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彼日、打合せがあったので新宿へ。
某衣料品輸入商社の、日本向け商品カタログの一部アイテム変更に伴う撮影なのでした。
FZR:「お仕事ですね」
狸穴:「んだ。FZRはいつもの所で待機だ」
FZR:「どのくらいのお時間ですか」
狸穴:「デザイナーさんからのコンテは上がっているし、2
時間位かなぁ」
FZR:「では、商品内容の確認だけですね」
狸穴:「そそ」
と言う事で、FZRは以前若いカップルと一緒に記念撮影されていた場所にて待機。
一応、ホイールロックもする。
FZRの隣にはほぼ新車状態のW650がおりました。
ハンドルたくさん切れるし、都内じゃ乗り易そうだなぁ。
もう一台向こう側にはCB750F、こちらはそれなりにヤレてます。
打合せに行くと、服だけを撮るかモデルに着せて撮るかとかで揉めておりました。
予算の関係なのだそうだ。
大抵、この手のお話はあっしの所に来る前に終わっているのに……現場で変更が多そうだなぁ。
まあ、気にすることも無いのだ、最近じゃこんなのあたり前〜。
一応、段取りが決まって今風の若い男の子のモデルさんが3人選ばれていた。
あっしは、こういう事には自分からは発言しないのでした。
発言すると責任まで回って来るからねぇ〜。
でも、微妙に背の高さの差が気になります。
現場でなんとかするか……。
狸穴:「終わったよ。お待ちどうさま」
FZR:「こちらもなんの問題も無く平和でした。W650さ
んも先程帰られました」
狸穴:「そか。次のお仕事はFZRはお休みみたいだよ」
FZR:「わたくしに積みきれない量の機材なのですね」
狸穴:「頑張れば積めるかも知れないが、無理はしないのだ」
FZR:「では、アジトPにてジッとしております」
ついでにフィルム等と古くなってきたCCフィルターを数種類を仕入れた。
ラボは休み明けの繁雑期も終わり、比較的空いております。
先日普段はあまり使わない予備のレンズを点検に出していたことを思い出したので、カメラメーカーのサービス窓口に移動。
ついでに、そのサービス受付に併設されている写真の展示場で何か展示されているらしいので拝見。
外国の街の景色とその町に住む少年少女がたくさん写っていた。
街の写真には、その国の自動車や日本のオートバイも走っていた。
外国にもバイク便はいるのだ。
白い合羽を着たライダーの黒いZZR1100が、荷箱を付けて雨天の街をかなり倒し込んでロータリー式交差点の中を水煙を上げながら走っていた。
凄いっす……。
石の街が背景だとオートバイや自動車が映えてます。
ZZRはこう言う都市に似合っているようです。素直そうでイイかも。
でもあっしがZZRに乗ったら、仇と同じだからついにカタをつけるのかと古い仲間にゃ勘繰られちゃうね〜。
やめとこ。
この写真は、脚を付けて撮らなかったのか……シャッターでブレたかなぁ。
写真にスピード感と時間を表すためにわざとかなぁ。
世界中にオートバイに乗っている奴もいれば、それを写真に撮っている奴もいるのだ。
どこも変わらん。
レンズは連絡通り、マウントが減っていたため交換されキレイになっておりました。
使い方が荒いのかも。
でも消耗品なので仕方ないのだ。
サービスセンタから出て来る時に、偶然あっしの師匠に会った。
狸穴:「あれれ……何やってるの」
師匠:「ぅを……でた! 狸穴」
狸穴:「出ちゃ悪いですか」
師匠:「ん……。修理上がりか?」
狸穴:「だす。おキレイなお連れさまですねぇ」
師匠:「あ、こちらのお嬢さん、写真を覚えたいと言う」
狸穴:「こんちは。狸穴と申します、どうにか写真で食わせ
て頂いております」
24才:「はじめまして。24才と申します、今日は師匠に写
真を教えて頂いております」
師匠:「今日は展示の写真を見に来たんだよ」
