Vol.416 画材 2003-09-18

←前回 次回→


 先日メーター屋に行ったら、主は御加減がよろしく無い……と申される。
 メーターの文字盤を製作依頼しようと思っていたのだが、不調により無理とのこと。
 ……う〜ん、困った。

 爺:「今まで何度か俺が造っている所を見ただろ。ヒトを
    アテにしないで自力でやってみよ。機械式の奴じゃ
    ないから、ギアとかシャフトを手作りしなくてもイ
    イし」
狸穴:「へ……?、あっしが造るんですか」
 爺:「んだ。でも肝要な所はまだ見せてないけどね。そこ
    は自分で考える」

 ……エライことになった。
 メーターの文字盤はやたらと細かい作業だし、デザイン次第では最悪になってしまうのだ……。
 ついでに頼まれたモノは、透過光式文字盤で中には高輝度白色LED。
 爺の所では文字盤にゲージを付ける際には、お手製の簡素な治具と手を使い、ほぼ手描き文字盤なのでした……。トホホ
 なので、透過光式、非透過光式を問わず全部できる。
 ゲージの間隔も手書きなのでいくらでも変更可……。
 フォントも実は手書きです。
 針もこのテの手製の工具でなんでも造ってしまう。
 職人技なのだ。
 対して、あっしにはそんな技も工具もございません。
 あるのは家具のデザインをしていた時のテクと、オートバイと写真の簡素な知識……と、パソコンくらい。(爺の所にもパソコンがあるが、それは最近の欧州車4輪のECUからメーターに向けて出る波形をモニターする為のモノ)
 ECU本体なら谷博士の所だが、爺はその先につけられている、メーター表示機能の職人なのだ
 ……困った。

FZR:「困りましたねぇ……」
狸穴:「どうしよか」
FZR:「わたくしの文字盤はメーカーデフォルトのままですから、あまり参考にはなりませんし……」
狸穴:「デザインだって決まっていないのだ」
FZR:「……何も無い所からですと大変かも」
狸穴:「んだ」

 でも、なんとかしなきゃ……
 webで調べても、文字盤の職人技を公開している所は簡単には見つかりませんでした。
 スペインサイトで、メーター工場の若手職人さんがちょっとだけ紹介していた程度……。
 でもいくら読んでもスペイン語は判りません、アミーゴ・グラシアス。
 うひょ〜! って感じです。
 ポジトロニック・ブレインも、スペイン語のインストールはちょっと時間が掛かるし……。
 今までメーター屋の爺さんをアテにし過ぎていたのだ……。
 簡単に、「こんな風にしてココはこの絵を入れて、変速比が違うからギアも作り替えて軸受けもガタが出ているから造り直しかなぁ〜アガリが早いと嬉しいかも。〜お願いします」なんて頼んでいたっけ……反省。
 自分でやるとなると大変なのだ。

 とりあえず、風防の外されたタコメーターから、デフォルトの針と文字盤をパージしました。
 これでもう元には戻れないのだ。
 文字盤を外して大体のサイズを採寸。
 裏側が乳白アクリルで出来ていることも確認。
 バックライトは散光させた上で、さらに乳白アクリルで調色しているのだ……LEDの散らない光を2回散らしている。(このあたりは撮影光と同じだから理解)
 いろいろ理由があるねぇ……
 フェイス盤面は印刷でした。
 使用のインクは紫外線にも強く、外光を反射させないマットな特殊なモノ。
 印刷屋じゃないと持っていないインクだ……
 実際の針の動きと文字盤の表示は、4000rpm以下ではかなり違う傾向アリ。
 それ以上はほぼ合っている。
 回路自体はあっしが見ただけだと、10%くらいしか理解出来ない。
 チップがどの位発熱するか……ちょっと気になる。
 FZRは自分のタコよりもちょっと複雑な信号処理をしている、といっている。

 文字盤のデザインもどのようなモノが良いのだろうか。
 とりあえず、20枚ほどラフを鉛筆で描いてちょっと色付けしてみた。
 ウェ……ヘタでやんす。
 狂った絵師が描いた妊娠中の虎の目みたいになってしまった……棄て。
 いきなり3Dだと大変かなと思い、Photshopを立ち上げお絵かき。
 ソフトが向いていないので、サーバの方のイラレを立ち上げやり直し。
 ここで先に描いたラフのうち7枚を画面上で再構成、あとはその変形版を10枚ほどためしてみる。
 どれも、搭載予定の車種に似合わない……使う人のイメージにも合っていないねぇ……。
 写真ならなんとかイメージが出て来るんだが……時間に追われるCG屋さんって大変なのね。
 CG屋でなくて良かったかも。

