Vol.285 外車 2002-04-27


 オートバイは日本以外でも造られております。
 端を発したのはたしかヨーロッパの方だったかなぁ。

FZR:「マスターはその頃どこにいたのですか」
狸穴:「今から約100年前は、チョイの間だけイヌイット
    の所で犬ぞりの犬をやっていたのだ」
FZR:「エンジンですね」
狸穴:「そうなのだ、でもしばらくすると、ある日猟に出掛
    けたは良いが長い吹雪に出っくわして、イヌイット
    の一人が手を軽く凍傷にやられ、彼の手を直すため
    あっしの腹腔を使うと言うので切られて痛かった。
    で喰われる前に形態をヒューマノイドに戻して、つ
    いでに棲む所も日本国にしたのだ」
FZR:「では、オートバイが初めて造られた時には立ち合わ
    なかったのですね」
狸穴:「ん〜、残念ながらその瞬間にはね。でも、オートバ
    イもその原理の大元は“コロ”だ。そのコロの起源
    には立ち会ったよ」
FZR:「なんですか“コロ”って」
狸穴:「重い石などを運ぶ際に使われた、丸断面の木の棒」

 オートバイが出来てまだ100年ちょっと。その間に物凄い勢いでオートバイは進化しました。
 人間が乗ってみて過酷で危険で面白くて便利だから、淘汰もされずにこんなに早く進化を加速されたのでしょう。
 オートバイを作る際には、人間の意志がなんらかのカタチで反映されます。
 制作者の生息した環境にも大きく左右されます。
 基本的にはその土地で走り易いように作られるのでした。

 大雑把に端折った言い方をしてしまうと、
 だだっ広い大陸を走るアメリカのハーレは、ほとんど変速せずに直線を長時間一定の速度で走って距離を稼ぐのに合った形と重量を持っています、急に現れる脇道のフラットなダートも走れるようにスピードは出ないけれど、ホイールベースが長かったり低速トルクも棄てていなかったり。重心も低かったり。急襲された時もすぐに逃げられるようにゼロ発進加速は強力だったり……。
 2500〜5000rpmくらいで走ると丁度良い感じで、エンジンも一定の回転域で走るのに向いていたりします。(FXR−S・パンヘッドFLHより)(カラオケ号は除く)

 イギリスのオートバイは、都市と都市を繋ぐワインディングを速く走り抜けるために、丁度良い形と排気量を持っています。でも『オリジナル機構』が好きな国民性なのか、作り手の意思が反映され過ぎて、変な形になってしまっているモノも数種かあるようですが……あとは壊れても修理し易いように造られていたり。
 部分的には壊れる事が前提の、修理しやすい造られ方をされています。
 その他、クラブと呼ばれる自衛補完集団が各地の工業団地等で発達しております。(T−120、トライトン、ノートンコマンド・ロードスターより)

 ドイツのオートバイは、アウトバーンをたくさんの荷物を積んで、より快適に速く走る傾向があるようです。
 長時間の高速走行に乗り手もオートバイも耐えられる装備がされているのでした。
 造りもロジカルで機械です。
 使い始めてから故障するまでの時間が長く掛るように堅牢に造られている部分があったり、逆に消耗品などは早く減っても構わない潔さがあります。
 動力伝達系もシャフト・ドライブとか使ってるし、基本的にクランクシャフトは縦置きだし、FR車と似たパワートレーンの長所を選択しているようです。頼もしいです。(R100RSより)

 イタリアのオートバイは……機械的な性能の追求の仕方は、ある部分では日本人と考え方が近いかも。
 オートバイのコンセプト決定の際に要求した性能が高ければ高いほど、出来上がる造形を追求して、オートバイは機械各部の耐久マージンを潔く削ぎ落とし、でも性能面では最上位を常に目指します。切ないくらいに切り詰めて造られます。
 安全マージンも早期のうちに削ぎ落とされ、その分ライダーに走行技術を要求致します。
 オートバイの事をある程度理解している人しか相手にしておりません。
 その結果、たまにとんでもない『新機構〜』とか発明しちゃったりするようです。
 日本のオートバイとは違うのは、性能を上げるためにデザインを犠牲にするような事はいたしません。
 壮美は彼等にとって大切な装備なのだ。
 その分、生産性とか個体の当たり外れを犠牲にするのでした。
 わはは、イタ車はとても切なくて可愛いです。(900SS試作車、アグスタ125S、その他小排気量含む、より)

