Vol.241 コケたと言うが…… 2001-12-04


 先日、ご登場頂いたカフェの娘から電話が掛った。
 なんで俺の電話番号知ってるかなぁ……。
 ご挨拶も早々に、

娘 :「ところで狸穴さん、今ひま/今どこ」
狸穴:「ひま/狸穴町のアジト」
娘 :「わたしの友達のVTR250に乗っているチユちゃ
    ん覚えてる?」
狸穴:「へ? 誰だっけ……。("ちゆ/12才"じゃね〜よ
    な……)知らない」
娘 :「こないだチョークの説明してくれた時に後から来た
    娘!」
狸穴:「……あ〜、思い出した。で、なに。俺と結婚したい
    って?」
娘 :「そうじゃなくて〜」
狸穴:「んじゃ、お前さんが地獄を見たいのか。豪気な……」
娘 :「あたしは構わないわよ」
狸穴:「……失礼。嘘でした」
娘 :「その話は後でね。チユがコケたらしいんだ、さっき。
    一の橋だっていうから近くでしょ。見て来て」
狸穴:「なんだ、近所だ。動けないのかな」
娘 :「本人はジーンズ破けただけらしい。VTRが道の真
    中で動かないらしい」
狸穴:「ありゃ……んじゃ、ひまだから今から行くって電話
    しておいて」

 彼氏は何やってたっけか? 仕事かなぁ。
 とりあえず、様子を見に行く事にした。
 一の橋までオートバイならすぐだし、徒歩でも間に合う距離だ。

狸穴:「先日お会いしたVTRに乗ってる娘が一の橋で事故
    ったって」
FZR:「新車で調子良さそうでしたけど」
狸穴:「……だよなぁ」

 行ってみると、道路の端にVTRを置いてチユ嬢が立っていた。
 VTRの後ろにFZRを着ける。

狸穴:「大丈夫?」
チユ:「どーもすみません。わはしは骨も折れていないみた
    いで大丈夫ですが、バイクのタイヤが回りません。
    エンジンも掛らない」
狸穴:「へ? それほど酷くは壊れていないが……」
チユ:「通りかかったオジサン達、みんなで引き摺って寄せ
    て貰いました」
狸穴:「あ、そう」

 押してみる。ハンドル曲がったな……クラッチレバーも先が折れた。
 なんだ……ギアが入ったままだった。
 4速に入っていた。

狸穴:「ギアが入ったままだった、コレじゃタイヤは回らな
    い」
チユ:「なんで?」
狸穴:「なんでって……簡単なのだが説明するのは難しいで
    す」
チユ:「わたしがパーだから?」
狸穴:「そう」
チユ:「ヒドィ〜」

 ギアをニュートラルに入れて、エンジンストップスイッチを確認してからメインスイッチをonするとセルが回った。
 面倒なので20秒ほどそのままセルを回しっ放しにすると、ボソボソとエンジンがかかった。
 ちょっとカブっていたみたい。
 程なくすると調子よくアイドリングし始めた。オイルも噴いていない。

狸穴:「よかったねぇ」
チユ:「よかった〜! ありがとうございました」

 少し曲がったメータを見ると、まだ2400Kmしか走っていない。
 先程までほぼ新車だったのだな……。
 左側は、タンク、ハンドル、ミラー、ステップ、シフトペダルに擦り傷程度の傷と曲がり。エンジンを止める。
 一応、前後のホイールとブレーキを点検してみるが、効くし回るので良し。

狸穴:「一人で起こせなかった?」
チユ:「脚と肘が痛くて……」
狸穴:「んじゃ練習」

 どうせ傷ついてしまったのだ……。左側にゆっくり倒す。

チユ:「あぁ!」
狸穴:「はい。自分で起こしてみましょう〜」
チユ:「酷いよ〜」
狸穴:「誰もいない所でコケたらどうする?」
チユ:「困る……」

 磨れたグローブをつけ直して、しぶしぶVTRを起そうとする。
 左手は左側のグリップ、右手はタンクの縁。
 力があるのか、ちょっと持ち上がったけどVTRはズレてまた寝た。

狸穴:「それでは起こせません」
チユ:「こんなに重たかったかなぁ」
狸穴:「左手はそこでイイけど、この場合右手は右のハンド
    ルでブレーキをしっかり握る」
チユ:「はい」
狸穴:「んで、なるべくオートバイに近い所に膝を着いて…
    …」
チユ:「こう?」
狸穴:「そんで、左側の肘はまっすぐにして、着いた膝をV
    TRの下に押し込むようにしながら反対側にVTR
    を押すような感じで膝を延ばして〜」

 時間は掛かったが何度かやっているうちに、上がりました。

チユ:「上がったよ!」
狸穴:「それがコツでした。ポイントは前ブレーキをしっか
    り掛けることと、膝で上げること。これでもう人跡
    未踏の南極の田舎へツーリングに行っても大丈夫です」
チユ:「起こせた〜」

 VTRも起こせたし、身体はそれほどダメージ受けていないようだし。ジーンズの尻切れてパンツ見えているけれど……出血もないし。コケけてから40分くらい経っているけれど内臓系の内出血の兆候もないみたいだし。

狸穴:「んじゃ帰るわ、気を付けて。今日一日は元気に身体
    動かさん方が良いかも。帰ったら一応、病院へ行っ
    た方が良いです」
チユ:「まだちょっと恐いので、カフェまで一緒に行きませ
    ん?」
狸穴:「……んじゃ行くか、閑だし」

 カフェまで最高40Km/hくらいで到着。
 ハンドルが曲がったので乗り難そうです。
 なんで転んだのかを訊いてみると、同じ赤でマフラーを換えた爆音の速そうなVTRを追いかけていてブレーキを掛けたらコケけたらしい。
 ブレーキは安全装置ではないのでした。
 更に良く訊いてみるとVTRじゃなくて、どうもドカらしい……。
 たしかにちょっと似ているかも知れないが……。
 3日ほど痛いだろうけど、お大事に〜。

FZR:「ドカさんについて行こうとしたんですね」
狸穴:「そうらしい。排気量が違い過ぎるからちょっと大変
    だねぇ」
FZR:「で、転んでしまったと……」
狸穴:「走行2400キロ。そろそろ慣れ始める距離だから
    コケる時期でもあるのだ」
FZR:「慣れ始めが一番危ないんでしたっけ……」
狸穴:「んだ。次は5000Km位かなぁ」
FZR:「でも、おっかなびっくりで痛かったし、オートバイ
    の事を嫌いになってしまうかも知れませんね」
狸穴:「そうでもないのだ。引き起こしが出来ると判れば一
    つ安心要素が増えたのだ。恐いと思う事も少しは薄
    まるでしょう」

 路上はちょっと弱肉強食なのでした。
 大怪我しなかったし相手を傷つけた訳じゃないし。

カフェ娘 チユ嬢 マミアナ+FZRx

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