Vol.434 車間距離 2003-11-29

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 走っていると時々かなり距離をつめてくれる自動車がいる。
 どんな人が運転しているのかなぁ、と思いミラーをみると、大抵は若い兄ちゃんなのだが時には白髪の老男性だったり主婦だったり……。
 乗り方って色々あるんですね。
 そろそろ12月で、決算等がつまっている方々は焦っているのかな……
 運転の上手い若い兄ちゃん達は、こちらがブレーキランプを点けると大抵の場合は車間を開けてくれるか、もしくは追越して行ってくれます。
 で、先程から後にへばりついて来ている古い1000ccくらいの自動車で、30歳くらいの女性の運転する車に対して、*0km/hくらいから−10km/hほど実際に減速をすると、ちょっと間をおいてからタイヤを鳴らして急ブレーキしてます。
 今日は雨降りなのでヤな感じ。
 でも、雨でもタイヤが鳴ると言うことは、まだ溝が十分にあるタイヤを履いているのだな。
 どんな顔してるかなぁ、と思いミラーを見ると、ハンドルにしがみついて目を剥いてます……
 ありゃ、……凄いご面相で。

FZR:「わたくしのテールランプは機能しておりますが、危
    ないですね……当るかと思いましたわ。一気に引き
    離すか、先に行って頂くかしましょう。離れた方が
    安全ですわ」
狸穴:「だな。先行しても先の信号で同じタイミングになる
    から、離すよりも先に行って頂こう」
FZR:「はい」

 左に寄ってちょっと減速して先に行くように合図をしても、後に貼り憑いて走ってます。
 理解不能、判らんです。

FZR:「……マスターのお知り合いですか」
狸穴:「いや、あんな女は知らない。どこかの諜報機関のエ
    ージェントでもなさそうだ」
FZR:「わたくし達が、何かお気に障るようなことをしたの
    でしょうか」
狸穴:「雨だしすり抜けもせず、普通に走っていて追ついて
    来たんだから……んなことはないと思うが、煽られ
    ても困るよねぇ」
FZR:「……ですよね」
狸穴:「変な人間の女だね、きっと目が悪いのだな」
FZR:「メガネは掛けてませんが」
狸穴:「あんな超大目玉剥いているんだ、コンタクトが外れ
    たんじゃないか。多分そうだよ」
FZR:「そうかも」

 と、後を見ると先程と同じくらいの間隔(5mくらい)でついて走ってます。
 また信号で止ったので、FZRから降りて運転席のドア横に立ってそっとノックをすると……無視して前を見据えています。
 率直な印象としては神社の阿像のように目を剥いて鼻孔が開いているので、ドラッグやってんのかな……そんな風には見えないけどねぇ。
 頭頂から湯気出てる感じです。
 日本語で言っても通じないのかも……と思い、東洋人だから中国語と韓国語で「コンニチハ」と言ってみたが反応は変りません。
 車間を確保してくれ、と両手を離す手振りをフロントガラスの前でするとチラッとこちらの手を見ましたが、すぐに無表情にFZRのテールランプあたりを見据えています。
 もしかしたら、意識が可哀想な人なのかも……
 信号が変わりそうなので諦めてFZRに戻ってまたスタートです。
 戻り際に、ロシア語で「サヨナラ〜」と言っても反応はありませんでした。
 何かに憑かれている気配もないし……

 最近よく見るファーストフード漬けによる、オーバークロック×メモリー不良状態の少し変った人かも知れないので、スタート直後に交差点横のファミレスの駐車場にFZRはサッと逃げ込んで、先に行って頂きしました。
 メモリーが足りてない人間がキレると大騒ぎになるので、その前にアイコンタクトをとって落ち着くようにお願いしようと思ったのだが……目を合わせてくれませんでした。
 女性の車は駐車場にまではついて来ませんでした。
 後続数台の車列が通過して、あっしらもその後に続きます。
 コレで安心して路上に戻れるのだ。

