Vol.456 住人 2004-02-14

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 今のアジトAに移動してから既に8年経っているのだが、どのような方が住んでいるのか、大事件でも起こらないと全く判らないのである。
 2年ほど前に一度だけガス爆破事故をおこした方もいましたが、その方がどのような人だったのか判る前にふっ飛んでしまったし
 管理組合の集会に出席する機会も逸してしまった。
 車上荒らしやオートバイ盗難のあった駐車場に、ネットで見れるカメラをつけたいと発言しようと思ったのだが、この案は駄目で、ダミーカメラも勝手につけてはダメらしい。管理人さんは全然乗り気じゃないと言っていた。
 で、その後も何度か泥棒に荒されたオートバイや、自動車が継続的に発生。
 壊されても何の保証もないのでした。
 何のための組合なのだろうか?

FZR:「マスターはそのような集会には向かないと思いますわ」
狸穴:「何故?」
FZR:「皆様と少し観点がズレておられるかと思います」
狸穴:「そんなことないと思うけどなぁ」
FZR:「基地外は自分がそうだとは決して申しません」
狸穴:「そか? でも警備カメラはあった方が良いだろ」
FZR:「そですね。でも我慢ですと言われておりますわ」
狸穴:「変だねぇ」

 自室を爆破した人もいたくらいだから、あっしはそれほどかけ離れた物体ではないのかも
 そんなあっしも、ココに来て一番始めに知り合ったのは、当時お客の依頼でつけていたハーレのカスタム車のタンクにエアブラシで描いてあった、フレスコ画風の成人男女和合の詳細図が大好きで、良くシートをめくっては覗いていた。
 当時5歳だった男の子とその彼女の4歳の女の子のカップルでしたが、彼等もすでに小学生高学年。(この絵もなぜか大人の間では問題となり、ハーレは次のオーナーの元に行きました。イタいデジコの絵でも描いておけば良かったのか?)
 それぞれ彼女や彼氏が出来ているらしく、サッカー少年になっていたり携帯少女になっていたり。
 最近では一緒に遊んでいる所を見掛けることはなくなりました。
 お互いにおつき合いの世界が変って来たのだな。

 で、8年ほど経った昨日早朝、上の階から何か気になる音が
 ロシアの電子楽器テルミンの音が微かに響いて来ました。
 イイ感じです。
 テルミン、あっしもいつか造ってみようかと思っていたのでした。
 響いて来たのはまだ扱いに慣れていないらしく、曲という体裁では無かったのですが、鳴ってます。
 いいなぁ。
 で、どんな方なのか管理人に訊いてみたら、音楽一家だよ。と言っていた。
 まだ会ったことは無いのですが、たまにピアノの練習曲が聞えて来るし、コレからはあのテルミンの音がアジトにいながらにして聴けるようになったのだ。
 ちょっと嬉しいでやんす。
 楽しそうですね〜

FZR:「普段マスターはアジトでは一言も喋らずジッとして
    ますものね」
狸穴:「だな」
FZR:「そういえばマスターの二胡はどうなさったのですか」
狸穴:「全然鳴らしてない蛇皮は弛んだかも。それどころか
    どこかに行ったかもしれない」
FZR:「最近、中国の音楽会から綺麗な女の人達が、中国楽器
    でバンドを組んでやって来ているようで流行っている
    らしいですわ」
狸穴:「ウケてるねぇ」
FZR:「軽量な二胡ならば、わたくしにも積載可能なサイズで
    す」
狸穴:「んじゃ、写真で喰えなくなったら、二胡持って新宿
    で流しでもするか」
FZR:「リクエストにお応え出来るくらい、たくさん曲がな
    いと困りますね」
狸穴:「んじゃ、駄目だな」
FZR:「使いモノになるまでには、お時間が必要なようです」

 時間が掛かるのはオートバイや写真も同じなのだ。
 創る人間がある程度成功していないと、すぐに底が見えてしまうのでした。
 良く走れるようになるためには、稼働する各部の部品をバランス良くキチンと造らねばならない。コレを熟成時間というのでした。
 密度の高い時間はある程度掛かるのだ。
 でも管理する側が楽したいから、マスプロダクトでは時間は限られている、ことになっているらしい。(あっしの場合は大抵そのへんと良くあたり、撃破しなきゃならんのだ。世の中にとっては非常に厄介者だ……)

 たまたま担当になったその車両の親である製作者達の脳内で、すでにある程度完成した時のイメージが描かれている場合は、熟成時間は長かった、と言えたり。
 製作する過程で問題に当った時に、製作チームの中に非凡な才を放つ者がいたりするとコンセプトは換えずに単純な仕組みで最高の機能とデザインが達成されたりします。
 この場合は非常にアナログな部分の仕事が多く、経験してきた膨大な記憶の中から発生するランダムな思考連鎖から発する『勘』が、様々な部分に作用するのかも。

 オートバイのイメージも音楽や絵や写真も同じ。
 この辺は技術×閃きなのだ。
 でもそれらの結果を得るためには、過去に大きな思考時間があったりします。
 このへんのことを充分にカウントして、製作者へのギャラは決められているのかなぁ。仕事というコトバで一括りにされて、考慮されていないかも知れませんね〜
 良くないですねぇ。
 なので、発明時まで遡ってのデザイン料や、特許使用料請求とかになるのかも。
 まぁ、そのあたりの線引きは会社側だけじゃなくて、個人側にもあるのです。
 納得していれば幸せだし、釣合っていないと感じれば釣合う所を作ったり、線の位置は自発的に移動です。
 ……実は人間の作ったものは全て自由なのだ。
 不思議で楽しくなきゃ生きている意味も甲斐も無いのだ。

FZR:「マスター、それでは今の世の中に波風立てまくりです
    わ」
狸穴:「かもね〜それでイイんだと思うよ。やり方はいろいろ
    あるのだ」
FZR:「マスターがその方法を採ると……周りが大変そうです
    わ」
狸穴:「だが寿命が無いので、こっちも大変なのだ」
FZR:「……ところで足は直ったのですか」
狸穴:「まだ少しは痛むが、もう平気みたい」
FZR:「早いですねぇ」
狸穴:「長年オートバイに乗っていると再生も早いみたいよ。
    電車とか自動車にばかり乗っていたら、多分この3
    倍は掛かったかな。もう大丈夫だ」
FZR:「ではお仕事を探しに行きましょう〜」

マミアナ+FZRx

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