Vol.382 臨時点検 2003-04-29

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 先週久々に保土ヶ谷Pに行ったのだが、その間R246下りで頑張り過ぎたのか、FZRのエンジン様が不調。
 ちょっと回し過ぎたかも……。

FZR:「10000rpmまでにして下さいね」
狸穴:「応……スロットルも1/2以下にして様子をみる」

 エンジンを造り直してから約70000km弱を走っている。
 その後コレと言ってエンジン内部は大きな改装をしていないので、そろそろクリアランスの狂いが出て来る所があるかも……。

FZR:「マスター、もしわたくしがこのまま逝って終ったら
    困りますか」
狸穴:「困るねぇ」
FZR:「でも、元々が250ccの小さなエンジンのわたく
    しです。そろそろ逝ってもおかしくない距離ですわ」
狸穴:「……」
FZR:「エンジン様の中で何が起きているのかわたくしにも
    よく判りませんが、一応この辺で、『お世話になり
    ました。マスター』と申し上げておきます」
狸穴:「そう弱気になりなさんなって。そんなヤワなオート
    バイには仕上げてないつもりだ」
FZR:「……はい」

 今まで幾多の危機をかわし、そのたびに進化して来たのだ。
 過酷な実験も熟して、なお生き残って来た。
 で、今も10000rpm以上吹けないがなんとか走っている。
 一番気になるのは、第三京浜の入口で13000rpm以上吹けなくなった際に、エンジン内のどこかで『がっ!』と鳴って急に出力が減少したこと。
 その後、その回転域でたまに近い現象が頻発している。
 回路が逝ったのかと思い谷博士に診てもらうも、乙女回路と妄想回路には何等の異常も認められず……。
 と言う事で、急遽開腹検査。
 折りしも同時期にSRXの方々のスパオフ(温泉?)に誘われていたのだが、この状況では箱根の山を駆けるには少し辛いのでした。
 まぁ、無理して走っても良いことは無いのだ。
 今回のGWは、お休みしてFZRの点検に当てる事に致します。

狸穴:「んじゃ、開腹でござる」
FZR:「はい。久しぶりですね」
狸穴:「だな」
FZR:「済みません」
狸穴:「エンジン内部は別件で気になる事もあるしね」

 機関外装を全部外して、腰上の点検。
 腰下に関しては、少し前にオイル交換をした際の廃油のサンプリング結果では、軸受メタル成分や異常な金属粉は見受けられなかったので、問題無しとする。
 オイルがヘタリ始めていたのは確認済。
 走行距離から言って一番気になるのは、カムの齧りとバルブリフターの異常。
 FZRのバルブリフターはロッカーアーム式ではなく、ダイレクトにDOHCカムの動きを伝える筒型リフターなのでした。
 あとはピストンの首振り等……。
 プラグを4本とも外して、ヘッドカバーを開けてカム山の点検。
 プラグの状況は今回は4個とも違いました。
 ありゃ、何かあるね……キャブの同調は取れているんだが。
 キャブを外した吸気ポートの中を覗いて見ます。
 幾つか吹返してるかな……。でも大した事ない程度です。

狸穴:「カム山にはコレといった異常な結果は無いねぇ……
    カムカバー裏もスラッジ発生は全く無い」
FZR:「そうですか、ではカムを受けているヘッドとホルダ
    ーはどうですか」
狸穴:「んじゃ、カムを外してみるか。その前にカムのクリ
    アランスを16ヶ所とも測ってみる」
FZR:「はい」

 #1シリンダーを圧縮上死点に持って来て、測定出来る位置のバルブのクリアランスを点検。
 で、クランクシャフトを回して残り8ヶ所も点検。
 #2のIN右と#4のEX左右のクリアランスが狂ってます。コレでプラグの焼け方に差が出ていたのかな?
 70000kmも走っていれば、当然の結果なのだ。
 測定値を全部記録して、あとで前回測定した結果と照合して状況確認をします。