狸穴:「危ない運転だったねぇ。でも横から見た感じじゃ円
    錐角膜じゃないみたい。甲状腺も普通だった」
FZR:「きっとお仕事か育児でお疲れなのですわ」
狸穴:「そうかもね……みな慢性的なストレスの中で生きて
    いるのだ」

 先頭を40km/hでノロノロとあの女性の車が左車線を走ってます。
 隣の車列の数台が右車線から追い越して、そのうちの一台が女性の車の前にはいると……女性の車は加速して割り込んで来た車に距離をツメ、ぴったりとついて走り始めました。
 う〜ん、理解不能。
 前に現れた車はとりあえず煽りまくるという感じ。
 あれじゃ、煽っていると思われるねぇ……危ない。
 と、前の車が左折のために減速しながら左にウィンカーを点けて……
 するとその後ろに突っ込んでおりました。
 ゴッ! メリ!!
 ありゃ、やっちゃった。
 女性の車は、当たってからブレーキランプつけてたな……
 追突事故でやんす。
 アレだけ大きく目を剥いて前を見ていたのに。
 車間距離をツメ過ぎるのはいかんのだ。
 FZRだったらひとたまりもないねぇ。

FZR:「当たっちゃいましたね……」
狸穴:「雨だと言うのに距離ツメていたからだ……」
FZR:「やはりドラッグでしょうか、最近多いですねこのテ
    の事故」
狸穴:「だな、路上は常に危険なのだ」

 ある程度交通量があるのですぐに渋滞です。
 更にこの辺りは最近道路工事が頻繁にあり、みな気が立ってます。
 いきなりホーンの嵐、路上は動物園閉館直前の状態です。
 雨の日は視界も悪くなり、タイヤも滑りやすくなるし良いことはないのだ。
 ちょっと暖かいのはありがたいたけれど。
 車列が動き始めると、急にその女性の車がバックしてから右車線に出ようと前進加速。
 丁度横を通過しようとしていた軽トラックに側突……
 逃げようとしたのかなぁ。
 もう目茶苦茶です。
 でも、側突されたのがあっしじゃなくて良かった。
 オートバイじゃ踏みつぶされてた。

 コレでこちらの2車線は完全に通行不能。
 雨だと言うのに……迷惑〜。
 中央分離帯はあるし、オートバイだと濡れているしかないのでした。
 しばらくFZRのエンジンを切って休憩。
 始めに追突された車からドライバーが出て来て、軽トラックの兄ちゃんも出て来て。
 でも女性は出て来ません。
 軽トラックの兄ちゃんが女性の車のルーフをバンバン叩いております。
 追突された方のドライバーが電話をしてます。警察かな?
 周りのドライバーも傘さし降りて来て、早く退かせ〜!! 逝かすぞゴルァと怒ってます。
 こう言う時は急いだってどうにもならんのだ。
 あっしには関わり合いの無ぇこって……
 マスクをずらして一服点けることにしました。

狸穴:「寒いなぁ」
FZR:「済みません、わたくしには雨を避ける屋根もついて
    ませんし、エアコンもありません」
狸穴:「しょうがないさ。大丈夫、今日は雨用ゴム長だし、
    先日出血していた爪先の沢山あった穴も塞がった。
    なおり掛けでちょっと痒いけど」
FZR:「あれは凍傷だったのですか」
狸穴:「多分。あの日は丸一日濡れた靴でいたから、ちょっ
    と爪先が綻びたのだ。痛みもなかった、その後壊死
    もな〜し」

 前の方を見ると先般「車を退かせ」と言っていた後続車の男性が、側突された軽トラの兄ちゃんに突き飛ばされておりました。雨の路上に尻餅とはついてない奴……
 あ〜、みんな少しづつ我慢しろよ。
 荒れることがカッコ良いと思い込んでいる、どこかのBBSサイトみたいです。
 小脳の成長過程で何か問題が発生していたのかな。とても心配です。
 鞄から灰皿を出して煙草を吸っていると、あっしの隣の車のオジサンが窓を開けて声を掛けてきてくれました。

