Vol.545 新タイヤの3 2005-02-12

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 最近、忙しくてあまりFZRに乗っていない。
 件のタイヤは、フロントフォークのイニシャルを7mm加え、突き出し量を5mm減らし、リアショックのイニシャルを2ミリ加え、ステムベアリングの動きに問題が無いことを確認し、タイヤの空気圧を前後共1.7〜3.5キロの間での各組み合わせをためしたに過ぎなかった。
 なので前進しておりません。

 3日振りに乗るFZRで、またこのタイヤに挑戦です。
 CB400SF V3は問題なく呑み込んだこのタイヤ、なぜFZRだと上手く呑み込めないのか……
 GPR100を、もう1セット買ってゴムを少しずづ剥がして内部構造や加硫の際のデータを取りながら、この構造を解析してやろうか……と思ったのだが、とりあえず全てFZRの設定をこのタイヤを入れる前の状態に全て戻し、『タイヤを揉む』コトにした。
 GPR100を入れてから、まだ本格的には揉んでいないのでした。

 タイヤを揉む、ということがどう言うことなのかと申しますと、ありていに言えばタイヤのナラシをするということなのでした。
 タイヤは成形された新品の段階では、型から出たときの状態のままで外部からの大きな力を受けておりません。
 そのため、荷重が掛かっても始めのうちは設計段階で理想としたたわみを履行できない状態でいるのでした。
 FZRよりも車重の大きなCBでは、すぐにこの慣らしが済みますが、CBよりも走行しているはずのFZRでは、まだナラシが済んでいないのかも。と、想定したのでした。

 昔、一時だけパートタイムでフォーミュラーなんていうカテゴリーの自動車に乗っていたときに、これと似たようなことが頻繁にあり、競技に出る前にあらかじめ新品のタイヤをある機械を作ってタイヤを均す、なんてことをしました。
 フォーミュラーも軽いです。
 もちろんその軽さにあわせた専用に造られたタイヤなのですが、1本づつタイヤはそれぞれ製造ムラがあり微妙に違うので、その使用する車体の合わせて1本づつタイヤをエージングする必要があったのでした。
 車体を合わせるよりも各タイヤを均一にあわせた方が、セッティングしやすい、ということなのだ。(手間掛かるけど、この作業をドライバーにやらせるわけには行かないし)
 プロのコックが、いつも同じ味をお客に提供する、という食肉の扱いと同じです。
 フォーミュラーではこのへんのセッティング技術が、予算や結果として大きく現れたのでした。
 昔と違い今はタイヤの製造ムラはそう大きくはないようですが、それでもムラはあるみたいです。

狸穴:「FZRの場合はタイヤを均す機械なんて一々作って
    いられないから、実際に履いた状態でコレと同じこ
    とをやる」
FZR:「どのようにするのですか」
狸穴:「1.2キロまでエア圧を落とした状態で、タイヤに
    負担を掛ける。するとタイヤはたくさんたわんで発
   熱して、一気に中のコードとゴムが動きやすくなる」
FZR:「マスター、せっかくの新品タイヤが劣化しませんか」
狸穴:「多分FZRのGPR100は、このへんが上手く動
    いていないから妙な現象が出ているのだろう、と考
    えに至ったのだ」
FZR:「今まで履いたどのタイヤも、そのようなことはござ
    いませんでしたが」
狸穴:「今回のタイヤだけは、昔のフォーミュラーのタイヤ
    と同じような状況が発生している感じがする。と、
    ポジトロニックブレインの一部とこおろぎ回路が同
    じ意見を言っている」
FZR:「そうなのですか。ではわたくしの方に問題があった
    訳ではないのですね」
狸穴:「んだ」
FZR:「気をつけて下さいね」
狸穴:「応〜」

