| 狸穴:「FZR、そろそろアレが出来上がった時間だ」
FZR:「アレですか。では本日の行き先は内燃機屋さんですね」
狸穴:「んだ」
FZRの性能の基本的な部分に関わる、ある部品を準備中だったのでした。
そのパーツは、実験車なFZRならではの内容。
《弐號》をはじめ《秋水號》、FZR600x……等々最近やっているオートバイの要求スペックがかなり上がって来ているので、現状のFZRでは実験にならなくなる事も案件によってはたまにあります。
ついに、今まで保って来たFZRのFZRらしさを少し削って、更に進化させねばならなくなって来たのでした。
元々が実験用のFZR、しかし結果を反映する事になるオートバイ達の要求スペックがFZRよリも上がってしまい、現状のFZRでは低いレベルの実験しかこなせなくなり始めております。
もっともこう言う場合はFZRを退役させて、今ある新しいドカとかYZF R1、伯爵等、違う物に乗り換えると言う選択肢もありますし、そのあたりは今後もずっと続く事になると思いますが……かと言って、競技用の異状に高度化・特化した限られた性能のオートバイの調整をする実験ではなく、公道を走行するオートバイが相手なのでもう少しFZRに頑張って頂く事になったのでした。
エンジン出力やフレーム材料・強度はかなり違いますが、公道という走る場所が決定されているのでFZRでもまだ間に合うのでした。
実際に、実験FZRで手に負えなかったりした場合、反映するオートバイで試行錯誤する事になり、コストがとても大きくなってしまうのでした。
あっしの場合はどのオートバイをやるにも、細かい実験の際には現状のFZRを基準にして行いますので、基準となるFZRの各部の動きは、ある点では現行のオートバイよりも高度な動きをする部分もありますし、その逆もあったりします。
でも、基準のFZRでは間に合わないと判断した場合は、FZR自体を進化させる事になるのでした。
FZR:「どのくらい変わるのですか」
狸穴:「さてねぇ……まだ実験して無いから何とも言えないけ
ど。曲ると言う事に関しては大きく変わるかな……フ
レームにも今回は手が入るかも知れない」
FZR:「大丈夫でしょうか」
狸穴:「……ギリギリかな。でもエンジン形式が変わるとい
う訳でもないし、フレームを新たに新造すると言う訳
でもないから」
FZR:「でも、かなり変わってしまうのですよね……」
狸穴:「だねぇ……良くなるか悪くなるかは全く判らんし、
それによって俺の走り方もかなり変わる」
FZR:「ものすごく大切な部分ですモノね」
狸穴:「今までもかなり変わって来たけれど、今回のはちょ
っと大きな変化かな」
FZR:「コレにより、他のオートバイさん達にも良い事が反
映出来るのでしょうか」
狸穴:「成功すればね」
FZR:「失敗したら……わたくしは」
狸穴:「……完全には元に戻れなくなるかも知れないけど、
その場合は可能な所(フレーム以外)までは元に戻す
よ。でも今回も成功するよ」
FZR:「成功に必要な実験3・ABSOや、バネ等調整部品
はすでに揃ってますモノね……」
進化と言っても、すぐにそのパーツを組み替える訳ではなく、しばらくは図面屋さんやその他のパーツをどうするか、熔接屋さんとかバネ屋さんと相談してある程度まとまってから始めるのでした。
その基本部品が組上がったので、これから取りに行く事になったのでした。
組み上がる前の材料からの切り出しや、その形状や仕上げを行ったのはいつもFZRがお世話になっている闇ガレージの祁門さん。
久しぶりに国道16号を千葉方向に南下。
千葉県内なので、それほど混んではいません。
途中、道路の舗装を削り直して補修している所を通過しましたが、フロントタイヤが減っている事を訴えるくらいで、FZRは普通に走っております。
昼の移動なので楽です。
内燃機屋さんについてから、出来上がったモノを確認。
合計4体出来上がっている部品のうち、FZR用のモノだけちょっと軽微な調整が必要になり、再加工のため違う工場に移動。
軽微な加工を終えたパーツを内燃機屋さんにて、時間を掛けて組み上げ。
この作業行程は一気にエイヤ! とは出来ないのだ……。
待っていた間に、内燃機屋さんで巨大な高出力エンジンを積む車両から、クランクシャフトを更に強い物に換えるため、エンジン脱着を手伝う。
ナンバープレートは付いているのだから公道を走る自動車だろうけど、一体なんでこんなに出力を上げる必要がるのだろうか? 見栄かなぁ……。
運転が巧い人なんだろう。
シーケンシャルな6速ミッションを素速く操作するために、クランクシャフトを軽量強化された物に換えて物凄く速い反応速度のエンジンを造るそうだ……。
降ろす前のエンジンをブリッピングしてみたけど、充分に速いのに更にとは……。
世の中、色々です。
3次元パイプ・ベンダー製の蛸足状の排気管も全部新造……。
轟音大会?
自動車に9000rpmなエンジンとは!
で、その間に様子をみながらアレの作業を進めて、FZR用も出来上がり。
狸穴:「コレだよ」
FZR:「コレですか……カッコ良いです、でもわたくしには
やはりover specですねぇ」
狸穴:「FZRはカウルが付いているから、外から確認が出
来難いのでちょっと残念だね」
FZR:「皆様にお見せ致したいですわ」
狸穴:「だね〜」
FZR:「わたくしでは『猫に小判』と言われそうですわ」
狸穴:「コレを見たらそういう風に言う人は多いかも」
FZR:「この部品は、本来一番小さなFZRであるわたくし
が使うような部品ではございません」
狸穴:「一般的にはね。でも走ってみればこの部品が凄い事
が良く判る」
FZR:「そのためには、その部品に付随する装置の動きが、
現状より更に高度にコレと完全に安定同期していない
とならないのですよね」
狸穴:「んだ。そのためのデータはすでにある。半分位は
《弐號》がくれた」
FZR:「《弐號》様ありがとうございます」
弐號:「FZRからも今までにたくさんのデータを貰ってま
すから、たまにはこちらからもおかえし致します」
狸穴:「ある意味では、《弐號》とFZRは兄妹な関係だもん
な」
《弐號》は競技の世界からデータを持寄り、FZRは公道の世界からデータを持寄って互いに共振しあっているのでした。(そのせいで、安全マージンを多く取るため、コツコツで物凄く時間が掛かってます……ごめんなさい>S氏)
その隙間にFZR600xがいたり、《秋水號》が刺さっていたり……並行したラインではSRXな流れもあるのでした。
決して公には出ない流れの、小さなSPAやバックヤードなビルダーが集まっているので、ちょっとココだけ西欧な雰囲気です。(秋水以来、最近はデータ上では本物の海外のビルダーさんまでポツポツと出入を始めています……)
狸穴:「さて、戻るとするか」
FZR:「はい。ではわたくしに、その部品の入っている箱を
積んで戻りましょう」
狸穴:「今日は自分の部品も積んで走れるねぇ」
FZR:「久しぶりですわ」
普段、FZRの積む部品はほとんどが他車両の部品なのでした。
《弐號》 マミアナ+FZRx
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