 とりあえずすぐに煮詰まったので、参考になりそうな時計をたくさん売っている銀座の時計屋に行って、たくさん見る。
 しかし、どれも高度過ぎてあっしには真似出来ない……
 シンプルで似合いそうなモノもあるのだが、その手のモノの方が実際に形にする際に物凄く大変なことになる予感。
 データを一気に詰込み過ぎて眩暈がして来たので、時計売り場を退場〜。

FZR:「マスター、逃げて来たでしょ」
狸穴:「判るか」
FZR:「ダメですねぇ」
狸穴:「申し訳ない。でも高価な時計はシンプルでも、価格
    に合うだけの造形と仕上げを持っていたよ」
FZR:「次は宝石売り場ですけど大丈夫ですか」
狸穴:「大丈夫だ、ハァ。」

 苦しい時ほどニヤリと笑えと、どこかの人が唄ってた。
 来店予約の電話をしておいた宝石屋さんに逝ってみる。
 店ごと全部買いそうになったが、いつかこの店をあっしに買い与えてくれる若くて美しい女性がいる筈だと思い直して、見るだけにした。
 金星のヤロール議長の一人娘が着けていた奴はもっとデカい石だったな……
 目の保養になりました。
 なにも買わずに出て来た。(あっしのカードじゃ一番安いのでも買えなかった)
 でも時計と違い宝石は少し元気になったのだ。
 ゲンキンなモノである。

 結局ご依頼のご本人に、ご希望のデザインが手持ちであったら、データ送ってくれ〜ということになり、それを受け取って色濃度等細部を調整して、丁度良さそうなモノが画面上では出来ました。
 ベースが空色の文字盤なのだ。
 タコメーターなのに空色……カッコ良〜い!
 あのコアー・レトロな車体にも合いそうです、さすが本人様。
 あとはこの文字盤が昼間は暖色に見えて、夜間は冷色に見えれば成功かな……。
 と言う感じ。
 個人的にはLEDも2発ほど、調光のためにブルーを仕込みたい。

 でもコレから先がまた大変。
 ……実際にモノを造るということは大変なことなのだ。
 特にメーターの文字盤……オートバイでオーナーが一番見る回数が多い部分です。
 うひゃ〜。
 やっているうちに気がつきましたが、このテの仕事はアニメオタクでちょっとエッチな人形さんを造る方や、ジオラマとかが好きな人に向いてます。
 あっしには向かないかも。

 次はなぜだか新宿の画材屋さんへ向かいました。
 ココは、あっしが一番好きな所なのでした。
 宝石屋と同様、毎日いても全然飽きないのだ。
 岩絵具とか、各種カンバスとか、彫刻関係とか色々あります。
 実際にあっしの表の仕事の撮影に使う機材の一部は、ココで材料を調達しているのだ。
 撮影用品を専門に扱う所よりも、あっしにとってはこちらの方がすでにデータをたくさん持っているモノがあるのでした。
 ここで色々見ていると、どうやって造って良いのか考えもまとまります……予定。
 でも、失敗だったかな……。
 かえって発狂しそうになりました。わはは。残暑なのに脳が寒い。
 一旦退却。

FZR:「マスター、……明日また来ましょう」
狸穴:「だな」

 ということで一晩寝ます。
 寝ている間に、爺が昔〜文字盤の細かいゲージに、白金を流し込んでいたのを思い出した。悪夢だ。
 で、翌朝また画材屋に登場〜。

FZR:「大丈夫ですか」
狸穴:「今日は大丈夫だ。昨夜寝ている時にポジトロニック・
    ブレインの無意識の領域を呼び出して最大展開。昨
    日見たモノを全部並列解析して、大体の製作行程を
    組み立てて来た」
FZR:「……便利ですね」
狸穴:「FZRの一部も狸穴も、その一部。その領域で出来
    ているのだ」
FZR:「そうでしたわ。お邪魔してます」

 もう入店すると同時に、左腕のナノマシンがどこに必要なモノがあるのかを理解。
 最低予算枠内で必要なモノと資材を購入〜。

 ということで、実際の製作を開始。
 世の中にはパソコンとか、便利なモノがたくさんあるのだ。
 足りない工具は自分で造りました。
 出来上がったらまず、爺に添削として見せねばならない……ヘタなもの造って見せるとまた調子悪くなっちゃうかも知れないし……。
 OKが出るまでは、ちょっと時間は掛るかなぁ。

FZR:「わたくしも頑張りますわ」
狸穴:「応〜。でもど素人だから期待するなよ」
FZR:「はい。いつかわたくしにも造って下さいね」
狸穴:「……FZRのも造るの?」
FZR:「そういえば、わたくしの乙女・妄想回路の状態表示
    機能に使う表示板も造らないと、ですわ」
狸穴:「まだ覚えていたの……」
FZR:「はい、楽しみにしております」
狸穴:「へいへい」

メーター爺  マミアナ+FZRx

←前回 次回→

FZR250 トップ NS400R TOP


Copyright © Taro Mamiana, COMBINED ARMS 1999-2005.