| エンジンが新しくなるのでした。
オートバイではエンジンの存在が結構、大きなウエイトを占めております。
車体とエンジンのその比率は50:50くらい。
FZR:「その台車に乗っているのがわたくしの新しいエンジ
ン様ですね」
狸穴:「んだ。やっと完成したのだ」
FZR:「やっとと言っても……ほとんどデフォルトの3LN
−1エンジン様のようですが」
狸穴:「確かに……《弐號》のエンジンや《秋水號》やFZ
R600xxのエンジンと比べれば、コレはクラン
クシャフトの軽量化と動的バランス、ピストンとコ
ンロッドの重量あわせと僅かながらの圧縮比上昇……
その他細々くらいだな」
FZR:「排気量も下がってしまいましたわ」
狸穴:「FZRは今のエンジンが好きか」
FZR:「はい。今の車体は現エンジンの出力特性とマスター
の乗り方に合っております」
狸穴:「だな」
FZR:「新エンジンではそれらを全部セッティングし直しに
なりますし……時間も掛かりますわ」
狸穴:「まぁ、ナラシもかねてまた始めからFZRxの作り
直しだ」
FZR:「大丈夫でしょうか……OHLINSさんも新実験に
向けて現在調整中ですし……となると脚回りも前後
同時に設定更新となりますわ。それをこのエンジン
に合わせていくとなると……」
狸穴:「そだねぇ……これでFZRに始めからついていたパ
ーツは、フレームと外装だけになってしまった」
FZR:「250の鉄フレームなわたくしと同じ車体で、そこ
までやっている方は他にいないのでは……」
狸穴:「だなぁ……でも地球のどこかには、きっといるよ。
多分」
現エンジンの最後に、数秒だけ始動してみます。
一瞬のセルののちにヒュ〜ンと調子良く掛かりました。
始動後すぐにアイドリングも安定。
調整が取れているということはこう言う状態を言うのだ。
で、エンジン停止。
コレがこのエンジンの一応の終焉です。
このエンジンはこれから車体より下ろされ、一度清掃・解体されて各部の採寸をされて減っている部分は復元し、今までの数々の実験データを回収することになるのでした。
これらのデータは今後の当方で扱う範囲の円陣家至高さんの製品に反映されたり、現在長期製作中(セミ・オートマ実験)の《弐號》や、FZR600xxやR1/04や銀河號や、《秋水號》の一部機関、まだ見ぬ色々なオートバイや自動車に反映されるのでした。
長距離実験は物凄い量のLIVEなデータを蓄積できるのでした。
今回の換装で仮にFZRの新エンジンが駄目な場合は、すぐにこの現エンジンを再生して積むか、間に合わなければ最後の切り札であるサンタさんから頂いた第一予備エンジン(調整済み)に換装となるのでした。
狸穴:「んじゃ、エンジンを降ろす」
FZR:「はい。術式開始ですね」
狸穴:「んだ」
FZR:「さようなら。旧エンジン様……ありがとうございまし
た」
FZRの外装を全て降ろして、バッテリーも燃料タンクもキャブも降ろします。
で、水を抜いて冷却ホースを外して水とオイルも抜いて配線もパージして……エンジンは下りました。
水にもオイルにも異常は認められませんでした。
10万km、お疲れさまです。
FZR:「今、敵が来たらわたくしは骨だけですから敵からは
見えませんね」
狸穴:「なに言ってるんだか……今日は暑いねぇ」
FZR:「現在気温は34度です」
狸穴:「ジッとしていても汗が流れてくるのに天日でエンジ
ン換装か……これぞ滝汗だ」
FZR:「ついでに無風状態ですわ。熱中症に気を付けてくだ
さい」
狸穴:「今日は降ろした所で止めようか……」
FZR:「そんなぁ〜」
狸穴:「んじゃ、ベトナムで買ってきたスゲ笠かぶって、新
エンジンを積む所まではやるか」
FZR:「はい。頑張ってください。わたくしとしてもお腹の
中が空っぽでは落ち着きません」
狸穴:「そか」
軽くてコンパクトに出来ているエンジンなれど、さすがに4気筒です。かなり重いです。
さらにこのエンジン、一応一度テストのためにベンチで回したので組んでしまっているのでした。
腰上だけバラしてある状態ならば軽いのだが……エンジンコンプリートだと怒エラク重いです。
でもなんとか再バラせずに積めました。
配線繋いで配管して……換装終了〜
ちょっとセルを回してみます。
が……凄く重い。何が起きているのかな???