狸穴:「狂いが出始めている」
FZR:「あらら……重大な狂いですか」
狸穴:「そうでもない。走った距離を考えれば当たり前の結
    果かな」

 次にカムを押さえているホルダーを全部外してカムとの当り面を点検。
 問題無し。
 カムを外してその下側も点検……問題無し。
 カムシャフトもそれぞれ各部をマイクロメータで測定、結果を記録して後で前回測定データと比較。
 見た目じゃカム山が少し減って来ているかな……。
 まぁ、うちに来る前に中尉の所にいたのだ、多少減っていても驚きゃせんです。
 このあたりのパーツは同年式の予備エンジンがあるので、換えても良いかな……。
 ついでにカムチェーンの状況も確認&測定(駒ピッチ)。

FZR:「先日軽量化して頂いたバルブ・リフターはいかがで
    すか」
狸穴:「まだ引き抜いていないが、上の面は削れもない」

 と言う事で、バルブリフターを16個取り外してヘッドと接する外周部分を点検して行きます。
 先のバルブ・クリアランス測定で異常を示した、リフターの摺動面にホンの少し焼けた跡を発見……。
 他は大丈夫でした。

狸穴:「……コレかも」
FZR:「ヘッド本体とリフター間のクリアランスが足りなか
    ったのでしょうか……」
狸穴:「油膜が薄過ぎたのかもね〜。とりあえず、ヘッドの
    方も外して燃焼室がどうなっているか見てみるか」
FZR:「はい。……お手数おかけ致します」
狸穴:「止むを得んさ。バルブ・リフターの改装に関しては
    データが全く無い状態だったんだ。今回はちゃんと
    データ取ろう〜」

 16個もあると測るだけで飽きて来ます。
 リフターの入っていたヘッド側の穴の内径とリフターの外周を全部測定……傷等はありませんでした。
 ※EGAを入れていたので助かったのかも……。
 エンジンを造った際に記録していたデータと現状のデータを突き合わせてみると、他にも数ヶ所クリアランスが増減している部分を発見。
 バルブシートが減ってカムとリフターのクリアランスが小さくなったのだ……。
 その数値から必要なシム(隙間調整用のパッド)の厚さと個数を算出。(と言っても単純な足し算とか引き算です)
 焼けたリフターはその表面を#1000〜#2000のペーパーで軽くサラって、16個のリフターを全部ヘッドに組み戻しました。

 で、シリンダーを引き抜きます。
 内燃機屋さんのところでバラしている訳じゃないし、予備にオーバーサイズのピストンは作っていないので、見るだけです。
 取り出したシリンダーの内壁には目立った傷はついておりませんでした。
 ピストンスカートも多少擦れていた跡はありますが、4個とも同様な状況。大丈夫です。
 一応軽くペーパーを掛けておきます。
 リングの厚みを測ってみると、2ndリングの内回りが減ってます……なんで? 鍛造ピストンが硬いから?(んな訳ゃ無い)リング溝の方は無事です。
 2ndリングの縦幅を少し厚い物にして、ピストンスカートを短く摘めた方が良いかな……。

