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狸穴:「FZRは、しばらく動けないかも……」
FZR:「なんでですか? わたくしは何も悪事をしておりま
せんが。秋水様の作業工程が更に延びるのですか」
狸穴:「そうじゃないのだが……」
FZR:「ついにマスターとお別れでしょうか……」
狸穴:「違うのだ」
FZR:「では何故? わたくしは現在好調ですし……マスタ
ー、秋水様のテスト中に最高速実験で検挙されたと
かですか」
狸穴:「実は……FZRのカギを落してしまったのだ」
FZR:「え…………」
迂闊にも、《秋水號》のチャンバー合せをしている間に、FZRのカギをどこかに落してしまったのでした。
落したと思われる所に聞いて回るもどこにも無いとの事……。
ウ〜ン。
FZR:「マスター、わたくしには何の落ち度もありません。
わたくしの事を大事に思われていなかった結果とか
……」
狸穴:「そう思われても致し方無い、ゴメン。秋水のエンジ
ンに神経向け過ぎて、FZRのカギに注意が回って
いなかったのだ」
FZR:「予備のカギはないのですか」
狸穴:「ないのだ。FZRのカギと一緒にアジトのカギも無
くなったのだが、今回のように失くすと大変な目に
遭うように、どちらも予備は用意していなかった」
FZR:「アジトのカギはどうされたのですか」
狸穴:「ちょうど折り悪く、不祝儀が絡んだのでアジトから
礼服等をサルベージする必要があったので、ドアカ
ギの内部を破壊して開けた」
FZR:「アジト、カギ無しですか……不用心ですねぇ」
狸穴:「まったくで」
FZR:「わたくしのカギは……」
狸穴:「キーセット交換になるなぁ、きっと」
ふとした不注意が、とんだ出費になってしまった。
最近、不思議な事に右手で触れた事柄に関してボケが発生してるらしく、不注意な事が多いのでした。
買い物先でも、商品を展示棚からとり出しレジに持って行く際に、とり出した商品の場所にサイフを入れ替わりに置いて来てしまい、レジでサイフが無いと気が付いたり……。
他のお客さんが不思議そうに見てました。
缶ジュースを取り出した後のスロットにサイフを入れて来たり。
あっしの右手は確実にボケが発生中です。
そろそろ交換時期かなぁ……。
そのうちスロットルを戻し忘れなきゃ良いが……心配。
FZR:「左腕と同様、ナノマシン化されてはいかがでしょうか」
狸穴:「そうだなぁ……少し修理してみてダメだったら、左
腕を構成しているナノマシンに自己増殖を促進させ
て、右腕も構成させるか」
FZR:「左腕2本にならないようにお気を付けて」
狸穴:「へい」
と言う訳で、キーセットのパーツが来るまでしばらくFZRに乗れません。
FZRのキーセットの在庫は、まだあるのだろうか……。
13億7千万年間も起動しているとダメなところ続出……。
重要な部分を調整する際は左腕にやってもらおう。
ヒューマノイドもたまにはO/Hしなければならんと言う事らしいです。
BIOSまで逝ってなくて良かった。
でも記憶装置と反応装置は、自己修復機能の耐応年数を満了しかけているようでそろそろ交換時期だ……。
景気の悪いこの時期に、痛い出費です。
FZR:「マスター、お知り合いの方のご葬儀の予定ですよね」
狸穴:「んだ。危篤でもう助からないらしい」
FZR:「どなたなのですか」
狸穴:「三度の大戦を経験し、かつて美人で鳴らした気っ風
の良い明治ギャールなのだ。入院嫌いと言うのもあ
っしと同じDNA」
FZR:「では、わたくしが動けないと言う事はとても不便な
のでは」(そのDNA、わたくしとも同じかも)
狸穴:「だな。自分を呪うしかない」
FZR:「場所はどこですか」
狸穴:「石川県の金沢市だ」
FZR:「金沢ですか……女性の方達やオジサマ達に人気の場
所ですね。少し前のオタクの方達にもご好評だった
ような気がしますが」
狸穴:「詳しくは知らんがそうだったらしいね。でもあっし
はあまりあそこは好きじゃないのだ」
FZR:「わたくしは、ソコに行くまでの行程が期待ですわ。
ツーリング雑誌で読みました」
狸穴:「オイオイ……葬儀に行くのだぞ遊びに行くんじゃな
い。それにFZRだとちょっと遠いから今回はカギ
無しだしアジトにて待機だ」
FZR:「いつか連れていって下さいね」
狸穴:「そのうちね、機会があったら」
FZR:「はい」
礼服着たまま長距離をFZRって訳にも行かないし、FZRはお休み。
と、先程その御方が亡くなられたとの知らせが……。
お約束通り、その知らせが入る少し前に予兆もございました。
100年弱と言う長い存命期間なので、大往生と言うことでした。
合掌。
みな、あっしより先に亡くなって逝くのだ……。
マミアナ+FZRx
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