すぐにバッテリーが上がりました。
現在FZRが使っているバッテリーは、ホーカーバッテリーといって2.5Ahしかないのだ。
テストベンチで回した時に繋いだバッテリーはミドルタワーのパソコン筐体くらいあるクレーン車用なバッテリー。全然パワーも容量も違うのでした。
使用した燃料もオクタン価不明の燃料を100cc、120オクタンを100cc、110オクタンを100cc。
100オクタン品は燃料入れ替えるの面倒になったのでやらなかった。
点火時期を結構ずらしてもノックしておりませんでした〜
元エンジンは圧縮下げてたし、今度のエンジンは圧縮上がってるし……コレも影響大だったかも。
FZR:「掛かりませんねぇ」
狸穴:「困ったねぇ……15秒くらいのクランキングでバッ
テリー上がったよ。でも凄い吸い込みだった。こり
ゃ、流速上がるから吸気系のセッティングはかなり
変るかも」
で、結局スタットを注意しながら少しずつ緩め、ヘッドの歪みを発生させないようにして腰上を外してピストンヘッドをちょっとだけバランスを崩さないように削りました。
圧縮あり過ぎたのだ。
吹き返しが酷いと燃費悪くなるし、ちょっと低めの圧縮の方が機関温度も下がるし燃費も稼げるし、良いのだ。
FZR:「済みませんねぇ」
狸穴:「ヤムヲエン」
ということでバッテリーをチャージしてからです。
上記の作業をしている間に急速充電でチャージ終了。
Hawkerは普段から急速充電可なのでした。便利〜
地上に降りた元エンジンを台車に乗せて、カタカタ〜
元エンジンは、ヘッドカバーを止めている部分のゴムパッキンが排気側3箇所ヘタッて、そこからオイルが噴いておりました。
ヤマハのエンジンではこの部分から洩れるのはデフォルトです。なのでストックを16個持ってます。
このパーツはR1とも同じなのだ。
噴いたオイル跡に塵芥が付着してエライ汚いエンジン様だなぁ……
あとで時間を掛けて磨いてやろう。
エレベーターで一緒になった子供達が、塵埃にまみれ茶黒くなり台車に乗った一隗のオブジェの様なエンジンをこわごわ見ておりました。
危ないのでしゃがんでエンジンを押えます。
台車上から転がったら大変なのだ。
弟 :「……恐いよぅ」
姉 :「大丈夫。……噛んだりしないから」
弟 :「おじさん、コレなに」
狸穴:「オートバイのタマシイだ。まだ生きてるよ」
弟 :「やっぱり恐いよ〜!」
姉 :「汚いから触っちゃダメ! 静かにしてなさい」
弟 :「触らないよ! お姉ちゃんも恐いでしょう」
姉 :「恐くないよ!」
狸穴:「お姉ちゃんの言うとおりだ。汚れてるから触らない
方がいいな。でも悪いオートバイのじゃないから噛
んだりしない」
弟 :「ホントに……」
狸穴:「応。拙者が押えておる」
ドアが開くと幼い姉弟は慌てて出て行きました。
大きくなってオートバイに乗るようなことがあったら、その時は今日のコトを思い出すでしょう。
階段の所は台車じゃ行けないので、かついで降りるしかないねぇ……
かついでみると小柄な女性の体重とほぼ一緒くらい。
40キロくらいあるのかな?
先程エンジンが無い状態のFZRをちょっと押してみたら凄く軽かった。
ということで、コレから何度もキャブを脱着することになるセッティングに入ります。
と、思ったのだが今まで散々取ったデータから計算して、大体のジェッティングを割り出します。
今度のエンジンはカムのオーバーラップが大きいので、上ではもっと濃い目かな……
下も圧縮が元エンジンより、まだ高いから濃くしないと。
スローを濃くしたならば中域のニードル位置はこのままで良さげな感じ。
まぁ、そんな単純じゃないと思いますけど、これからセッティングの日々が続くのでした。
いずれにしろ今までのエンジンとはカムも燃焼室も違うので、セッティングが全く変るのだ。
こう言うとき直墳なインジェクションならば、セットアップも楽なんだがなぁ……
吸気のセッティングは、カムを中心に排気管とのバランスも考えねばなりません。
んで、さっさと仕上げてからちょっと火を入れてみましたが、このエンジン様は異音もせず、シフトも良好でミッションの軸受けベアリングからの音もしてません。
でも、アイドリングしませんでした。
掛かる方が不思議なくらいスローが薄いみたいです。
疲れたから後は明日だ……
姉弟 FZRx+狸穴 |