Vol.388 放し飼い 2003-05-13

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 久々にある撮影スタジヲに顔を出しに行ったら、そこで働いていたスタジヲマンの鰹君が話し掛けて来た。

鰹 :「ども。狸穴さん、今月から俺フリーになりました」
狸穴:「へ? フリー……このご時世にか」
鰹 :「フリーと言ってもアシスタント専門ですけどね」
狸穴:「カメラマンじゃなくてアシスタントの専門……へぇ〜」
鰹 :「他の連中も2名ばかりもクビになりました」
狸穴:「……ここヤバいの?」
鰹 :「良く判りませんが、苦しいみたいです」
狸穴:「ありゃ……」

 と言っても、鰹君は普段からここにいれば仕事は来る訳で、今までと何ら変わりはないが、社員から嘱託さんになったと言う事らしい。
 社員だった頃は生活の保証もされていたのだが……。
 急に放牧されたとの事。
 彼は誰よりもここのスタジヲの機能は判っているし、あっし達にとっては必要不可欠な大切な方なのでした。
 この鰹君、オートバイ乗りです。
 愛車はホンダさんのCB750(現行)とCBR250ハリケーン。
 ホンダの4発を乗り継いでいるそうだ。

狸穴:「んじゃ、ここ以外の仕事も自分で受けられる訳だ」
鰹 :「そうなります。で、よろしくと言うことです。コレ
    が新しい名刺」
狸穴:「はい。でもうちもほとんど休業状態で仕事少ないけ
    ど」
鰹 :「そーすか」
狸穴:「他様も似たようなもんでしょ」
鰹 :「どこも仕事減ってますよね」
狸穴:「今月は何件サポートしたの?」
鰹 :「……2件です」
狸穴:「少ないね〜。でもうちと同じだ」わはは
鰹 :「……この業種、駄目っすかね」
狸穴:「この先、数は少なくなるかも……他にやりたい事が
    あるんだったら、若いうちに足掛かりだけは着けと
    いた方がイイよ」
鰹 :「大変だなぁ」
狸穴:「景気の良い時は仕事が多くて質も要求されて大変だ
    し、景気が悪けりゃ仕事無いしね。ガンバレ〜!」

 渡世の風は冷たい。
 この業種に限った事じゃないが、どこもそうなのだ。
 鰹君は歳もそろそろ28才……微妙な処です。
 まぁ、年齢はそんなに気にしなくて良いか。
 定年後に突然カメラマンになったおじさんもいるもんね……。
 資本は身体だけなのだ。
 無理をすれば質が下がるので、諦めないで仕事のペースは自分で作るのだ。
 無理難題を要求するクライアントさんには、状況によってはご理解頂くしか無いのでした。
 その辺を読み違うと、現場や後処理では大変な事になるのでした。(アシスタントには後処理は無いけど)
 オートバイの製造やレース活動の準備と似ています。

狸穴:「ところで、いつもCBばかりみたいだけど、ハリケ
    ーンには乗ってるの?」
鰹 :「乗ってます。4月にオイル交換もしたし、先月彼女
    と2台で箱根に行って来ました」
狸穴:「いいねぇ」
鰹 :「狸穴さんのFZRは?」
狸穴:「今日も乗って来たよ。最近ちょっと具合が悪い」
鰹 :「駄目じゃないっすか。いつも俺達にオートバイは調
    子良くしとけって言ってたのに」
狸穴:「スマン」
鰹 :「どこか壊れたとか?」
狸穴:「ちょっとね。どうなっているか判ってるし大した事
    はないのだ」
鰹 :「狸穴さんのFZR、何km走ってるんですか」
狸穴:「メータで大体75000km、+5000km=8
    0000km実走行くらい」
鰹 :「うちのCBRの4倍以上だ……」
狸穴:「郊外に棲んでて距離は走るから」
鰹 :「俺はここまで徒歩で来れるけど……距離があると事
    故とかリスク高く無いですか」
狸穴:「高いよ〜運がイイだけ」
鰹 :「大変なんすね」
狸穴:「FZRがね」
鰹 :「あとで久々に見せて下さい」
狸穴:「見ても何〜も面白い所は無いけど」
鰹 :「50000km越えて走ってるバイクって中々見れ
    ませんから」わはは。
狸穴:「ふ〜ん」