 で、こう言うコトをするときに便利な閉鎖されたコースです。
 さすがに1.2キロまでエア圧を落とすと非常に乗りにくいです。
 発進時からタイヤの転がり抵抗が大きく、FZRには大きな出力を要求しております。
 久々に低いギアで18000rpmです。
 エア圧が低いのでバンクさせられませんし、踏面の端まで触れさせられません。
 一気筒あたりが小さいFZRでは、タイヤの走行抵抗の重さを非常に感じます。
 車体1.5台分を引き摺って走っているような感じです。
 この状態で5週ほどコースを周回して戻ってくると、タイヤはかなり熱くなっておりました。(水を掛けたら湯気が出るほど)
 一旦戻ってきてすぐにエアを少しだけ入れて、再度2周して冷やします。
 少し乗りやすくなった感じ。
 で、コースでの走行はコレでお終い。
 待機所の端っこに戻って、すぐにFZRの前後輪共に地面から浮かして、バルブの中のムシを抜いて空気を全部抜き1時間ほど掛けて冷えるのを待ちます。
 触って熱い! と感じるほど熱を持ったタイヤをそのまま接地させていると、接地点の部分だけ凹んだカタチで成形してしまうのでした。
 ある程度冷え始めたら、また空気を入れます。
 今度はFZRの車体が要求する前2.0キロ/後2.3キロ。
 完全に冷えるまで、車体は浮かしたままです。
 ホントはこの状態で一晩置きたいのですが、多分コレでナントカなっただろ〜ということで、タイヤを水で洗って表面の融けて変色した部分を板やすりで削り落として終了〜
 で、自走して帰ってきました。

FZR:「マスター! 良いです」
狸穴:「だろ〜、当りだった」
FZR:「タイヤがちょっと軟らかくなった感じですね」
狸穴:「コレでGPR100はFZRxのモノになったのだ」
FZR:「ショックアブソーバーとも良く馴染んでますわ」
狸穴:「だな。こうなるとGPR100のこのコンパウンド、
    効いてくるね〜」
FZR:「凄く良いタイヤになりましたわ!」
狸穴:「FZRの場合、元々軽かったTZR250(3XV)
    のフロントホイールや、3MAのリアホイールを更
    に削って軽くしてあったり、CB400SFよりも
    車重が軽かったりで、このタイヤのナラシに時間が
    掛かったのだ」
FZR:「出力もわたくしは小さいですし。タイヤが要求した
    トラクションをパワーで掛けられなかったこともあ
    りますね」
狸穴:「んだ」

 コレでやっと、このタイヤがFZRにちょうど良い感じになりました。
 走行ラインも今までと同じ乗り方で正確にトレースできます。
 FZRと同じような重量と出力のオートバイで走り方が大人しい人が、コレと同じことを公道でやるとすれば、ナラシ終了に多分1500kmくらい掛かると思います。
 XJR400やCB400SFやSS600クラスなオートバイならば、300Kmくらい走れば、普通にナラシは済んでしまうでしょうが、軽量アンダーパワーな250だとそうも行かないような感じです。
 といっても、デフォなショックアブソーバで1500Kmの慣らしを済ませば済むことなのでしょうけど。
 それだけGPR100というタイヤは、正確に作られているのでした。
 乾燥重量で150kg台のオートバイだと走り方にもよりますが、ナラシ終了に少し長めの時間が掛かってしまうようです。
 さらにFZRxの場合は、前後のシックアブソーバが非常に早く路面からのアタリを全て吸収してしまうので、タイヤに掛かる負担は常態のオートバイよりもはるかに少ないです。
 このため、いつまで経ってもタイヤが新品時の硬いままなのでした。

 今回このような、普通はパンクでもしない限り起こらない高い発熱を、タイヤに加硫されているカーボンやその他のコンパウンドに含有されている物質に加えましたが、どのような影響が出るかは判りませんが、メーカはパンクしたときのことも考えているでしょうし、多分大丈夫でしょう。
 こうしてこのタイヤを自分の脚に合わせて最終調整したFZRxにとっては、BT92よりも扱いやすく、最新型の恩恵に与れるコトになったのでした。
 あとは……前後のショックアブソーバーを細かく合わせる程度かな。
 人間だって買ったばかりの靴のフィッティングは、なかなかピッタリ来ないのだ。
 それと同じことなのでした。
 SRX600+FCRキャブな方にも、とても合いそう。
 
 皆さま、良いですよ〜GPR100。
 お薦めです。
 このタイヤを造ってくれた、ダンロップの中の人に感謝です。

FZR:「ありがとうございます、中の人」

FZRx+狸穴

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