Vol.233 シングル 2001-11-08


 シングルと言ったって、独身と言う意味ではありません。
 今回の表題は単気筒エンジンでした。

FZR:「4st単気筒エンジンですか」
狸穴:「んだ」
FZR:「わたくしがすぐに思い浮かべるのは、《弐號》さん
    も搭載しているSRXさん達のエンジンですね」
狸穴:「そか。FZRはいつもSRXと一緒だからねぇ。単
    気筒には他にもア太郎號と同じSR400/500
    や、グーズ250/350、新しいのではホンダさ
    んちのCB400SSってのもある」
FZR:「結構たくさんあるんですよね」
狸穴:「今じゃシングルと言うと特殊なエンジンを積んだオ
    ートバイと考える人も多いのだが、実はそうでもな
    いのだ」
FZR:「一気筒あたりが500ccを越えるシングルエンジン
    って面白そうですね」
狸穴:「んじゃ、FZRにも積んでみる? SR540のエ
    ンジン一つ余ってるし」
FZR:「わたくしはまだイイです」

 シングルエンジンだと車体を軽く出来、セッティングが出ていれば各回転域でもピックアップ鋭く元気で面白いのでした。
 ただし、シングルエンジンは馬力の数値は稼げません。
 同じ排気量でも4気筒とシングルでは馬力表示に差があります。
 4気筒エンジンの方がやはり回転上限も高くできて、馬力もトルクも最終的には大きくできます。
 でも、単気筒が遅いかと言うとそうでもないんですね〜。
 オートバイでは、常に最高速度で走り続けられる状況と言うことはほとんどありません。
 必ず加減速を常にしているので、その時のエンジンから出る出力の立上がり方によっては、車体の軽いトルク変動の大きいシングルの方が速かったりするのでした。
 そりゃまあ、4気筒でも常に最大トルクを発生する回転域をキープして走っていれば速いですが……毎回そのような状況ではエンジンもすぐに減ってしまいます。
 エンジンが減れば、O/H。……4気筒は高いです。
 対してシングルエンジンは、高回転を維持しなくても吸排気の設定や、点火時期等基本的な設定がちゃんと合っていれば、低回転でも高回転でも4気筒ほど回転数によって変わらないトルクが出ていたりするのでした。(スロットルの開ける量と開ける速度で自由に発生トルクを変えられるようになります)
 シングルは構造上たくさん部品を使わない分パーツの重量合計が軽いので、回転の上下動は速いです。
 でも、各パーツの1個あたりの重量は重いです。破壊力あります。
 そのため、普通の反応の悪い機械式タコメータをアテにして使っている車種では、表示される回転数の数値は上がりも下がりもあまり正確ではありません。
 早目のペースで走っている時のシフトダウンでは、一瞬オーバーレブしている事がままあります。
 知らないのはタコメータを信じて乗車しているライダーだけ。
 ある程度出力を上げられたシングルエンジンでオーバーレブをすると、機関は正直なので破壊します。
 カムの軸受が焼き付いたり、キツいセッティングな場合バルブのリセスが間に合わなくなり、ピストンとバルブがヒットしたり……。
 最悪の場合、コンロッドの小端部が焼き付いてピストンがシリンダーの中で首を振り出しロックしてコンロッドを引きちぎり、折れたコンロッドがクランクケースを突き破って『ハロ〜!僕がコンロッドだyo〜』な状態になったりします。
 威勢のイイのが取り得なライダーが乗ると、何が起こるか判らないのがチューンしたシングルエンジンです。
 早くたくさん入れて早くたくさん出す給排気のセッティングをされているエンジンでは、スロットルの開閉を雑にやると、壊れます。
 野太い音と、軽い車体、急激なトルク変動。乗れば病み付きになります。
 4気筒エンジンで一気に2速落とすような事が普通でも、シングルエンジンでコレを頻繁にやっていると壊れてしまうのでした。
 音は勇ましいですが、実際の扱いは非常にデリケイトなのでした。
 大抵のシングル乗りは、この辺の事情を知らずに鋭いピックアップを甘受して、前後のブレーキ性能を使い切らず、スロットルワークで加減速させようとします。
 デフォルトのパワーをかなり抑えた状態以外でのシングルエンジン車の減速は、あくまでブレーキだけで仕事を終え、エンジンブレーキは効かしてはいけないと言う事なのでした。
 ルーズなタコメータを排して、ちゃんとした反応速度のあるタコメーターを使い、更にスロットルワークでエンジン回転数を正確に合わせられる技量を持つライダーなら、エンジンを壊さずシフトワークが出来ます。
 こうして一度や2度エンジンを壊して、各部操作の細かい扱い方や基本的なオートバイの扱い方を覚えて行くのでした。(エンジン壊れてもシングルは修理代が安いのもアリガタイけど)
 ひとたびシングルエンジンを破壊せずに乗れる技量を備えたライダーになれば、どんな激しいセッティングのオートバイに乗っても、それなりに性能を引き出し消耗させずに乗る事の出来るライダーになります。
 この手のライダーは無駄な動きをせずとても速いので、加減速を頻繁に強いられるコースを同じペースで一緒に走ろうとすると、大排気量車に乗っていても厄介です。
 正確なスロットルワークをモノにしたい方は、最高速等では大排気量・多気筒マシンにはかないませんが、なるべく軽量なビッグシングルに乗ってみると良いかも。
 責任は負い兼ねますが……お薦めです。
 メカもライディングも安全マージンも一気に増えます。

マミアナ+FZRx

■蛇足:
 もっとも厄介なライダーは……トライアル経験もありビッグ・シングル経験もある現:軽量・大排気量ライダーかなぁ……。
  知らないで突っついていると地獄を見れます。

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