 用事を済ましてから、PにてFZRの事を小半時見ておりました。
 クランクケースの合せ面からオイルが滲んでいること、アンダーブラケットが変わっていること、ブレーキが変わっていること等を訊かれて適当に返答。

鰹 :「なんでここまでやってるのにマフラー変ってないん
    ですか」
狸穴:「コレでもうるさいと思っているのだ」
鰹 :「250の4気筒は高回転時の音がいいのに」
狸穴:「エンジンが早く減るし、普段から高回転は使ってい
    ないのだ」
鰹 :「もったいないなぁ」
狸穴:「確かにもったいないかも……。でもその分は色々や
    って低速でも出力稼いでいるから。俺には街中じゃ
    力があり過ぎてとても高回転は維持出来ないし」
鰹 :「ふーん。フォーク、ちょっと押してもイイですか」
狸穴:「イイよ」

 ディスクロックとハンドルロックを解いて、ブレーキを掛けずに何度か引き上げてから押込んでおります。

鰹 :「ステアの回り方が軽いんですね」
狸穴:「ステムベアリングの締付調整をガタが出るギリギリ
    に抑えているから。微ミョ〜な感じ。何回も調整し
    た」
鰹 :「フォークの上の方は意外と軽いんですね、イニシャル
    かなり落としてる?」
狸穴:「サスは動いてなんぼだから、1Gでの沈み込み量をフ
    ォークで約55ミリ取っている。基本的にはカラーを
    削った」
鰹 :「ちょっと多いような気がするけど……底突きするでし
    ょ」
狸穴:「しないよ。その分フォークオイルのレベルを上げてる
    し、このオイルだと」
鰹 :「あ、奥に行くとだんだん締まりますね……コレ」
狸穴:「曲っている時はGが掛かって、奥の部分だけしか使わ
    ないから丁度良い感じ。速度が上がって、大入力でサ
    スが速く動く時には適度に硬くなる」
鰹 :「面白れ〜」
狸穴:「低速ではオフ車とちょっと似た感じかな……延びる時
    もお釣りが無いのだ」
鰹 :「コレ絶対、後付けの内装バルブ入れているでしょ」
狸穴:「何〜も入れてない。今の状態は中の上側オリフィスバ
    ルブもいじって無い」
鰹 :「バネは?」
狸穴:「今は重量の近いR1−Zのだよ。デフォルトのFZR
    250のバネとも近いはず」
鰹 :「ハリケーンに、このオイル入れたらどうなるかな……」
狸穴:「大きいCB750の方はABSO−RR。小さいハリ
    ケーンの方はR。量はマニュアルの指示油面で合うは
    ず。デフォよりも減らすと言う合せ方もある」
鰹 :「ハリケーン、もう4年もフォークオイル換えてないん
    すよ。マジヤバい」
狸穴:「んじゃ、換えた方が良い。ABSOは他のオイルとち
    ょっと違う動き方するから好きになるかどうか判らな
    いけれど。4年も換えてないんじゃシールも換えてや
    らないと。ハリケーンの性能がもったいないよ」
鰹 :「換えるかなぁ」
狸穴:「減速の初期にタイヤが跳ねるだろ」
鰹 :「そう言えば掛けた瞬間だけガクンと来て跳ねているか
    な」
狸穴:「オイルがヘタってバネだけでタイヤを抑えているの
    かもね」

 フォークのオイルは大体1年で交換サイクルが来るのだ。
 走行距離はFZRよりもずっと少ないけれど、タイヤもフォークシールもメタルもステムベアリングも一気に来ているような気がする。
 どうせ乗るんだったら、少しでも良い状態で乗った方が安全だし気分もイイのだ。
 転んで壊してからじゃ遅い。

鰹 :「近所のバイク屋で、持ち込みでやって貰うかな」
狸穴:「相談してみたら」

 ハリケーンも個体数が少なくなったもんね……。

鰹氏  マミアナ

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