Vol.507 SRX−6 2004-08-14

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 FZRのエンジン再換装時にお手伝いに来てくれたのが、き〜氏のSRX6002本サスだったのだ。
 その間、FZRはガレージに3日ほど逗留。
 おりしも世の中は夏のバカンスという事で皆さんお休みらしく、あっしの仕事もFZRの仕事も普段より静かだったので助かりました。

 予定では、FZRに積んだ3LN1エンジンの偏芯していたロータを外して、ソレとは別に持ち込んだ切札エンジンのロータに入れ替えるだけの作業の予定だったのだが、ロータの互換性が無いことが判った。
 ならば、旧エンジンに戻すより切札エンジンに換装したほうが早い、ということになり急遽パーツをかき集めたり、以前失敗したアシストジェットを付ける加工をした3HXのキャブを手直ししてそれらの部品を集めに動いたり、乙女回路のプログラムを書換えたりするのに動かなければならなかったので、1J系のSRX600をお借りしたのでした。
 FZRが無いとお仕事の打ち合わせや、《弐號》のところへ行ったりHDの所へ行ったりするのに(週に1〜2日は行っているのでした)色々と支障を来たすことがたくさんあるので、FZRのエンジン換装に使える時間は、世間様がバカンスのココ5日間くらいなのだ。
 その間にやっつけでも、カタをつけなきゃならんのでした。
 SRXはガレージとアジトAの移動を主たる任務とします。

狸穴:「しばらくの間、よろしくね」
SRX:「FZRのように大量の荷は積めませんが、き〜氏か
    ら一応教育は受けておりますのでお役に立てると思
    います」
狸穴:「んじゃ、FZRは数日ガレージに逗留だな……」
FZR:「はい。おとなしくお待ちしております。世間は夏期
    休暇期間ですから、普段自動車に乗らない方もたく
    さん出ますし、道に慣れていない他県の車輌も増え
    ますのでお気をつけて」
狸穴:「了解」

 ということで、あっしはしばらくSRXの1J乗りになってしまいました。
 SRXが発売された当時、すぐに試乗車として卸して毎週伊豆スカイラインとかで乗っておりました。
 その頃の感覚が戻ってきそうです。
 元々このSRXというオートバイが一番好きなのでした。
 エンジン性格はFZRとはほぼ正反対かも。
 単気筒で600ccを超えており、始動はキックのみ(後にセル憑きモノサスのSRXも出ました)。
 今回手伝いに来てくれたこのSRXは、一連の武装はされておます。
 前サスはABSO+イニシャル調整、そしてFZRにも入っている思想で造られたアンダーブラケットを装備。
 後サスはOHLINS+アルミスイングアーム化。
 エンジンはほぼデフォルトで、排気はヨシムラサンパー+スーパートラップのベリーショート管。
 ホイールは前後18インチの初期型のものにBT45を履きます。
 細かく手が入っておりますが、基本的なSRXからは全く外れておりません。
 あっしにとってはある意味、コレに乗っちまうとFZRに戻った時に困る個体なのでした。
 元々あっしの走行タイミングはこの型のSRXに合っているのでした。
 余分なものは一切持たず考えず何も気負うことも無く、本来オートバイはコレだけあれば良いと言うのをカタチにしたらこうなったと言うスポーツシングルなのでした。
 特筆する要素は何も持っていないけれど、同時に全て持っているのがSRXなのでした。
 男性的であり女性的であり雌雄同体。超ひも理論の閉じた紐と開いた紐、道教の大全の要素も持っていたり。

 内から見ても外から見ても、ある程度SRXとして完成している形なのでした。
 コレはあの時代のヤマハにしか作れません。
 いまのヤマハや他のメーカでもSRXは創れないのでした。
 んじゃ、何故オマエはSRXに乗っていないのか? と言われると……返答に窮します。
 SRXを所有したら次に乗るオートバイが無くなってしまうかも知れないというのが、理由と言えば理由かも。
 ……ホントはそんなこと無いと思いますけどね。
 的を射た鍛え方をされたSRXというオートバイは、悩ましいオートバイなのだ。
 なので近寄りたくても近寄れません。危険過ぎです。
 ……コレは妖刀なのでした。
 どれだけ自分を鍛えても常に「あと一歩」の間合いをSRXは持っており、自分と同じ時空間で並ぶことはない諸行無常な乗り物なのだ。
 見切った気になっても、ソレは次の瞬間にはまだ見切っていないコトを知らされるのでした。

 そんなSRXでも、持ち主が自分を鍛えるコトを止めたりメンテをサボれば、錆て朽ちます。
 オーナー自身を含めて、鍛えて磨けば際限なく光ります。
『禅』のやうなSRX(1J)なのでした。
 どんな形にしても全てを飲込んでしまい、次の刻(時)には『凄い』というところが無いのでした。
 気に入らない部品(異物)を付ければ自ら排除しに掛かります。
 恐いでしょ〜、SRX。
『すべて』をオーナーに『直接』求めてくるのが1J系のSRXなのでした。

 当家のFZRxはSRXを追いかけさせました。
 そのための内部は、ほぼ単品製作に近い旧エンジンであり、脚回りであり乙女回路なのでした。
 まぁ性格が離れすぎているので、追い憑くことは出来ません。
 それらを統合昇華させているのが《弐號》。
 大系の違う04/R1やアグスタからも様々な動きを得ています。
 亜……ちょっと噺がズレて来た。

 と言う訳で、SRX乗りに一時的になっていたのでした。
 スロットルに一切触れずにキックをストンと落とします。
 静かにアイドリングを開始。

狸穴:「掛かりも良いね。キックでも」
SRX:「そのように躾られております」
狸穴:「……怖い奴だな」
SRX:「そうでもないですよ」
狸穴:「打てば響くだけか」

 ある意味、危険なオートバイでした。
 面白いですよ。600ccを超えたあたりのビッグシングルは。
 何も持っていないけれど、全て持っているのでした。

SRX−6 FZRx+狸穴

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