| エンジン換装に引続き、ABSO実験のリアショックユニットもO/Hをしていたので換装。
先日換装したエンジンに使用したクラッチユニットの最深部にある、厚さ1mmの丸ワッシャーを入れ忘れていたのを入れ直し、ついでにリアショックも交換しました。
エンジンのナラシがちょうどサスのナラシにもなるのだ。
ここに来てFZRはエンジンは換装する。リアショックはO/Hする。しばらく前にフォークオイルも交換した等々、全体的にに若返り。
世間的に夏休みの時期で助かった。
ホントはこんなに集中していろいろ換える予定は全然無かったのだが、期せずしてこの手の事象は集中するのか……まぁ、どれも全て自分でやるのでそんなにお金は掛かりませんが、お店に出してやって貰っていたら大変でした。
普段から色々積んで走っているからねぇ……消耗は確かに激しいのだ。
それに今回はエンジンも前回みたいに新造したわけじゃないし、ショックも予定より1万キロ多く走ってしまっていたり。
コレで丁度やらなきゃいけない新たな実験を開始するには、具合の良いリセットされた素のFZRな状況になったのでした。(ん〜、何をするんでしょうねぇ……)
FZR:「クラッチ最深部のワッシャーを入れ忘れてしまった
のですよね」
狸穴:「んだ、すっかり忘れていた」
FZR:「組んじゃってから、よく気がつきましたねぇ」
狸穴:「換装直後の晩に眠っていて、こおろぎ回路が急に気
がついたのだ」
FZR:「マスターは寝ている間も起きているのですね」
狸穴:「用事が無い限り夢をみることは無いが、突然気がつ
いたのだ。こんな風に渡世では救われることもある
のだ」
FZR:「そのワッシャーが入っていなかったらどうなったの
ですか」
狸穴:「瞬時にどうこうなると言うことはないが、クランク
ケースが削れたりする」
FZR:「ソレは大変なことでは?」
狸穴:「だな」
FZR:「すでに200kmほど走ってしまいましたが大丈夫
でしょうか、わたくしの新エンジン様……」
狸穴:「ダメならケース交換かなとも思ったが、そうなる前
に気がついた。確認した状態はまだ大丈夫だった」
FZR:「良かった」
狸穴:「強い負荷はほとんど掛けてなかったからな。全く……
普段はまずやらないケアミスだ。クラッチを組んで
FZRが切札エンジンで出来上がったときに、何か
気に引っ掛かっていたのだ」
せっかくの切札エンジンをこのまま乗っていたら、3000kmくらいですパァにするところでした。
でも気がついて対処したからコレで良いのだ。
O/Hの間に使っていたデフォルトのサスを、上がって来たOHLINSに戻す。
ついでにリアサス回りに使われているリンク機構のブッシュやベアリングも、チェックして洗浄・給脂。
機構的には問題なし。
FZR:「新生OHLINSですね」
狸穴:「んだ。リンク比に合わせてバネもレートを9.6キ
ロから8.2キロに変更し、ダンパーもバネに合わ
せて新実験ABSO RSuw。今回の目論見が当
ればかなり良い状況になる」
FZR:「今までのABSO RSとは違うのですか」
狸穴:「いや、ほとんど同じ。でも成分見直しをして守備範
囲が少しワイドになったのだ」
FZR:「ワイドになると良いことがあるのですか」
狸穴:「そりゃあるよ。OHLINS以外のほとんどのショ
ックにも併用できる。でもABSO RSuwは元
々は4輪用ABSOからの派生でもあるのだ」
FZR:「先程まで使っていたデフォルトサスも一応中はAB
SO化されておりましたが、どんな感じになるか楽
しみですわ」
狸穴:「FZR的には非常に楽になるよ」
FZR:「特に変った部分は?」
狸穴:「ショックの緩衝性が上がり、また摺動するロッドと
シールや中のメタル等へのフローティング効果が高
く潤滑性も倍ほど上がり、オイルによる熱の伝達も
向上」
FZR:「基本的な働きの部分は今までと同じなのですね。そ
れで失った点は」
狸穴:「……ない」
FZR:「物事は何かを得ると、何か失うこともあるとか聞い
ておりますが……」
狸穴:「ん〜ソレが今回は無いのだ。だた、大きな変化とい
うわけじゃなくマイナーチェンジくらいかな。ショ
ックが効き過ぎて柔かく感じられることが嫌いな方
には向かないかも。でも最近の大きいタイヤはショ
ックの動きが固いと性能を発揮できないし……その
程度。ABSOは元々機械屋の考え方とは全く違う、
もっと血液に近い生物学的な構造と機能を持ってい
るから」
FZR:「わたくしは、少しでもフレームへのショックを緩衝
して頂いた方がありがたいです」
狸穴:「後輪はデフォルトよりも接地面積が広くなってるか
ら、路面からのデータも衝撃も多くなってるもんな」
FZR:「はい。でもたまに『ABSOは柔かいからヤダ』と