狸穴:「全体的に2ndリングだけ減っとるよ」
FZR:「あら……」
狸穴:「まぁ70000kmも走ってるんだし、当然と言え
    ば当然かな。1リングは大丈夫」
FZR:「ピストンピンは?」
狸穴:「ガタは無し。大丈夫」
FZR:「良かったです〜」
狸穴:「コンロドの大端部の縦ガタも横クリアランスも問題無
    し」
FZR:「では、原因はバルブクリアランスとリフターの一時
    的な引っ掛り、ですね」
狸穴:「ソレと、2ndリングね」
FZR:「わたくしのエンジンのピストンは、デフォルトと違
    いますのでパーツがないのですが……」
狸穴:「まぁ、使えない訳じゃないし許容範囲内だから、し
    ばらくはこのままだ。新しいのを、リング屋さんに
    頼んでおくか……」
FZR:「お願いいたします」
狸穴:「駄目なら予備エンジンのデフォルト腰上がある。と
    言うか、予備エンジンに換装の方が作業は早いかな
    ……」
FZR:「出力が下がっちゃいますね」
狸穴:「ちょっとだけね。ファイナルのギア比かヘッド面研
    で対応するよ。最高速狙いなエンジンを必要として
    いる訳じゃないし」
FZR:「ヘッドはどちらを使うのですか」
狸穴:「予備エンジンそのままだと、ピストンもデフォなの
    でヘッドもデフォルトかなぁ……」
FZR:「今のヘッドの燃焼室の方が、強く高速なタンブルフ
    ローを発生しているので好きですが」
狸穴:「そう……んじゃ、デフォのピストンに合わせてポー
    トを小改造すれば使えるかな」
FZR:「大切に使います」

 いずれにしろ、始めの時のようにエンジン造り直すだけのお金は無いし、時間は掛るのだ。
 予備エンジンだけでも仕上げておくか……。
で、腰上の状況が判ったので組み戻し。
 あ……カムカバーガスケットとチェーンテンショナー基部のガスケットを、新品で用意するの忘れてた……再使用〜。
 パーツ箱にあったのは、ディバージョン用のカムカバーガスケットとヘッドガスケットでした。
 オイルが少し滲んで来る程度だしイイか……。
 今日は点検だけなのコレで終了。
 パーツが揃ったら、正式にやり直します。
 実験したエンジン・オイルのベース油の寿命は5000kmと言う感じだったようです。
 このオイルは投入当初からフリクションロスが極端に少なく、各軸受で発生する熱も低い感じで物凄く性能高い、まるでむかしあったエルフ社の競技専用植物系オイル(開封後すぐに酸化が始まり、寿命は1週間しか保たない。使用時は4時間が性能保持期限だった。でもどんなに回しても壊れない!!)のようでした。
 オイルの性能保持機能をもっとなだらかに、長期間性能維持が出来るように。更には剪断されたオイルの分子構造がその直後から自己回生すると言うまるでナノマシンのような構造になれば、最強オイルなのだ。(蛇足:shell社のAdvance 15w−50ってオイルは100%シンセ系で高耐久なオイルですけど、エンジンに入れた感じでは再生率の高い感じでした。手近にいるFZR600xxとR−1とホーネット900、それとSRX418に、EGAを添加して入れましたけど、凄いです〜。I/L250なFZRにはちょっと堅過ぎたので、FZRには半化学合成の10w−40。)

 FZRも原因箇所を応急処理したし、このままでも大丈夫だと思うけど……。
 あとはクランク軸受のジャーナル・メタルかなぁ……これはケースを割らないとならないので大丈夫だった〜と言う事にしておこう。EGAが入っていたおかげで助かったようです。
 あっしの知っている範囲で一番高性能なエンジン用軸受メタル材は純銀ですが、そんな高い物は使えません。(使った事もないです。某国の発注したR.R.のエンジンで見たことはありますけど……手で回したらクランクが「シューん」としばらく静かに回ってました)
 連休が明けたら、ショート・パーツの発注だな。

狸穴:「まずは、良かったねぇ」
FZR:「大事に至って無くて良かったです」
狸穴:「ヤバいなぁ〜って感じだったもんね」
FZR:「EGAが入っていなかったら、窮地に追い込まれて
    いたかも」
狸穴:「時間が出来たらリフターの材質と構造をもう少し深く考えてみるよ」
FZR:「あまり過酷すぎる実験はしないで下さいね」
狸穴:「了解」

 手早くエンジンを組み上げて、カム回りのクリアランスをオイルを抜いた状態で再度測定記録して、本日は終了〜。疲れたです。
 GWは無くなって終った。
 明日はSRX600のエンジン再生だ……。

マミアナ+FZRx

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