| オートバイに乗るために精神力が大きく必要になる季節になりました。
まぁ、単に寒いだけですけど。
でも今年の冬は非常に暖かいとか。
確かに、近場を動く程度ならばオーバーパンツ鎧を必要としておりません。
FZR:「今年はマスターもあまり『寒い〜』と騒がないです
し、オートバイに乗っている方を見掛けても、寒く
無さそうです」
狸穴:「だな。今まで清貧に稼動したので冬の精霊が、ちょ
っと楽をさせてくれたのだ」
FZR:「マスター、精霊さん達ともお知り合いなのですか」
狸穴:「奴らが現れる前から俺はいるからね……」
FZR:「わたくしも、お会いできるでしょうか」
狸穴:「……会いたいの?」
FZR:「はい。人間用の精霊さんにお会いして、わたくした
ちを紛争に使わないで頂きたいとお願いしたいです」
狸穴:「この国はまだ平和だけど、他の場所じゃ戦争やテロ
行為が続いているもんなぁ」
FZR:「乗り物爆弾にされた自動車は、元々そういうコトを
するために造られた訳ではないのです。その中には、
人間を快適に早く目的地にお連れすることが主な任
務の者もいます」
狸穴:「んじゃ、今度会ったら言っておくよ。でも精霊はお
願いしてもダメなのだ、お願いするのは神様にして
おいた方が良いよ」
FZR:「お願い事は、神様ですか……そう言えばそろそろ、
わたくしたちも神様の所へ行く時期ですね」
狸穴:「今月はXmasのある月か」
FZR:「シスターの所へ行けば、そこに神様もいるのですよ
ね」
狸穴:「確かに。あそこは人間用の神様だ。んじゃ、一つお
願いしてみるか」
FZR:「はい。お願いしてみます」
狸穴:「でも一つの神様だけじゃダメかも。人間は自分用の
神様を作るのが得意だから、全部の神様にお願いし
ないと……大変だぞ」
FZR:「では、全部の神様にお願いできるよう、わたくした
ちも数はいますから、仲間に連絡を取ってみます」
狸穴:「んじゃ、FZRはとりあえず身の回りの神様や精霊
にお願いだ。先週はオタクの聖地であるアキバに行
って来たし……」
FZR:「はい」
そうなのでした。今月は年に一度のミサのお手伝いなのだ。
シスターも内緒で乗っているRGV250ガンマから、スカブーに乗り換えたらしいし。
ガンマは60万で売れ、スカブの新古車を買ってもお釣りが来たとか。
近所に棲んでるヒロシの、BMW R1150とFZR250白青も元気かな……
今年はあの寒いサル型ボディースーツ+トナカイの角じゃ可哀相だから、何か考えておくか。
忘れずに予定を空けておかねば。
都内にある小さな教会が併営する幼稚園の、Xmasイベントをサポートするのでした。
FZR:「で……精神力という、お題はなんですか。また何か
良からぬことをお考えで?」
狸穴:「悪いことじゃないのだ」
FZR:「マスターのことですか」
狸穴:「俺だけのコトじゃないのだ」
FZR:「わたくしにも絡んだことですか」
狸穴:「絡んでるね〜」
FZR:「……実験?」ジッー
狸穴:「違うよ。普通にオートバイに乗っていても、危ない
瞬間とかあるだろ」
FZR:「はい」
狸穴:「その時にどこまで頑張れるか、頑張る力はどこから
来るのか? というお話」
FZR:「わたくしたちはマスター達が頑張っていないと、ダ
メですわ」
狸穴:「そのホンのちょっとの頑張りをどうやって得るか、
ということなのだ」
FZR:「つい最近も、わたくしたちはうしろから来た自動車
に轢かれそうになりました」
狸穴:「あの時、中央分離帯にどこまで寄れたかとか、そう
じゃない時にも曲がっている時にタイヤが滑った際
に、どこまで諦めずにコントロールを続けるかとい
うコトなのだ」
FZR:「ギリギリの時ですね」
狸穴:「んだ。オートバイをコントロールするのは人間やヒ
ューマノイドなので、そのライダーがどこまで頑張
れるか、諦めるかで、結果は大きく変わってくるの
だ」
FZR:「集中力の維持ですか」
狸穴:「まぁ、そんなところ」
オートバイは常にバランスを取って走っていないと倒れます。
この倒れるか倒れないかが、大きな差となるのでした。
オートバイが倒れたという状況になる時間は、状況にも拠よりますが、転倒までの傾斜が始まってから大体0.4〜3秒くらい。
マイナス時間やゼロ時間じゃないのだ。
この短い時間に立て直す努力をするかしないかで、痛かったり痛くなかったり、廃車になったりならなかったり、が決定されるのでした。
その時の速度や路面状況や相手との相対速度にもよりますが、やれるコトはたくさんあるのでした。
スロットルコントロールやシフト操作、ブレーキコントロールや重心の移動、足を使って蹴るというコトも出来ます。
他にも出来ますが、そういう状態になった時に、どこまで頑張るかというコトなのでした。
立ちごけでも、240km/h下での転倒でも、何かしらの時間はあるのだ。
大抵の場合、危険を感じるとその時にすでにコントロールを諦めて、身体を守ることすらしないライダーが多いです。
結果は、大惨事です。
