Vol.364 呼びだし 2003-02-21

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FZR:「マスター、今日はどちらへ向かわれるのですか」
狸穴:「いつもながら突然、師匠からお呼びだし」
FZR:「……何か悪さをしたのですか」
狸穴:「さて……手抜きした仕事なんかないしねぇ。怒られ
    るネタもないよ」

 あっしの表のお仕事の師匠はスチール・カメラマンじゃなくてコマーシャル系の照明技師なのでした。
 普通は写真の師匠は写真家な事が多いのですが、どういう訳かあっしの師匠は撮影照明のエキスパート。
 お知り合いになったのは、あっしが昔〜経営していたオートバイ屋さんの店主とお客の関係。
 忙しい時は忙しいけどヒマな時はヒマだったので良くお話をしたり、次第にお友達になったのだ。
 たまにあっしのやった仕事を街で見付けて、光に手抜きがあるとガミガミとやてくれるのでした。
 ガミガミ言ってくれる人なんて他にはいません。
 なんであっしが照明さんにならなかったかというと、同じ事をしても幅が拡がらないし、お互いに棲む世界が少しだけズレていた方が面白いと言う事なのでした。
『光を使う』という仕事には変わりないし。
 別に師匠からの大層なご意見が合った訳じゃござんせん。
 ホントは絵描きになりたかったのだが、何時しか気が付いたら写真の世界で喰っておりました。
 普通じゃあまり考えられないんだろうけど。

 と言う事で写真家の師匠はあっしにはいないのでした。
 おかげで頭を押え付ける人がいないので、楽です。
 反面、なり立て当初は写真の基礎を教えてくれる人がいなかったので、機材やスタジヲの使い方や選び方はセオリーから乖離した方法をやる時もありますが、その方が仕事の上がりは他と少し違ってよろしいのだ。
 もっとも基本的な技術やクライアントの意向の汲み取り方は、現場でスタジヲマンさんとかモデルさんとかから勉強しましたけどね〜、微かな基本だけ。
 それでイイのだ。

FZR:「マスターは何時もそうなのですね」
狸穴:「まぁ、人間が造った社会の中で生きているんだから、
    こんな感じでイイんじゃなか」
FZR:「わたくしはオートバイですので良く判りませんが、
    イイような気がします。ところでマスター、今日は
    もう一つお仕事の打合せがありますわ」
狸穴:「ありゃ、そうだった。んじゃちょっと急ぐか」
FZR:「はい。では高速道路ですね。丁度新しいセッティン
    グの前脚のよう子も見れます」
狸穴:「首都高速空いてるかな……」

 久々に昼の首都高速です。
 アンダーブラケットを換えてついでにバネも変えて……。
 一般道ではそのセッティングの方向性が合っている事が判ったので、次は高速道路です。
 首都高速道路に入ってみたものの普段とあまり変わりない感じで混んではおりましたが、空いている所もあったり。
 アンダーブラケットを換えて以来、初めて入る首都高です。
 流れに乗って走る程度では全然問題なし。ニュートラルなステアです。
 次第に速度を上げても一般道で得た感触と同じです。
 以前の鉄アンダーブラケットでは得られなかった反応の速さのおかげで、すり抜けも車線変更も、減速も全体的に収束も早くアクションが早目に終了するので楽です。
 ある程度速度の乗っている深めのバンクを、長い時間要求するGの高い高速コーナの中でも動きやすくなりました。
 タイヤの位置が決まるとラインが決めやすいです。
 安全マージンは確実に上がった。

FZR:「走行ラインの選択幅も拡がりましたわ」
狸穴:「どこからでも行けるって感じだねぇ」
FZR:「深いバンク角を維持する高速コーナーの中からでも、
    ブレーキが使えると言う事はありがたいですわ」
狸穴:「一番大きく変わったのはそのあたりかも。FZRじ
    ゃ行かないけれど筑波の最終コーナーとか各コーナ
    ーの進入ではブレーキのタイミングを遅らせること
    が出来そうだし、突込みで競り合う事になった際に
    はラインの選択肢に幅が出来るのでインに付きやす
    いかな」
FZR:「サーキットではそうですね。でも公道ではそんな事
    しちゃ駄目ですよ」
狸穴:「了解。公道では予定して進入しようとしているライ
    ンを、なにかあった時にある程度崩せるから、妙な
    動きをしている自動車から離れて走れるので安全」
FZR:「最近の自動車の横方向の動きは素早いですものね」