オジサン:「兄さん、雨の中オートバイは辛いねぇ。あの変な女
    の車、事故ったの?」
狸 穴:「そうみたい、大した事は無さそうです。お急ぎです
    か」
オジサン:「いや。今日はもう用事は済んで社に戻るだけだから
    ……濡れているのもなんだからこっちに入りますか」
狸 穴:「こりゃどうも。でも合羽もずぶ濡れだし車内を汚し
    ちゃいますから大丈夫ですよ」
オジサン:「あ、コレ会社の車だから構いませんよ」
狸 穴:「でも……平気ですから。お気持ちだけ頂きやす」
オジサン:「そうですか、では傘をお貸ししましょう」

 ビニール傘を貸してくれました。
 ありがとう。
 雨が直接当たらなくなると、とても楽になりました。
 コレでシールドを全開出来るのだ。
 オジサンは若い頃、別の会社にいた時にカブで都内を良く営業したそうな。
 3回くらい事故ってオートバイは危ないと思い、転職したらしい。
 最後の事故は脚の骨折で、実のところはその時に会社をクビにされたとか。
 色々あるのだな、会社と言う所は……あっしはそういう経験が無いので判りませんが、たまにこう言う話を訊くと、あっしには勤まりませんと言う感じです。
 オジサンの今の会社は、そういうことはなく組合があって保証もしっかりしていて、時々リストラの風が吹くけど、業績は上がっているらしく良い会社だそうです。
 大規模工場プラントの配管設備の設計とかをやっているらしく、タイとかベトナムにも良く行くそうな。
 あっしもいたことのある土地なので、鶏肉や玉子がしっかりした味で非常に美味しかったこと、南京虫が出そうなホテルの非情なサービスとか真天の強烈な太陽等、お話しました。大盛り上がり。
 っ懐かしい〜。
 ニャチャンのリゾートホテルの京劇ディナーショウ(不倫発覚劇)の食事やダナンのフライドチキンライス、屋台で売っているパンの美味さ……究極は水牛の七輪焙り肉…………あ〜!!
 また毎日食べたいです。
 コレだけ食べ倒しても、気温が熱いので体力で消費して痩せた。
 同じ惑星上とは思えぬ夢のような日々だった。
 毎日この国の路上で悶絶している皆様を全員をご招待したい。
 日本に戻って来ちゃったのは9月くらいだったけど寒かった。
 そして何を食べても味が変……化学調味料の味しかしないのだ。
 かつては美味しいと感じていた店のチャーハンが噴飯モノに……食べれるモノが無い!!
 馴れるまでは地獄でした。

 しばらくすると警察が来て、事故処理開始。
 やっと前方の車列が動き始めました。
 借りていた傘を一応一振りして返して、お礼を言って。

狸穴:「んじゃ行くか」
FZR:「はい」

 車検証を持って、やっと外に出て来た女性の近くをあっしが通過し掛かると……
 訳の判らん奇声を発して慌てて車に戻り、顔を被ってこちらを指刺してます。
 本日のあっしにはデフォルトの虎以外、何〜も憑いておりませんが……見えたかな。
 警察官もこちらを見ております。
 警察官に、「あっしも用事があるか?」と訊くと、ニガそうな表情で「当たった訳じゃないでしょ、行け」とのこと。
 エライ一日でした。
 不安神経症とかパニック障害?……あの女性には神経科や心療内科のカウンセリングが必要かな。
 治してください。
 みな、1ヶ月くらいニャチャンのリゾートで静かに過した方が良さそうです。
 旧ソ連製の恐ろしく強力なクーラーがあるので熱さも大丈夫。
 ん〜腹、減った。

オジサン マミアナ+FZRx

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