な色なので仲間からは少し
    浮いてるねぇ」
FZR:「はい。でも、わたくしはヤマハのFZRなのでした」

 色彩も服のディテイルや素材と同じくらい、意識を表す単位になっているようです。
 同じ型紙から作られたTシャツと言う簡素のなモノでも、色や柄によっては重く見えたり軽く見えたり、優しく見えたり不気味に見えたりします。
 外観面積が大きくなるドレスやお振袖では、色の違いは決定的かも。
 わたくしたちでもカウル付きとネイキッドでは色の効果が大きく違います。
 女性のヒトが着る服は面白いですね。
 あるモデルさんは始めジーンズに革のJKで地味にいらしたのに、撮影の時にはお姫様のようになっておりました。
 中のヒトは代わっていないのに、違うヒトのように感じました。
 秋水様やわたくしは、その逆です。

狸穴:「そりゃ、メイクのせいだ」
FZR:「マスター、ここでそんなこと言ってしまって良いの
    ですか。ココをご覧かもしれませんわ」
狸穴:「イイんだ。彼女自身が一番良く判っていることだ。
    このくらいのことで動じる女性じゃない。信頼関係
    もある」
FZR:「でも変えられないところもありましたね。小柄な方
    だったので靴が大きくその時の表情や服やライティ
    ングとは別に、可愛く見えてしまいましたわ」
狸穴:「ソレもあとで変えたのだ」
FZR:「Photoshop……ですか」
狸穴:「んだ」
FZR:「ソレでは嘘をついたコトになるのでは」
狸穴:「まぁ、シミやシワを消したり脚を長く見せたり、ち
    ょっとくらいは嘘つくことだからねぇ。でもアレは
    嘘にならないギリギリ」
FZR:「その服を買われた方は印象が違うと感じるのでは」
狸穴:「大丈夫。頑張ってその服をデザインしたヒトも縫製
    してくれたヒトも買って着てくれるヒトも、全部思
    ったとおりに感じるように最低限だけ処理した」
FZR:「わたくしのコトはそのように撮らないのですか」
狸穴:「FZRはメモフォトで良いのだ。その方がカッコを
    付けて気張らなくていいだろ」
FZR:「言いようですね」
狸穴:「写真屋は、私事でのシャッターは落とさないのだ。
    カメラ任せ」

FZRx+狸穴

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