 日本のオートバイは……なんだか近付き過ぎて全体がよく判りませんが……。
 製造段階以前からコスト意識は強いようです。
 生産性も非常に要求されます。
 コストと生産性を販売価格の線から決定されたら、あとは比較的自由に造られているようです。
 部品点数が劇的に増えても、壊れたり減ってはいけないと言う条件はしっかり付けられます。
 大量生産も歩留まり良く、こなせるような作り方がされています。
 ただし日本製のオートバイの凄い所は、一部の極端なオートバイを除き、工場から出た段界で総じて乗り易い『誰にでも何時でも最高性能を』という事を、表面的には達成しているという事です。(国内仕様)
 物凄い事なのだ。
 一社が持つ車種構成の層も厚いです。一社だけで世界中のオートバイを相手にしても勝てそうです。
 そんな会社が一国に4つも集まってます。
 アングロサクソン系人種の社会のようなガチガチの徒弟制度社会構造や、カースト制度などが敗戦以降無い日本ならではの「平らな自由」があったからかなぁ。
 ヘタなグローバリゼイションとかして、精神的な部分を汚染されて妙な方向に退行しなければ良いが。

FZR:「マスター、わたくしは日本車ですが、上記の日本車
    とは少しズレてしまっているようです」
狸穴:「そうだねぇ……ホンのチョットだけね。たまにはそ
    うなってしまった自家製な部分を持ったオートバイ
    もいるんだよ」
FZR:「どの国のオートバイも、散々考えられた揚げ句それ
    らの形態を採ったのですよね」
狸穴:「多分ね」
FZR:「全部、人間の意志が入っているんですね」
狸穴:「オートバイは基本的には機械なのに、そうだねぇ…
    …その分だけ造っている人達に文化的な『遊びの余
    裕』があったのかもね」
FZR:「『遊びの余裕』ですか……よく判りませんが、何で
    すかソレは」
狸穴:「ソレにはパーツナンバーは付いていないけれど、そ
    のオートバイの性格だったり立ち姿だったり。次に
    進化するための大切なモノなんだよ」
FZR:「ますたー、ソレって……わたくしで言えば『FZR』
    と言う呼称も表すのでしょうか」
狸穴:「それも、その一部だね。オマケで『x』というのも
    付いてるし」
FZR:(……、…………)
狸穴:(……)
FZR:「……、遊びの余裕って、もしかしたら大切なのかも」
狸穴:「だな。方向性は別に考えるとして、その量と密度で
    未来と寿命等大切なモノが決まる」
FZR:「なんだか恐いですねぇ……」
狸穴:「そ、恐ろしい事なのだ。でも人間もヒューマノイド
    もそのあたりはオートバイと同じような境遇にいるの
    だ」
FZR:「わたくし達とあまり変わりが無いんですね」
狸穴:「んだ。だからオートバイ等を大切に思う意思の少な
    い人は、自分の未来も大切にしていないのかもね」
FZR:「違う所は……人間達には自分で方向性を選ぶ余地が
    ある」
狸穴:「……難しい話になって来たぞ。この先の話はFZR
    には理解出来ないかも」
FZR:「では、わたくしの思考ルーチンで、かつて生きてい
    た全生物の思考記録の書にアクセスして、それなり
    に都合よく処理致しますわ」
狸穴:「いつか結果が出たら、内緒で教えてね。壊れないよ
    うに気を付けて」
FZR:「はい。わたくし達は、何時でも人間を大切に思いな
    がら乗せておりますわ」
狸穴:「その辺は、人間はオートバイには勝てないね〜」
FZR:「お誉めの言葉と受取らせて頂きます」

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