Vol.243 マスターの製造年代? (FZRx) 2001-12-10


 最近マスターは少しお仕事で忙しいらしく、今日はわたくしはPにてお休みです。
 代わりにわたくしが、少しだけマスターの事をご紹介致します。
 マスターの製造年代及び生体について研究されている方がいらっしゃるとお聞き致しました。
 わたくしのマスターは13億7千万年ほど前の原生代と言う時代に、現在の形状とは違う形で、かつてはワームホールの出口だった現在の太陽の中心から単体で打ち出されて、地球にて初起動したそうです。
 その前にどこにいたのか、誰に造られたのかは、当のご本人も不明だそうです。
 その後たまにアノマロカリスと言う形態になって三葉虫を食べ歩いていたり、その次期にはまだ人類が発生していないにも拘らず、現在のヒューマノイド形態になってみたりと忙しかったそうです。
 人間は長くても100年くらいですぐに世代が交替してしまうので、マスターもソレに合わせて15才から65才くらいの年齢幅で外形形状を周りに合わせて同化させているらしいです。
 たまに生暖かい風が吹くと急に15才に戻ってしまい、そのたびに最近は戸籍管理が厳密で、新しい籍を用意しないとならないそうなので不便なのだそうです。
(わたくしは、1988年に東海地区のYと言うメーカーで造られ、現在は籍もあります)
 マスターは後、何年くらい生きるつもりなのでしょうか……。
 ヒューマノイド形態を採るマスターが一番乗り易い乗物が、わたくし達オートバイなのでした。
 わたくし達は、かつてマスターが使っていたボディー等が分解した化石燃料で動いています。
 燃料の原料にも色々と種類が多く、硫黄分がやたらと多い原油もあるとか……多分マスターが遊び歩いていたエリアの原油だと思います。
 精製過程で多く不純物が発生しコストも掛るらしく、マスターが精製所の皆さまにご迷惑をお掛けしているそうで申し訳なく思います。

 マスターが現在使っているボディーは、AD8000年製だそうです。
 300年ほど封印されていたり、途中1500年ほどの期間はどこかの時間整理が間に合わず、10000年ほど先の時代に跳んでいた次期もあるそうですが、その頃には現在の人類はもういなかったそうです。
 大気の成分も現在より酸化が進み、温度上昇により極致付近の氷が溶けて、海上に出ている大陸の位置もプレートテクトニクスにより、始めにマスターが初起動した当時のように一つの大きな大陸に統合されていたそうです。何があったのでしょうか……。
 みんなはどこか他の天体に行ってしまったそうで、たまにそのあたらしい天体から地球の様子を確認しに来る機械がマスターのお相手だったとか。
 その機械にわたくしと同じFZRと言う名称を与えてお話していたそうです。
 お寂しいですね。
 その機械に何をお話たのでしょうか……また面倒な事になっていないと良いのですが……わたくしでは判りません。
 最近のマスターは、わたくしと知り合う前にオートバイ屋さんを都内で営まれていたそうです。
 現在とは違うバブルな次期で、たくさんのオートバイが買われて行ったそうです。
 そのお店では、わたくしとおなじFZRもたくさん売れたそうです。
 たくさんのお客様に買って頂き、活躍したわたくしのお仲間は今はどうしているのでしょうか……。
 お店を始める前に、マスターはしばらくフランスのパリと言う所で不労しており、日々食べる事にも事欠き、オートバイ屋さんで不法就労……と言うか大きなイベントの影部でお手伝いだそうですが、していたそうです。
 当時乗っていたわたくしの兄車にあたるFZ750さんでは、一回に2200キロを走ったとか……。
 わたくしは、たまにツーリングにチョコっと連れて行って貰うだけです。
 滞在中はFZ750さんで色々な所へ走りに出ていたそうですが、一度だけ何かの事件に巻き込まれて赤軍と勘違いされてイタリアとの国境で軍隊の検査所に連れて行かれ、持ち物を全部検査された揚げ句、FZ750さんを自分でバラして細かな所まで検査された事もあったそうです。
 結局、間違えたと言う事で放免されたそうですが、組み立ても自分でしろと言うことになったそうです。
 こう言う時に言葉が伝わらないと、余計にもめるようで……マスターは分解・組立分のギャラを請求しようとして引かず日本語しかしゃべらなくなり、またもめる事になったそうです。
 偉そうな兵隊さんに日本語で「フランスのブタめ血を吸い尽してやる」と言ったらしいですが、悪意は言葉を越えて伝わるようで一発食らったとか。まったく……。
 でもその場所で歩哨していた若い兵隊さんとは仲良くなったようですけど……。
 パリは東京と違い、オートバイに乗る人の年齢層が若い人だけではなく、かなり年齢性別共に幅が広いため、たくさんのオートバイが走っているそうです。
 日本とはオートバイを取り巻く環境も違うようで、平均してやたらと責任を負う大人の乗物と言う扱いをされているとか。
 でも、パリのライダー達はかなりアグレッシブな方が多いらしく、弱肉強食な交通状況で、安全に闘うために加速性能がある程度必要とされ、オートバイの平均的な排気量は750cc位になるそうです。
 わたくしの出力ではとても間に合いそうにありません。
 最近の日本も少しそうなって来ているようです。
 ライダーも若い人の人口が減って、ある程度加齢された方の人口比率が多くなって来ているからでしょうか?
 わたくしが生産された時期とは様子が少し変わって来ています。
 でも、わたくしも一度くらいはパリという所にも行ってみたいです。
 いつかわたくしのマスターが彼の地へ戻る時に、一緒に連れて行って頂こうと思っております。マロニエの木の下をガソリン満タンで走りたいです。
 そうそう、マスターはフランスに始めて行った訳ですが……初めのうちは発音が悪くて言葉があまり伝わらず、毎日卵の入った少し血の匂いがするパン(仏:ウフ)だけ食べて暮らしていたとか。
 マスターはパンが好物ですからソレだけでも間に合うそうですが、毎日ソレばかり食べているものだから、近所のパン屋のアルジェから出稼ぎに来ていたお嬢さんに、他の食べ物の名前や注文の仕方やお酒の呑み方、女性に対する接し方とか、好まれる男性の振る舞い方を教わったそうです。
 今ではすっかり忘れてしまっているようですが……。

 わたくしと知り合うようになる頃のマスターは、写真を撮って生計を立てているようです。
 いつまで喰えるのかはご本人にもさっぱり判らないそうで、マスターが喰えなくなるとわたくしもガソリン代に事欠くようになり……頑張って頂かないと!
 ご本人的には、いずれささやかな普通の家庭を持ち、かなり歳の離れた奥様と嫁入り前のお嬢さんに見取られて逝きたいそうですが……13億7千万年生きているマスターと合う御婦人は少ないらしく、どうも無理そうです。わはは。
 マスターの理想とする女性は内緒なのですが、作詞家の故・安井かずみさんなのだそうです。

 わたくしのマスターは大体こんな感じです。

FZRx 拝

狸穴:「FZRよ……コレでは誰も判らんぜ」

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