狸穴:「たくさん展示されてましたよ。外国の写真」
24才:「楽しみです」
24才さん、現在求職中で時間がある内に写真を覚えたいとのこと……。
25才になったら25才さんになるのだな。
ってことは……56才になったら……う〜ん、大変ですね。
まあ、また会う事はないだろうけど、次回は名前で呼ばないとね。
狸穴:「んじゃ、あっしはっココで失礼させて頂きます」
師匠:「応、ンじゃまたね」
スタスタ行ってしまった。
ありゃ、師匠のタイプだなぁ。
『写真を教える』と言っても、結局自分で考えるのだ。師匠はその背景の一部だけに触れさせているだけ。常套手段って奴ですね〜。わはは。ガンバレ〜。
展示を見終ってから、新宿の町を首から下げたあの中古マニュアル操作のカメラで撮りに行くのか。
その前に、サービスセンターで点検ね……。
楽しそうですね。
お幸せに〜。
狸穴:「レンズ出来てた」
FZR:「次のお仕事で使うのですか」
狸穴:「イヤ、コレは多分必要ない」
FZR:「ではテストですね。たまにはわたくしをお撮りにな
られては」
狸穴:「そう言えば、FZRを真面目に撮ったことは一度も
無いねぇ」
FZR:「はい。何度か役者さんの小道具で、タイヤだけとか
画角に入らせて頂いた事はありますが」
狸穴:「んじゃ、いつか撮ってみるか」
FZR:「いつかですか、その時はキレイな外装だと嬉しいで
すわ」
狸穴:「ん〜、パーツが無い」
と言う事で、アジトに帰る事にいたしました。
帰る途中、オーバーパスの中で一台のGSX400FWが停まっていた。
ライダーと後に乗っていた娘が車道の端に寄って車の流れを避けている。
危ないなぁ、故障かな。
こりゃまた難儀な所で停まったモノだ。
そのまま行き過ぎようかなぁ……とも思ったが目が合った、オーバーパスの上り口だし重くて押すに押せない状態なのだろう。
後ろに憑けて止まりました。
狸穴:「どうしたの」
ライダ:「エンジンは掛っているんですけど全然加速しなく
て!! 押しても重くて登れなくって!!」
トラックがすぐ近くを路面を揺らしながら何台も過ぎて行きます。
……ヤバいです。
ライダーの兄ちゃんは半ベソ、お姉ちゃんは完ベソ。
ダメかも……。
FZR:「マスター、ココは危険ですわ」
狸穴:「だねぇ……エライ後続車の迷惑になってる」
FZR:「今日もトラクタービーム積んでませんから、わたく
しでは押せません」
狸穴:「んじゃ、バックして下に降りるか」
と言う事で、FWの後に乗っていた娘は役に立ちそうも無いので、ヘルメットを付けたまま注意しながら、先にオーバーパスを歩いて戻って頂く。
後に憑いていたあっしとFZRが先に後退し、続いてFWが後退。
FZRのウインカーを右に点けて、車が途切れた際には少し急いで後退。にょろにょろさん教わって、ウインカーシステムもハザード点けるように高輝度LED化するかなぁ……。
時々後続車がつまっております。渋滞の原因になっとるなぁ……。
なんとか2台で脱出成功。
先に降りていた娘が歩道に入って待っておりました。
狸穴 :「危なかったねぇ〜」
ライダー:「いや〜! 助かりました。ありがとうございます」
狸穴 :「急に走らなくなったって言ってたけど」
ライダー:「ギアは入っているんですけど、アクセル開けても回
転が上がるだけで、急に走らなくなっちゃって。ク
ラッチかなぁ……」
狸穴 :「オイル何入れてる」
ライダー:「純正です。多分6000キロくらい」
狸穴 :「それまでちゃんと走っていたんでしょ」
ライダー:「はい。3月に中古で買って、一度掛らなくなった時
にキャブ直してもらってバッテリーも換えました」
狸穴 :「クラッチだったら急には逝かないよ」
ライダー:「そうですか……」
FWをよく見る。
狸穴 :「あ……コレだ」
ライダー:「どこですか」
狸穴 :「チェーンが無い」
ライダー:「……ホントだ」
狸穴 :「『刀』じゃないけど、刃こぼれだねぇ」