お聴きすることもありますが」
狸穴:「実は柔かい訳じゃないんだよ。すべてのABSOは
低速では柔かく、負荷が増えると奥では固くなって
いるのだ。セッティングが合っていないか、まだそ
こまでショックの性能を使い切っていないだけか、
機械的に減ったりして精度が落ちている状態でAB
SOを使ったのかも」
FZR:「そうでした。わたくしの前足は常にその様な動き方
をしております」
狸穴:「なので、簡単に『サスが良く動く』と表現している
のだが、良く動けばフレームに懸かる力が緩衝され
て減るかというとそれだけじゃなく、路面やタイヤ
への荷重も角が立たなくなるのだ。結果タイヤも良
く仕事が出来るし接地状態をどのような時にも一定
に保てるから性能を発揮しやすくなる。またもう少
し考えを突っ込むと、その動きはタイヤのライフが
長くなったりタイヤを構成する材料や構造も軽く出
来たりするし、タイヤの発熱までコントロールでき
る」
FZR:「バネ下の重量軽減は、バネ上の10倍に比例して影
響するとか云われますものね」
狸穴:「そだよ。何かを踏んでもソレに反発して押し返して
しまってはサスにならない。そんなサスはリジット
バーと同じだ」
FZR:「今回一時的にデフォルトのサスに戻りましたが、O
HLINSとは全く違いました。重たく感じました
わ」
狸穴:「ソレがデフォルトのショックの限界なのだ。一応F
ZRのデフォサスはABSO化しているけれど内部
構造的にはその辺りが限界。それでも素のデフォル
トショックよりは数層倍良くなっているんだけどね」
FZR:「大きな交差点を60km/hくらいで通過した際に、
リアを大きな手に捕まれて車体ごと振られた様な感
じになったことがありました」
狸穴:「銀座4丁目の交差でだろ……アレはリアのショック
が構造的にその速度には反応し切れなかったのだ。
一番の問題は一旦圧されたショックが、次に伸びる
時の伸び側減衰の立ち上がりの掛かり方で一瞬減衰
が効かない状態になることと、そのタイミングのズ
レが原因」
FZR:「ちょと難しくなってきて、理解し難いです」
狸穴:「サスが伸び始める反転時の瞬間にダンパーの動作が
精度の甘さを逃がすため、一瞬唐突になるのだ。ソ
レを上手く処理するにはOHLINSと同じ内部機
構と工作精度が要求される」
FZR:「カタン、ってなってからあとはダンパーは伸びきる
まで一定な感じでした。そして緩衝しきる前にまた
圧縮されてしまう……の繰り返し」
狸穴:「あの交差点も段差があるし、交通量が多いからわだ
ちもあるからね」
FZR:「マスターが両方の踵で、わたくしのヒールプレート
を強く挟まなかったら転んでいたかも」
狸穴:「んなこた無いと思うけど。安全のために安定させる
にはFZRを踵で挟むのが一番手っ取り早かったの
だ」
FZR:「今度のABSO−insideなOHLINSでは
どうですか」
狸穴:「そりゃ、付けて走ってみないと何とも言えない。ま
だ判らないよ。まずは現状のフロント周りに合わせ
て調整してみるかなぁ……」
FZR:「そうですね、走ってみないと判りませんでした」
そうこうしている内に取付完了。
ショックのO/Hの際に各バルブやシールを新品に交換しているし、ロッドも再研磨しているので、ロッドに少量のABSO FRIENDを塗布。
メッキ面は電子顕微鏡で拡大して見ると細かなヒビが無数に入っていたり穴があったり、メッキ層も厚さは一定ではありません。
それらの隙間に水分が入ればメッキ層下の母材が錆びて、鋼並に固い切片の鋭いメッキ片を浮かせ……このために専用に造られたFRIENDがその隙間に入りながら反転時初期のダストシールやオイルシールの引っ掛かりを滑らかにしながらシールのゴム材も潤滑保護するのでした。
少量を極めて薄く塗布。垂れるほど塗りません。インナーチューブの摺動面に良く伸ばします。
クラッチも直ってリアショックの換装も済んだので外装を全て付け、FZRの前シートの前端を数回上から押し込んで前後のショックのストロークタイミングをあっしの設定に合っているか様子を診ます。
リアショックの新しい8.2キロのバネはドンピシャ合っていました。
10ミリのイニシャルを掛けておりますがコレでOKな感じ。
先日までの9.6キロのバネの場合は、イニシャルをほとんど掛けられず3ミリくらいでした。
奥で固くなるのには変りありませんが、9.6キロのバネでは設定の幅が少なくイニシアルを強く掛けられなかったのだ。
8.2キロのバネはFZRのリンク比と適合しました。
……で、走ってみます。
折しも雨が降り始め……いきなり雨天テストになってしまいました。