 でも、フロントフォークに新しく入れたバネのイニシャルが少し高いような感じです。
 イニシャルを現状から少し落せば、フロント廻りの動作が少し重たくなりますが、普段に走るにはその方が乗りやすいのかな……。
 フォークの入りが若干速くなれば、フレームやタイヤに掛るストレスが減らせます。
 現時点では高速道路程度を速く走るには丁度良いので、あと少し低速時の状況にセッティングを合わせた方が良い感じです。
 減速の際に大きな挙動変化をしない程たびにイニシャルを落してみよう。
 イニシャル調整可能なフォークキャップはまだ出来ていないので、今のところは中に入っているカラーの長さをつめて合せてみます。
 カラーの長さを最弱の位置で普段一番多く走る公道に合わせておけば、調整式キャップを着けた際に高い速たびにもすぐ合わせられるのだ。
 タイヤが換わればその辺りのセッティングも少し変わる事になるので、調整式のキャップがあるとフォークを毎回開けなくても、イニシャルと油面のコントロールが出来るので便利です。

 で、渋谷で打合せのクライアント先に到着。
 打合せを終える間、FZRはそこの来客用駐車場のモニターカメラの前で待機です。
 管理人さんがいる所なので、挨拶をしてFZRをお願いします。
 最近渋谷は舗道に停めておいたりすると、オートバイも駐禁を切られるのでした。
 歩行者の邪魔になるからね。

FZR:「では、お待ちしております」
狸穴:「撮影日の決定と段取りだけだからすぐに戻って来る」
FZR:「行ってらっしゃい〜」

 オートバイから離れる時は色々と気になる事があるのでした。
 打合せはほぼ30分で終了。
 内容は固定で簡単にで良いから、各カット5秒づつ資料兼宣材CD用にデジ・ムービーでも撮っておいてくれとの事。
 へいへい。
 最近は高性能なデジタルビデオが民生機でもあるのでありがたいです。

狸穴:「ただいま〜」
FZR:「早かったですね」
狸穴:「カット数が減った」
FZR:「あらら……」

 どこも資金難なのだ。
 で、同じく渋谷にいる筈の師匠に電話。
 すぐ近所の某国営放送局におりました。
 局から出て来るというので、その近くの茶店にて合流の予定。
 FZRはその店の前で待機。
 残念だが今度は舗道だ……店内から見える所に駐機しておこう。

狸穴:「ども〜」
師匠:「遠路遥々お疲れ〜」
狸穴:「近くにいたのでした。ところで何用?」
師匠:「最近お仕事はどう?」
狸穴:「不景気でやんす」
師匠:「どこでもそうだな」
狸穴:「師匠の所も?」
師匠:「まぁな。でもちょっと新しい動きもある」
狸穴:「ふーん」

 師匠の所では新しい動きがあるそうだ。遂にタイ国へ移住するのかな……。
 話を聴いてみると、お仕事系の事案で結構大掛かりな動きらしい。
 師匠は、たまにその某国営放送の番組終了の際のスタッフロールに照明として名前が出ちゃったりしているのだが、色々なつながりがあって番組撮影会社を仕立てる事になったそうな。
 ムービーじゃ現場スタッフに必要なカメラマン数名と照明、音声、VE、とあと何人か助手ががいればなんとかなるから、それらの作業が出来る人間を30〜50名ほど口入れ会社として押さえておいてくれないかとの事だったらしい。
 ムービーな世界だし、スチールなあっしには全〜然関係ないお話しでした。
 で、元々フリーランスな師匠もそんな大掛かりな事をやったこと無いし、思考をまとめるのにあっしを呼んだらしいです。
(なんで?)