わはは。チェーンが切れてどこかに落としてしまったのだ。切れた拍子に後輪に絡まなくて良かったね。
お嬢さんの左足に絡んでも大変な事になったな。
200mほど歩道を戻ると、FWのチェーンが車道に落ちておりました。
次々と車に踏まれております。
エライこっちゃ。踏んだ車に絡んだりしたら大惨事でやんす。
車の流れが途切れたのを見計らって、拾って来た。
狸穴 :「切れてるねぇ」
ライダー:「ホントだ……」
狸穴 :「緩んでたでしょ」
ライダー:「はい、緩んでいたので、昨日張り直しました」
狸穴 :「張り過ぎたかな。それ以前にこのチェーン、サビサ
ビだよ」
メンテが悪い!! と兄ちゃんはヒューマノイドに怒られてしまいました。
FWの所に戻って来ると、スプロケットも減っております。
ライダーはオートバイの重さも体験し、チェーンのことも勉強しました。
コレが南極の誰もいない所で起ったら大変だと言う事もご理解。
オートバイは動力が伝わらないと、いくらエンジンが回っても走らないのでした。
なんとかチェーンは見付けたけれど……ちぎれ曲った駒が外せません。
駒を落として、たまたま持っていたステンワイヤーで繋ごうと思ったのだ。
近くにガソリンスタンドがあったので、そこまでチェーンを持って行き、一番でかいヤスリを貸してもらって、ちぎれたアウタープレートの片割れのピンの片側を平たくなるまで削り落とします。
チェーンだから結構硬いです。サンダーがあればなぁ。
3回くらい交替してやっと平たくなりました。
で、その間に一緒に乗っていた女の子になるべく細くて安いドライバーをスーパーで2本買って来てもらった。
シャフトの所はチェーンのピンより少し細いので、丁度良い感じ。
ドライバーの先を先程のヤスリで切り飛ばして断面を平らにして、チェーンのピンの削り落とした所に垂直に当ててハンマーでガンガン〜。
ピン抜けました。
で、その間に持っていたステンの極細のワイヤーを10cmくらいに切ってもらい、それを車体に戻したチェーンの駒代わりに何重にもピン穴に入るだけ巻きます。
ちょっとだけ本来の駒よりも長めに。
チェーン自体の張りも、かなり緩く合わせ直し。
出来上がった応急チェーンに、先日円陣家至高さんから受け取ったCPOが鞄に入っている事を思い出して、各駒に少しづつ塗布して応急数理は完了〜。
ガビガビに錆びていたチェーンもバキバキ言わずにすぐに回るようになりました。
スプロケットも前後ともセットで交換という事をアナウンス。
まだ8000kmくらいしか走っていないのに。
二人乗りをすると負担になって、また切れるのでお姉ちゃんはFZRの後ろに。
そう言えば……免許取ってすぐに二人乗りってイカンのでない?
このあたりで知っているオートバイのパーツ屋さんの、足立ナプースまでゆっくり行く事にしました。
ガソリンスタンドのオジサンにお礼を言って、FWの兄ちゃんはガソリンカードを申し込んで……。
FWは上限2500回転で半クラッチの鬼と化してソロソロと走り出しました。
ちょっとギクシャク、クラッチワイヤーも錆びてるなぁ。
走っております。わはは。
お二人は恐ろしい思いもしたし、妙な応急修理の仕方も見たし、ガソリンスタンドはお客さんを新たに獲得出来たし、パーツ屋はチェーンが売れるし、めでたし。
お店に入ると欲しいモノがたくさんあるので前まで行ってお別れしました。
FZR:「たまにはマスターも役に立つ事があるんですね」
狸穴:「んだ」
FZR:「マスターが先程造ったあのドライバーはどうされた
のですか」
狸穴:「あの兄ちゃんの家宝にするそうだ」
FZR:「家宝ですか……」
狸穴:「ちゃんとしたチェーンカッター買った方がいいのにね」
師匠+24才さん ライダーとお姉ちゃん マミアナ+FZRx
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