雨でタイヤのグリップは落ちますが、その状態でもどれだけタイヤを地面に上手く安定させて押し付けていられるのか……サスはどんな状況でも、タイヤの性能を最大限に引き出せるようになっていなければならないのだ。
20km/h位でソロソロ走ってみます。
FZR:「わァ……やはり違います、OHLINSですわ〜。
リアタイヤが路面の凹凸を踏んでもライトが上下に
ほとんど振れません」
狸穴:「だろ、この速度域でも充分な接地感があり、車体半
分を左右に寄せるような動きでもそれが充分に判る。
初期の動きが正確で良いのだ」
FZR:「安定は増えたのですが同時にリーンが軽くなった感
じもします」
狸穴:「この感じが高い速度域でも変らないとイイね」
FZR:「はい。O/HとABSOinsideは効果絶大です」
狸穴:「俺の方も角のある震動が来ないし、リアタイヤのス
リップがほとんど起きないから疲れないよ」
FZR:「減速/停止も安定してますわ」
リアショックのコンディションが保たれていると言うことは、これほど大きな影響となるのでした。
60km/hまで上げてみます。
FZR:「あまりに落着き過ぎて40km/h位にしか感じま
せんね……」
狸穴:「猫脚だ。安定してるねぇ、良く切れるプロの髪結い
さんの鋏みたい」
FZR:「交差点のわだちを斜めに通過しても全部処理してま
す」
狸穴:「路面に振られてグラグラしないから、バネの設定も
ほぼ合っているかも。サーキットだとコレをもう8
mmイニシャル押し込めばリアダンパーはこのまま
でも合うな」
FZR:「この速度でたまに出ていたコーナリング時のチャタ
もピッチングも全部おさまりました」
狸穴:「楽だろ〜」
FZR:「はい。タイヤが120幅だった時のデフォルト・サ
ス時にもコレは無理でした」
狸穴:「他にもサスはたくさんあれど、セッティングを合わ
せて来た時のこのへんがOHLINSの凄いところ
なのだ」
FZR:「前後輪と言わず車体全体がぴたりと路面に貼りつい
てコーナリングもon the railと言う感
じです。O/Hも効きますね」
ちょっと高速道路に乗って、100km/h付近まで。
狸穴:「車線変更も楽だ」
FZR:「雨天なので脚元を探りながら進入しましたが、高速
入路のループしている少し荒れた所も、車体はかな
り深くバンクしているのにバタつきませんでした」
狸穴:「過渡特性も良くなった。スリップアングルを最小限
に留めながらでも回頭してくれるし、その状況下で
も微妙にアンダー・オーバーステアをコントロール
出来た。いろいろやった価値があったかな。前後の
バランスも取れている」
FZR:「はい。でもこのオイル、普通のABSO RSとほ
ぼ同じなのでしょう」
狸穴:「だよ。現行のと成分は大体同じ。配合比率が少し違
うだけ」
FZR:「皆様のOHLINSもABSO化すればこうなるの
ですか」
狸穴:「なるねぇ。もっと大きなオートバイだと車重も出力
も大きいから、更に効果は大きい」
FZR:「専用設定の無い車体が、デフォルトだった頃のわた
くしと同じFZR250等の場合は残念ですね」
狸穴:「でもなさそう。さっきまで付けていたデフォサスを
良く測ってみたらどうやらOHLINS造れる可能
性ありみたいだった。だから作ろうと思えば造れそ
う。まぁ車種によっては細かな部分は、実際に装着
して走行実験してみないと判らないけれど」
FZR:「でしたら3HX系と3LN系はリンクの形式上はO
HLINSの装着は可能なのですか」
狸穴:「こちらから製作の際に細かく指示を出せば、基本的
にはウチの仕様と同じでone offで製作可能
だと思うよ。車体をジャッキアップしてリンクを全
部外してしまえばFZRのリアショックの着脱はそ
れほど難しくはない。FZR商店に専用OHLIN
Sもラインナップしたら?」
FZR:「特に車体がデルタボックスなアルミでスイングアー
ムも剛性が高い3LN系では、わたくしよりも大き
く反映されますね。お客様からお声掛りがあれば考
慮致します」
狸穴:「多分そうだな。TT900とかのタイヤを履いて前
後脚回りをタイヤに合わせれば相当改善されるだろ
う」
FZR:「あとのネックは価格と手間ですね」
狸穴:「そのへんはどこまでやるか各人の考え方次第だ。ダ
メだって言っても……やる奴はやる」
FZR:「音を大きくする改造とかをするよりも、脚を合わせ
る方が安全率を上げられて低速から効きますから有
効かもですわ」
狸穴:「FZR250は排気量小さいし出力も小さいからね。
脚回りを合わせたりロスを減らしたほうが乗りやす
くて面白いかも」
FZRx+狸穴
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