師匠:「会社組織を造る方法とそのまとめ方が判らん」
狸穴:「俺も判らんよ。小さい会社しかやった事ない」
師匠:「一応会社は一緒に組むwさんが法人を持っているし、
    もう一つ別の会社を組み込むから人数的には間に合
    うのだが、俺は社長なんてやった事ないから個人的
    にお前がチェックしろということだ」
狸穴:「責任、持てんよ」
師匠:「俺の頭を整理するのに、狸穴がいると便利だという
    ことだ」
狸穴:「なんだ、いつもどうりじゃん。秘訣はこの国じゃな
    るべくリスクも物も持たない方が良いかも」
師匠:「まぁね。人が増えると色々大変なんだよ」
狸穴:「イイねぇ〜、景気良さそう」
師匠:「今度のコレを成功させれば、相手はデカイから老後
    も安心なんだ」
狸穴:「あっしがなんの役に立つか判らんですが、お世話に
    なっているのでお手伝い出来る事があれば申し付け
    下さい〜」
師匠:「具体的には、まだどう手伝って貰うか決まってない
    けどね」

 おやおや、あっし相手に駆引きですか……そんなの心配なさらなくても。
 そう言えば、大きな組織を相手にする感覚は師匠には無かったかも。(ちょっと心配……)
 てっきり何か怒られるかと思ったら、そんなことでした。
 師匠にこんな仕掛けを用意させると言う事は、元々コマーシャルな世界にいた師匠の周りにいる、最高度なコマーシャル・スタッフを番組制作に呼込みたいとの意向なのだろう。
 先方は同じ影像製作関係でもテレビとコマーシャルは少し離れた世界なので、そのツナギを師匠にやって貰おうと言う事な様です。
 多チャンネル化とデジタル放送等、色々テレビ屋さんも苦慮しているのかな。
 多分師匠の所に回って来るお仕事は、局でこなしきれないコマーシャルレベルを要求する厄介な内容ばかりだと思います。
 影像がキレイに配信されると言う事は大変なのでした
 大変そうです。
 少し離れた所にいて、顔が割れていないあっしのようなのがいると師匠も便利なのだ。
 あっしには何のリスクもギャラもないし、時々お手伝い出来れば良しです。
 家具のデザイン屋をやっていた時に、多少大きな組織との付合い方も心得ているしね〜。
 世の中何が役に立つか判らんです……。

FZR:「どうでした」
狸穴:「怒られる、と言う事ではなかったよ」
FZR:「最近マスターはあまり仕事してませんものね」
狸穴:「んだ。仕事が無ければ自動的に怒られないのだ」
FZR:「……そんな安心の仕方もあるんですね〜」
狸穴:「わはは。ちょっと悲しいなぁ」
FZR:「早く景気が良くなるとイイですわね」
狸穴:「だな。まあ、景気良くなっても基本的には俺とFZ
    Rは変らんさ」
FZR:「そうですね。マスターの所にはお金は来ないですね」
狸穴:「……それを言うな、ちょっと痛い」
FZR:「頑張ってくださいね」
狸穴:「へいへい」

 と言う訳で、帰りに闇ガレイジのき〜氏の所に寄って、FZRのフロントフォーク・スプリングのイニシャルを約6mm抜いてみました。
 結果は少しフロント廻りの反応は鈍くなったけれど、街乗りはしやすくなりました。
 −6mmだと、ちょっと落し過ぎたかも。
 しばらくはこのままで乗ってみるけれど、いつかイニシャル調整式キャップがついたら+2mmしてみるかな……。
 ちょっと落着き過ぎたかも。
 フォークスプリングの調整は結構シビアで、変更量が小さくても動作に反応するのでした。
 タイヤが換わればまたやり直し……。
 セッティングが決まれば、とても乗りやすい。
 でも、普通に乗るにはどちらも同じかな……。
 せっかく乗るのだから少しでも良い方向に追込みたいのだ。

FZR:「そのお影で色々な実験をされてわたくしは大変ですわ」
狸穴:「だねぇ。わはは」
FZR:「ではマスター、実験しながら帰りましょう」
狸穴:「応〜。ところでFZRのお店、どだ?」
FZR:「おかげさまで、頑張っておりますわ」
狸穴:「そか、んじゃバイトさせてもらうかなぁ」
FZR:「どぞ。マスターのためにリアカーを用意してあげます
    わ」
狸穴:「……なるほど」

 皆様、FZRめがお世話になっているようで、本当にありがとうございます。

師匠 マミアナ+FZRx

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