Vol.378 ブレーキ・クリーナー 2003-04-06

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 昔、知り合いにパッジョグに乗っている奴がいた。
 パッジョグとはパッソルの車体にジョグのエンジンを乗せたモノでした。
 このスクーター、エンジンをジョグベースで65ccくらいまでボアアウトしてキャブのボアは20φ、チャンバー憑き。
 最高速度は併走するRZ350のメータで測ると、90km/hを越すという、困ったスクーターなのでした。

ぱ :「先週ヘッド削って圧縮上げたらヘッドガスケットが
    吹き抜けました」
狸穴:「削り過ぎたんじゃないの?」
ぱ :「わはは」
狸穴:「で、回した」
ぱ :「速かった」
狸穴:「削ってぶん回したら壊れるよ」
ぱ :「壊れたっす」

 このパッジョグ、いつでもピカピカでした。
 元々こんな速度で走るスクーターじゃないからブレーキにも常に無理が掛かり、そのため前ブレーキシューは2週間に1回交換……。
 ステムのベアリングも2500km保ちません。
 でも、ぱ氏はこのパッジョグが大好きです。
 3日に一度は、ブレーキドラムの清掃〜。
 ある日ブレーキクリーナーという、今ではどこでも売っているモノを買って来て、清掃に励んでおりました。

ぱ :「キャブ回りとかVベルト周りの清掃にも良いっす!!」
狸穴:「便利な物があるねぇ〜」

(ブレーキクリーナーという商品が出始めたころの事です)

 しばらくしたら、ぱ氏からの電話。

ぱ :「いつもどうり普通に走っていたら、なんだかグニャ
    グニャになってしまいました、これから持って行き
    ます」

 とのこと。

あまりスピード出し過ぎて、フレームのどこかの熔接がついに逝ったかなぁ……。
 大怪我する前に見ておいた方が良さそうだったので、待ってました。
 程なくするとペン! ペン!! 〜ビィーンと、パッジョグがやって来ました。

狸穴:「壊れたか」
ぱ :「だんだん酷くなって来ます。何が起きたのかなぁ」

 心配そうです。

狸穴:「また、やり過ぎたんじゃないの」
ぱ :「急にです」
狸穴:「んじゃフレームから見てみようか」

 パッジョグのレッグシールドを外してフットボードも外して……フレームを見てみました。
 どこも壊れてません。熔接箇所もしっかりしてます。
 ステムもガタついてません。
 エンジンハンガーにも異常はなし。
 ふと、前輪を掴んで振るとガタガタ動きます。

狸穴:「コレだよ、フロントのアクスルシャフトが緩んで……
    アレ? いないなぁ」

 前輪を外してみると、中のベアリングには球が入っておりません。
 どこに行ったのかと思い振ってみると、幾つかポロポロと出て来ました。
 全部傷だらけです。

狸穴:「ベアリングに異物でも噛み込んでいたのかな……も
    しくはタイヤ径が小さいのに90km/hもでるよ
    うにしてしまったために、回転限界に達したか」
ぱ :「でもまだこのベアリング換えてから500kmも乗
    ってないです」
狸穴:「……そうだよなぁ、90km/hくらいじゃまだベ
    アリングは平気なはずだし」
ぱ :「タイヤもまだ新しいから変形してません」

 う〜ん。

狸穴:「ブレーキクリーナでベアリング洗った?」
ぱ :「はい。たまにホイールが熱くなって、ベアリングの
    中のグリスが流れてドラムに付いたりしたので洗浄
    しました。一応WD−40(CRCみたいなもの)
    かけときましたけど」
狸穴:「それだ。すぐに熱もって蒸発しちゃうよ」
ぱ :「あ。……焼付いたんだ」

 ブレーキクリーナを使っちゃいけない所に盛大に使ってしまったのでした。
 ベアリングは潤滑されておらず、初めのうちは頑張るも次第に削れてガタが出て最後はご昇天〜。
 残ったのはインナアーレースとアウターレースだけ。
 反対側のベアリングもガタガタ。
 ……なんということをしたのだ。
 力を受けて回転する軸受のホイールベアリングにはグリスが必要なのでした。

 ブレーキ・クリーナーは便利だけれどこんな使い方をしてはいけないのだ。
 よくこの状態で大事に至らなかったものです。
 アクスルシャフトも傷だらけ。

 フロントホイールが、ガタついてしまっていたのでした。

 普通のオートバイでも、前輪回りにブレーキクリーナーを使う時には要注意です。
 ホイールのオイルシールが古くなって減っていたりすると、シールが効かずにシャフトを伝ってブレーキクリーナーの液がホイールの中にまで侵入します。
 で、ベアリングのオイルに混入すると……上記と同じような現象が発生〜。
 大抵のベアリングには球の部分をシールしてある構造を採用しておりますが、それもガタが出始めているベアリングではあまり効きません。
 侵入して来るのはブレーキクリーナーだけではなく、走行中に付いた埃や雨水などもシャフトを伝って入って来て同じ現象を引き起こします。
 ホイールのベアリングとオイルシールは、たまに様子を見て状態を確認し、定期交換した方が良いのでした〜。
 簡単な確認方法は、タイヤの一番高い位置を掴んでホイールを左右に揺すってみると判ります。
 アクスルシャフトに対してホイールがカタカタ動いている様ならば要交換です。
 放置しておくと酷い事になるので、これから暖かくなり走る機会も増え、梅雨を迎える前に直しておきましょう〜。
 大きいオートバイでも同じです。

 余談になりますが、同じ方法の揺すり方でフォークのインナーチューブとアウターチューブのガタの点検も出来ます。
 この部分もフォークオイルがしばらく使っているうちに多回数のストロークにより汚れて、フォークオイルの潤滑能力が減退してストロークするたびに減るので、ガタが出たりするのでした。
 ブレーキ系を強化していたり、デフォルトでも普段から強力なブレーキをかける方はご確認アレ〜。

パッジョグ・オーナー氏  マミアナ 

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