大抵この場合、あとから事故のことを思うとアレも出来たコレも出来た……色々と想定される、生き残りの可能性が考えられます。
あとから考えられるならば、なぜ? その時にやらなかったのか。
ビックリして身体が動かなかったとか、コケると判っていてもコントロールするコトを諦めたとか。
わずか1秒でも、車体の下に身体を挟まないようにするとか、障害物の無い方向へ身体を飛ばすとか、出来ることはあるのでした。
オートバイ自体やタイヤの性能が上がってから、諦める傾向が強くなって来ているようです。(車体の性能が上がっているので、昔より転倒までの時間を稼ぎやすくなっているのに、反比例してます)
昔のオートバイは車体も排気量も出力も小さく、フレームも柔く、タイヤも細く、サスもプアーで、ライダーがコントロールを積極的にしないと、思いどおりに走ってくれませんでした。
最近のオートバイは、細かなコトは全部してくれます。
スクーターは変速までしてくれます。
コレでは、速くは走れるが、ライダーのコントロール・レベルは低くなる。
この、何でもしてくれるコンビニエントな状況を享受し続けていると、オートバイという乗り物の扱い方を、ヒトはいつまで経っても覚えないのでした。
……覚えていても、忘れてしまうヒトもいます。
オートバイの性能が上がり、楽して速い速度を得られる状況が揃い、速度が上がっているときにコントロールを失いかけると、転倒までの反応時間は速度が出ているので短くなります。
んじゃ、どうやってコントロールするための技術を身につけるか……
その方法は千差万別で色々とあります。
昔のヒトはどうやって、そんな頼り無いオートバイで走っていたのか。
今ならば、どうやって当時の状況を得るコトが出来るのか?
解体屋等で排気量の小さい旧車を買ってきて、自分で直して乗るのも吉です。
今ならwebで直し方を知ることができます。
自分でやれば、オートバイのメンテナンススキルやバランスの科学も得られます。
モトクロス車やトライアル車を買って、コースを走るも吉です。
整備されたアスファルト以外のところを走れば、タイヤはいつでも滑っていますから、バランスと操作という基本的な部分は得られます。
速度だってトライアル車になれば80km/hが上限というモノもあります。
(その代わり斜度90度以上の、オーバーハングなんて状況も走破出来ますけど)
斜度30度くらいの短い距離の斜面を斜めに走りながら、上がったり降りたりする、キャンバー走行等は通常のアスファルトでの、加減速やコーナリングする際のコントロール技術をほとんど得られます。
川を越えたり、ロックセクションへ行くのはまだ先の話です。
もっと、厳しくかつ基本的な部分を得たい場合は、自転車です。
自転車〜と馬鹿にしなければ、大怪我しなくて済む確率も高目です。
最近はオフロード用の自転車が、どこでもたくさん安価に売られております。
自転車を使って河原等で練習するのが一番かも。
心肺機能は強化され、バランスを司る小脳の反応精度も上がります。
傾斜の緩い土手をキャンバーで登ってみると、コーナリングでの外脚荷重が判りますし、土手を下れば、適切な前後のブレーキ配分が判ります。
このような練習を繰り返し行うことで、出力の使い方や、ブレーキの使い方や、身体の使い方は小脳に刻みこまれて、いざ必要な時に、とっさに引き出されます。
ヒトのような高等生物が運動を行う時には、小脳だけによる反射と、大脳を経由した反射とのふた通りがあります。
神経学の難解な話になってしまいそうなので、出来るだけ簡単に説明しますが、新しい運動パターンを学習する際には、まずは、ホモサピエンスになって特に進化した大脳皮質による学習となります。
つまり、こうしたら〜こうえなる、これするには〜こうすればよい、手と頭で考えて、それを小脳を経由して末端の筋肉に送る方法です。
一方、小脳だけの反射では、大脳からの指令なしに、勝手に無意識化で反応するので、反射の全行程が短い、つまり反応時間が短縮されることになります。
運動スキルの学習では、最初は、頭で考える「大脳を含めた反射」ですが、反復練習がすすむにつれて、大脳経由は少なくなっていき、「小脳による反射」へと切り替わっていきます。
スポーツや、手技等で、反復練習が必要なのはこのためなのです。
職人芸とは、頭で考えなくても(頭で考えていることを意識しなくても)手や足が勝手に動くのです。
ですから、自転車を使ったこの手の練習は、実際に街等でオートバイに乗っている時に役に立ちます。
ヒトのアタマは10歳で堅くなると言われてますが、最近では成長した脳の「Plastisity」(可逆性、柔軟性)が認められるようになり、成人あるいは高齢者の脳でも、運動スキルを向上出来ることがわかってきています。
ある程度年齢がいっていても、この回路はレベルの差こそあれ、形成できそうです。
何もしないより、256万倍も有為なのでした。
身体が知っているのと、知っていないのとでは、自分の生死を分けるのでした。
参考:(Vol.433)
FZRx+狸穴 |