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先日こきちさんから引受けた、シリンダーのボーリングが出来上がったと内燃機屋さんから電話が掛かって来た。
で、取りに行く。
70km先にあるエンジン屋さんなので、ちょっと遠いです。
そこまで行く道も、ちょっとツーリングな感じで牧歌的。
エラク環境の良い所にあるのだ。
FZR:「この方角ですと、わたくしのエンジンを造ったエン
ジン屋さんですね」
狸穴:「んだ、こきちさんのSRX250用のシリンダーが
出来上がったって」
FZR:「シングルだとシリンダーは一つですから、運ぶのも
軽くて楽ですわ」
狸穴:「そう言えば、しばらく前にカワサキ・ゼファーのシ
リンダーとヘッドを積んで走った事があったっけ」
FZR:「アレは……重たかったです。ギャップを越える時に
はフロントが浮き気味になり、シートレールが曲る
かと思いました」
狸穴:「わはは。重たかったねぇ」
FZR:「今回はどのような事をしたのですか」
狸穴:「普通にオーバーサイズの純正ピストンで掘り直しと、
ちょっとだけシリンダー面研」
FZR:「あ、圧縮上げたのですか」
狸穴:「ちょっとだけね。ピストンヘッドの加工を要求する
ほどはやっていない」
FZR:「乗った感じはどうなるのですか」
狸穴:「ちょっと元気になるかも」
あまり圧縮上げ過ぎると、燃焼温度が設定より上がり、その結果油温が上がったりエンジンの寿命が早期に来たりと、メンテナンスを頻繁に要求するようになってしまうのでした。
シリンダーブロック内に圧入されているスリーブの熱が、設定以上に上がると、熱間時に部分的な膨張が発生し、強度的に弱い部分の一部だけが内側に入って来てしまったり、その結果ピストンとの当りが強くなったりして部分的に偏摩耗してしまったりするのでした。
そんなスリーブの中で上下動するピストン側も、その部分だけが減ります。
となると圧縮が逃げてしまうので、正常な燃焼を安定して行えなくなり、出力が足りなくなります。
もっと排気量の大きいエンジンだと、スタットボルトのあたりだけピストンと強く当ってしまうなんて事もあります。
圧縮もあまり上げ過ぎると、高回転まで回らないエンジンになってしまったり、ちょっと気を使う部分なのです。
冷間時と熱間時の其々で、シリンダーとピストンのクリアランスが具合良くなるようにボーリングするのが良いのでした。(細かな事を言い始めるとシリンダーのSV比とか、異金属間の放熱効率とか……面倒なので割愛します〜)
FZRのエンジンもシリンダー内での混合気のフローを促進させるため、燃焼室形状はデフォルトとはかなり違っていますが、圧縮はホンの少ししか上げておりません。
短期決戦エンジンならばシリンダー面研をして、あと2キロほど圧縮を上げられますが、そうなると排気システムも全面変更を要求して来るし、クランクシャフトの振動発生回転数を制御しないと、ケースやクランク本体のバランスも狂いますので色々と大変なのでした。
でも、ちょっとは元気になって頂きたい、とご本人も思うでしょうから、ホンのちょっとだけ面研したのでした。
どのみち、走っていたエンジンのシリンダーは大抵外してみると、熱による歪みが出ていて、当たり前なので面研はデフォルトなのでした。
オーバーサイズに合せてシリンダーを掘る前に測ってみると、ちょっと樽型に減っておりました。
でも、まだ使えそうでしたが、削ってしまいました。
ただちょっとした問題もあったり。
スリーブの外形に対して、内径が少しだけ右に偏振しておりました。
工具に当てて削り始める時に気が付きました。
切削行程で工具に削りカスが挟まっていたのかも……。(あり得ない事なんだが……)
こんなこともあるんですね〜、珍しいです。
何か狙いがあってこうなっていたのかとメーカに訊いたら、そんな事は無いとのコト。
まあ、気にしなくても良い程度の数値なのですが、一応組む時にはその辺の影響が腰下に出ていないか点検かな……。
斜めにスリーブを掘られている場合と違って、問題は無いと思いますけど。
純正のピストンなので、クリアランスは4/100です。
クロスハッチも油膜がしっかり乗るように、でも抵抗にならないように。ガコーガコー……。
あとはヘッドの状態が良ければ、燃焼室は問題無しです。
シリンダーの消耗具合からも、無茶苦茶な走り方をされたエンジンではないようですし、ヘッドも無事でしょう。
カムはどれを使うのかな〜FCRキャブと合いそうなXT用だろうな、多分。
点火系は初期のSRX250の物で間に合いそうな感じです。
このSRX250は使用状況としては、ほぼ通勤号なので出力よりも安定した運行が出来る事を主に、でもたまに競技にも使うと言うオートバイらしいのでちょっとだけ速くなってます。
吸気はFCR28φキャブだし、排気も替わっているのでこんな感じかなぁ。
こきちさんの所に来た当初は、ちょっと汚れていたけれど今は車体も大変キレイ。
SRXも400ccや600ccのモノは、激しくカスタムされる方が多いのですが、250ccをカスタムする方は少ないらしく、データを集める事から始めなくてはなりません。
同系統のエンジンを積んだXT250TやTT350等々……全部買ってはバラして比較して、考察してためして……と大変です。
時間も労力もお金も場所も知識もかかります。
FZRも250ccを内部までいじる人は、ほとんどいません。
大変でした。
いじった揚げ句に危険な乗物になったり、良く壊れる乗物になったりでは困りますので、完成度を上げると言う行為をしなければナリません。
激大変です。
買った部品を付けるだけなら簡単だけど、様々な安全とか環境とか言う事を考慮しながら完成度を上げて行くと言う事は、見た目以上に大変なのでした。
FZR:「お手間をお掛け致しました」
狸穴:「だねぇ〜、でもその分働いてもらっているから問題
無し」
FZR:「マスターの所に来るオートバイは、耐久性と安全性
向上のついでに出力が上がってしまっているという
のが多目ですね」
狸穴:「だな。あとはライダーのサイズや乗り方に、全体を
合わせてしまうとか。そのあたりで止めておかない
と大変な事になるのだ」
FZR:「でも、大変な事になっているのもたまにお見受け致
しますが」
狸穴:「たまには良いのだ。そう言うオートバイは1オーナ
ーだけに合わせて作れるから、見えない部分で大変
だけど」
FZR:「わたくしは?」
狸穴:「しばらく前はそんな風にしてしまおうかと思ったが、
今は多分誰が乗っても乗り易い状態かもね」
FZR:「わたくし的にはその方がFZRらしくて良いですわ」
狸穴:「そか」
しかし現在酷い雨です。
豪雨と言う状態。道路には水が溜まり始めてます。
視界もライトをHIDに戻したので、照射範囲のセンターだけは確認出来るけど30m前が雨で霞んで良く見えない。
こんな状況でもちゃんと止まらず普段と同じに走ってくれるようになったのだ。FZRに感謝です。
でもウエットスーツな素材のグローブだと、ここまで激しく雨が降ると手が痛いです。
鞄の中、水没しておらねば良いが……。
マミアナ+FZRx
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