| 二ヶ月に一度くらい訪問するデザイナーさんが入っている都内中央区のマンションの1階Pに、一年程前から一台のセロー225がいる。
セル式の初期型という感じ。
高校生ぐらいの男の子がフレームのフートレスト回りなどの靴で擦れて、塗装が剥げ錆びた部分をペーパーで磨きながら塗っていたのを何度か目撃。
最初のうちは良く動いているのを不在と言う形で確認していたのだが、去年の11月辺りからいつもその場所に置いてあり、冬を迎え寒くなったから乗らないのかなと思っておりました。
セローのPは雨が入るような場所じゃないので、車体カバーはついておりません。
しばらく振りに来てみるとタンクやシートとキャブが無い。
FZR:「このままでは吸気ポートから埃が入ってしまいますわ」
狸穴:「誰かがパーツを盗んでいったのかなぁ」
吸気ポートを見るとすでに少し埃や動物の毛が少し入っておりました。
このままじゃもっと悪くなるので、FZRがたまたま持参していたガムテープで吸気ポートを塞ぎます。
狸穴:「コレでしばらくは大丈夫だ」
次に来た時にはご本人がおりました。
FZRで来客用の駐車スペースに入ってゆくと、こちらを見ておりました。
セローの所でキャブを付けてます。
直ったのかな。
キャブを手に持ちながらこちらにやってきました。
男子:「こんちは。時々来ている方ですよね」
狸穴:「はい、そうですよ。この上に棲んでいる人の所に来
ているのだ。時々整備しているね、セロー」
男子:「キャブのところのゴムにフタしてくれた?」
狸穴:「あ〜、ゴミ入ると困るだろうから。余計なことした
かな」
男子:「ども、すんません」
狸穴:「……虫が卵産んだり棲んだりしても困るしね」
男子:「げげ……」
狸穴:「奴等はあそこが吸気ポートだってことを知らない」
男子:「そーすね。どーも」
FZRをまじまじ見て。
男子:「このバイク、結構前のっすよね」
狸穴:「1988年だから君のセローと同じくらい。歳も近
いんじゃない?」
男子:「セローは免許取った時におやじに貰ったんっす。で
もちょっと乗ったらぶっ壊れ」
狸穴:「あれも距離走ってるもんね。コレはもっとだけど」
男子:「アレ直さないとダメなんすよ。どうやったら直るか
判ります?」
狸穴:「さて……どこが壊れているか故障箇所から探さない
とねぇ」
男子:「先輩に『キャブ詰ったんじゃね?』って言われたん
すけど、機械全然わかんねーす」
狸穴:「で、そのキャブばらして掃除したんだ」
男子:「中開けたらドロドロでわかんねーから、バイク屋持
っていって中の部品を換えてもらった」
キャブを見せて頂いたところ、外側からはメインノズルとニードルは新品に換えたらしい。
振ってみるとフロートも側に当たらず、動いている様子。
で、キャブを外したはイイがワイヤーの付け方が判らないとのこと。
キャブの両口のサイズは見れば判るが、ワイヤーをどうして良いのか判らんらしい。
適当に教えて工具がプライヤーしかないことに気がついた。
マニホールドのゴム材のヒビも確認。
締結バンドとプラスのドライバーが必要になると言うことを言って、小一時間上にあがる。
所用を済ませて戻ってくると、なんとかキャブは搭載されておりました。
で、ガソリンタンクを付けようとしていたのですが、その前にキャブがドロドロと聞いていたので中を確認。
狸穴:「水が入って錆びている。ゆっくり揺すりながら中を
見てごらん」
男子:「底の方で動いている黒い水みたいのですか?」
狸穴:「んだ。水はガソリンよりも重たいから底にたまり、
触れているところを少しづつ錆びさせる。黒いのが
錆び」
男子:「うげ〜。どうしたらイイんすか」
狸穴:「このままだとまたキャブが汚染されて、ドロドロで
エンジンがパァになる」
男子:「……タンクの交換って高いっすよね」
狸穴:「高いねぇ……さてどうしよう」
男子:「母ちゃんに言って、車でバイク屋に持ってゆくか
……」
狸穴:「んなことしなくたって近所にガソリンスタンドある
じゃん。中のガス全部捨てて新しいガスに入れても
らえよ」
男子:「あ、頭いいっすね!!」
狸穴:「ちょっと前にはマヤでは大頭脳と呼ばれていた」
……???
男子:「……マヤ?」
狸穴:「イイから、はよ行ってこい。ついでにセローだって
言ってオイル交換の交渉もして来る」
お釣とセローのタンクを抱えて戻ってきました。
男子:「洗ってから半分くらい入れてもらいました」
狸穴:「何リッター?」
男子:「8L」
狸穴:「……ほぼ満タンに近いな。自分のオートバイのタン
ク量くらい覚えておいた方が良い」
タンク搭載。
フューエルホースは無事でしたが、負圧ホースがちょっと駄目気味……でもまだ使えそうなので端をちょっとナイフで切って使います。
こういう物は用意が良いようで……携帯してるのね。関心関心。
一応相手に取られて、自分の頭に突き立てられることも考慮せよと進言。
ガスをキャブに送り込んで。
狸穴:「ガスが入っても漏れて来ないね。オートバイ屋さん
のキャブO/Hは正解だったみたい」
男子:「そういえば、前はガソリン漏れてたっす。管理人に
ガソリン臭いから直せって言われていた」
狸穴:「キャブの中の下の方にバルブがあって、そこの錆び
やゴミがちょっとでも引っかかるとガソリン駄々漏
れになって、乗っている君は火達磨」
男子:「ウップス……ヤベーっす!」
狸穴:「確かにヤベーな。さて、掛かるかなぁ」
男子:「これで掛かるっすかね!」(わくわく)
苦労して初めて自分で付けたワイヤーのチョークを引いて、メインスイッチONでセルスタート。
男子:「掛かったっす!」マンセ〜
チョークを戻してアイドリングは高め。
1500rpmくらいに調整。
アイドリング調整の仕方を覚えてもらい、スロットルワイヤーが出先で切れてもアイドリングを少し上げて帰ってこれることも。
前後タイヤとリアパッドが駄目なことも点検。
エンジンはちょっと音が出ていましたが、動いているようです。
狸穴:「良かったねぇ」
男子:「やた〜!! 良かったっす! マヤの人のお陰です」
狸穴:「んで、オイル交換は」
男子:「ガススタのオヤジ、バイクは出来ねーって言ってま
した」
狸穴:「駄目か……んじゃオートバイ屋さんだな。すぐやっ
た方がいいよ。オイル交換のついでに簡単な点検し
てもらえ」
男子:「そーすね」
全部自分で直したのだ。
その後、このセローはオートバイ屋さんとも仲良くなったようで、前後タイヤとインナーチューブとダストブーツとハンドルが新品になり、ミラーはHDが付けているような意匠の物になって時々Pにおります。
最近はお友達のカワサキのモタードやマジェスティと共にいるようです。
排気がオープンエンドのスパトラになったことは母ちゃんには内緒だ。
マニホールドはまだ換わっておりませんでした。
男子 FZRx+狸穴
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