|
谷博士の所に行くまでの間、異常妄想中のexupのバルブを回路からパージして、強制的に解放固定の位置で走ってみた。
トルクが立上がる前のパワーの無い、アイドル回転〜4500rpmでの排気音が消音器の中で反響して、かなりやかましく遅かった。
対して5000〜19000rpまではとても良く吹けた。
ほぼexupが全開に近い状態なので、今まで抑えていた出力規制が全部外れてFZRは能力解放状態。
ためしに一度だけ19000rpmの上限まで2、3速を使って引っ張ってみると……。
かなり強力な加速をしてくれた。アクセルウイーリー寸前。
19000rpmを越えてもまだまだ回りそうです。(多分壊れるまで上がる。内緒ですが普段のFZRの回路は、高回転域で少しexupのバルブをわずかに閉じて、音と出力を押えているのでした)
信号で同時スタートしてくれた少し古いカワサキの水冷4気筒4発車を誘って発進加速をためしてみたが、負けませんでした。勝っちゃった!
ただ、出力解放のため弊害も二つ……。
出力に負けて、12000rpm以上でのスロットル解放ではクラッチが滑ってた。
始めてです。
もっとも60000km近くを走り少し減ったクラッチ板だし、スプリングも殊更に強化はしていない。
エンジン的にはそれだけの事しているので、ノーマルの250cc設定のままのクラッチが滑るのはある意味当然かな。
狸穴:「ホントはこんなに力があったんだねぇ」
FZR:「普段はマスターに合わせて減力しているのです」
狸穴:「キャブも、今は全開可能だもんね」
FZR:「その分、マスターの免許が危険です」
狸穴:「んだ。また元に戻そう」
FZR:「はい。脚回り的にはまだ行けますけど、その方が安
心かと」
もう一つは、この状態だと排気音が大き過ぎる。
高い周波数の反射波を拾って、走っている自分が乗っていて一番辛いのだ。
消音器は完全に容量不足で音を消し切れず、ヘタな社外の消音器よりも太い音が何の方向性も無く、いろんな角度に放射され回り込んで来て走り難い。
コレが回転上限まで続く。
シフトを頻繁に上下させながら走る時など、上の方の回転域で5速→2速などスロットルを使って、回転を合せる際にはエンジンの反応速度もかなり速いのだが……残念な事に、
狸穴:「なんだか粗野で下品な音になってしまった。肉食獣
が吠えているって感じだねぇ」
FZR:「耐えられませんわ」
狸穴:「中尉の《銀河號》ほどの音量じゃないけれど、サン
パートラップなSRX400よりも音が大きいかも。
ついでに4発の超高回転で珍車だ」
(編註:ウチのBAJA搭載のUSヨシムラ、その辺のリッター
バイクより遥かにうるさい。世間様に申し訳ないことです)
FZR:「やはり、わたくしにはexupは必要です」
狸穴:「exupが付いていると、発進停止の多い都内では
乗っていて楽だしね」
でも、エンジンが壊れるまで回るこの状態のデータも取れました。
いざという時は、この状態を設定するスイッチを付ければ良いのだ。
まあ、『いざという時』ってのがなんだか良くわからないけど。
他に例えるなら、ブーストポッド作動〜! ってな感じ?
