Vol.469 AX−1の4700rpm 2004-04-20

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 2日ほど前から一台のAX−1の2型黒色が、3.5年放置⇒再生でやって来ている。
 FZRが来る前に永くあっしのところで稼動していた、AX−1より一つ新しい型だ。

FZR:「いらっしゃいませ。えま氏のAX−1さんですね」
狸穴:「2年程前からいろいろ直してくれと言われていた機
    体なのだ」
FZR:「マスターとは馴染み深い数少ないホンダ車ですね」
狸穴:「んだ。以前いたAX−1(蒼號)は物凄く荒く使わ
    れたのだが、10万キロを超えて仕えていてくれた」
FZR:「……わたくしよりも過酷?」
狸穴:「かつての蒼と比べたら、FZRは天国にいるような
    感じ」(FZRxも大変だけどね)

 あっしの蒼は良く耐えていつも頑張っていたのだ。
 当時ヤマハ店なあっしがAX−1に乗っていると、同業者で友人になったホンダ店が、お互い違うメーカーのオートバイに乗った方が理解が深まるということで、DT200Rの中古を買って、メンテは全てお互いの店が引き受けて双方の基本メンテナンス・スキルを評価し合う、ということを時々やったのでした。
 ある程度オートバイに乗れており、でも荒く乗るタイプ、と言う注文の厄介な客先をお互いに設定したのでした。
 普段お客さんに意識が集中してしまうと、このあたりのコトが見えなくなってしまうのでした。
 ホンダさんのAX−1ってどんなオートバイなのかを訊いてみたら、『街をガンガン走って何ぼのオートバイ。水冷でメッキシリンダーだからど〜んな走り方をしても壊れないよ』とのことだったので、ホントにガンガン走ったのだ。
 毎回ろくに暖気もせずに全開で、シフトのときもスロットルは戻さないしタコメーターの紅い所を越えるのは毎度だった。
 更には土手クロスで4メートルくらいのハイジャンプで着地とか、夏の深夜に多摩川を渡河したり(2度ほど最大深度を割って水没&圧壊しました)。
 野尻湖近辺に用事があり、ほぼ毎週の深夜に渋川〜中之条〜長野? のコースで同行のGSX1100S改と毎度のバトルで、元々バンク角が足りなかったから毎回ステップは根元付近まで削れて、常に新品でブレーキペダルとシフトペダルも3回に1回は削れてて無くなるので交換……負けたこと無かったです。
 250ccの単気筒車としては滅茶苦茶な使い方をされたのだ。(首都高でサラブなRGV250γの人には、あっしがヘタだったので負けました)
 お陰でリアショックは初めの3000キロで完全にヘタリ、弟子の智が乗っていた新車のAX−1と蒼が並ぶと、常にテールエンドのキャリアーの位置が−150ミリ下がっていた。
 最後の方では前後共ブレーキディスクが残量1ミリを切り、所々欠け始めたり。(限界をためしていたのだ)
 頑丈といわれるスイングアームも転んでないのに、三次元的に結構大きく曲がりました。
 トライアルでの崖上のオーバーハングとかもやったっけ……頚の骨3箇所を折ったのもこの時だ。
 あっしのAX−1蒼號はコレと言ってFZRのように手厚くメンテナンスされることも無く、毎日が野晒しで、想い返せば滅茶苦茶な使い方をされていたのだが、蒼はいつでも元気だったのだ。
 燃費はこんな乗り方をしても25km/Lを割ることはなく、最高は44km/Lで名馬でした。(そう言えば……乗り方は作業馬と同じだった)

FZR:「……酷いですね。わたくしでは持ちません」
狸穴:「無理だろうなぁ」

 なので、この蒼にはたくさんホンダのコトを教わったり……
 でも、初めて乗ったときの第一印象はな〜んと! スロットルレスポンスだけは激しく速いオートバイだろうか……、でも前後のサスはすぐに底突きするし、ブレーキは全然効かないし、ハンドルの位置はサイテーでシートは妙にへばりつくくせに痛い……ミラーはすぐにあさっての方向へ向くし、ヘッド球は良く切れる。という印象でした。
 本当は素直なオートバイなのですが、所々がホンダ風なじゃじゃ馬テイストの味付けだった。
 多分今頃は、曲がった後ろ足で草葉の陰から恨めしそうにこっちを見ているだろうなぁ……
 向こう側に行ってもすぐに見つけられるAX−1なのだ。
 その頃はいまだあっしも人間だったので、素晴らしく機転の利く人間の彼女も普通にいたりして。
 良く週末にはAX−1で二人乗りして、都内を4700rpmで買い物に行ったり普通に生きておりました。

FZR:「楽しそうですね」
狸穴:「そりゃ、楽しかったよ」
FZR:「なんでマスターは人間を止めてしまったのですか」
狸穴:「………人類が絶滅するまでずっと内緒な方が皆が幸
    せなコトもあるのだ」
FZR:「あの……そのへん、わたくしは全データを知ってい
    ますが」
狸穴:「FZRは良いのだ、人間達には内緒だぞ。知らなき
    ゃその方が幸せってコトは人類史だと2000年に
    一度くらいは起きているのだ」
FZR:「はい。では内緒にしてます」

 あっしはこんなAX−1蒼號が大好きだったのでした。
 ホンダさんのオートバイでコレ以上楽しかったオートバイは無かったかも。(……他にはあまり長くは乗ってませんので)


 この蒼により、ホンダのオートバイは無改造が一番速くて壊れない&メンテフリー、と認識したのでした。(AX−1のエンジンだけに適用されるかも)
 最終的には過走行+CDIが昇天して蒼とのお別れとなりました。
 以後FZRが来るまでの数年間は、自分のオートバイを持つことも無く常に誰かのオートバイがモデファイにやって来て……それらの試乗に終始しました。
 ……欲しいオートバイはもうどこにも売ってなかったのだ。

 こんなワケでまたAX−1に久しぶりに乗りました。
 もうあっしの体はAX−1を忘れているだろうなぁ……と思いながらO/Hの済んだキャブのセッティングと車体現状の確認のために、ソロソロとスキャンしながら3.5年前の燃料を入れ換えにガソリン屋さんまで試乗してみると……いまだあっしのヒューマノイドな体は人間だった頃のAX−1感をこおろぎ回路が凍結解凍して、覚えておりました。
 ちょっとだけ寂しくて嬉しかったかも。

 AX−1はこの時代にあるBT−45Vというタイヤを得たので、このタイヤの能力をなるべく引き出せる脚回りの新しい設定をしなければ……、今はホンダ・スピリッツを微かに点して素直に4000rpmで……ゐタタと走っております。(リュウマチ?)
 この個体はえまさんのAX−1なのだ。細かい所はあっしに合わせるワケにも往かない。
 さすがに3.5年の歳月は永かったらしく、機械的な劣化は到る所に派生しておりますが、いまだ1万キロ走っていない機体はしっかりしておりました。
 これから連休までに細々直して再インストールです。
 このオートバイの唯一最高の魅力はエンジン・レスポンス、な気がします。

 普段は弱アンダーステアで攻込むと、オーバーステアに切り替わる車体の挙動に関してはFZRxが蒼を一部継承。

FZRx+狸穴

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