エンジン臨界点までどのくらいあるのか判りませんが。
FZR:「そのようなスイッチは無い方が良いと思います」
狸穴:「そか、んじゃ面倒だし、やめておこう」
と言う事で、またFZRには枷が填められることとなりました。新しい枷は、水温を下げるためもあり、ちょっとだけ開き気味ですけど。
コレでイイのだ。
今までだって冬用の一番低速重視の設定で間に合っている。
高回転域を常用するようになると機関は早く減る。
そう言うモノが欲しい時は、素直に大きな排気量のオートバイに乗れば良い。
でも、大きなオートバイは重量も150kgを越えて大きいのでした。
谷博士の研究所へ久々にお邪魔した。
Dr.ユ〜レイに左腕をもがれた時にもお世話になったのだ。
去年はしばらくの間諸事情により不在だった谷博士も、半年ほど前から戻って来ているとの事。
どこに行っていたのかは判らないが、半年ほど研究所を留守にしてアメリカと名古屋にいたそうだ。
博士:「FZRはまだ動いていたか、久しぶりじゃな。今日
は世の中には異変はないか」
FZR:「最近は毎日いろいろな事がありますので、全部は判
りかねます。博士も相変わらずおキレイな白髪から
の放電も多く……」
博士:「ビバトロンにだけは近付くでないぞ」
FZR:「はい。我がマスターも気を付けております」
狸穴:「んだ」
博士:「どころで、今日は何用じゃ」
狸穴:「昨日FZRの電装系に異常が発生しました。FZR
の自己診断では回路には異常は無いとの事なのです
が、相談した結果、今まで1年ほど博士のチェック
を受けていないので定期検査をして頂こうと考えま
した」
FZR:「現在の7個目の回路は、安定しておりますが、まだ
一度も診断を受けておりません」
博士:「よし。では回路を取出し検査してみよう」
狸穴:「お願い致します」
FZR:「今日はマスターの左肩の予備電子脳は検査しないの
ですか」
狸穴:「コレは検査代掛るから、今日はいいのだ。痛いし」
と言う事でFZRの乙女・妄想回路を取りだし、谷博士の用意してくれた検査用プローブに接続。
FZRの回路のデータが画面に表示されコピーされた。
谷博士のコンピュータに保存されていたデータと突き合わせ。
博士:「両回路共にどこにも異常は無い。負荷を掛けても入
力信号に対して回路は設定通りの正常な出力反応
を示しておる。計算速度も落ちていない」
狸穴:「そうですか……。でも実際に走ると少し反応が遅れ
ています」
博士:「exupのサーボモータと対になっている、センサ
個体の異常ではないのか」
狸穴:「そうかも」
FZR:「わたくしもセンサ個体の診断は出来ませんので、考
えられますわ」
と言う事で、サーボモータ脇にあるセンサ(可変抵抗器)を取出して点検。
博士:「原因はコレじゃな……」
狸穴:「こんなモノが壊れるのですか? ただの副交感神経
系ですが」
博士:「抵抗値が無限大の箇所がスポットである」
FZR:「表示では、その位置以降(6500rpmあたり)で
はexupのバルブを閉じている症状が出ておりま
すわ」
狸穴:「だからそれ以上回転が上がらなかったのだ。妄想回
路がセンサに騙されていたのか」
博士:「センサをもう少し精度の高いモノに換えてみよう」
センサを高精度高耐久品に交換して走ってみる。
exupの起動初期のセルフクリーニングが機能する時の音が変った。
同時に発覚した駆動モータの劣化。
かなりくたびれていたようだ。コレも交換。
狸穴:「いつもexupが活発に作動する回転域で走ってい
たからねぇ。くわえて、ここのところバルブの鳴き
を抑えるため、操作ワイヤーのテンションを高くし
ていたので負担が増えていたのだ」
FZR:「サーボモータもそろそろ交換時期に来ていたのです
ね」
狸穴:「そうらしい」
反応速度を上げるためにトルクが強いモータを使っていたのだが、普段から作動する事の多い都市部で低中回転域を中心に使っていたので減ってしまったらしい。
モータのトルクを上げた分、耐久時間が少なかったのかも。
サーボユニット内にある、樹脂製の数個の減速ギアの歯には問題は発生していない。
でもセンサの異常は何が原因なのだろか??
散々考えた揚げ句、思い浮かんだのは#1エンジンのプラグコードが劣化を起しリークしていた、その電流がセンサーにアーク放電したかも。
乙女・妄想回路の方は一応、こんな事もあろうか……とシールドと安全開路を積んでいるので何の異常も起さなかったようです。
コレで原因が判ったのだ。プラグのハイテンションコードの劣化だ。
何はともあれ、状態が復旧して良かった!
狸穴:「良かったねぇ〜直って」
FZR:「はい」
オイルも新しいし、めでたし。
谷博士 マミアナ+FZRx
|