Vol.224 ZEPHYR-U 2001-10-22


 ゼファー號のエンジンの組み付け。
 同一シリンダーに4個もエンジンが憑いているので面倒です。
 しばらくオイルに浸け置きし、新品のピストンに片側のクリップとリングの合い口を合わせて嵌め込み、前後を合わせてピストンピンでコンロッドに装着。
 カムチェーンもテンション・ダンパーも目視にて点検。

 ケース側も事前に歪んでいないか確認済。
 今回シリンダーブロックが熱により変形していたことが最大の難関でした。
 でもそれも併せて修整済。
 シリンダーヘッドも若干歪み発生……走ればヘッドは熱で歪むのだ。
 ヘッドも面研にて修整。チョット圧縮が上がります。
 ピストン挿入の際は祁門氏にもリングを押え込む際に手伝って貰って、サッサとヘッド装着まで終了〜。
 ベースガスケットの向きが判りずらいです。
 『こちらが上で前側』とでも書いておいていただけると助かるなぁ。
 カムシャフトも装着。
 ゼファーのカムシャフトは前後で同じ物を使用。カムスプロケットの装着により前後のカムが決まるのでした。
 バルブを押しているリフターと、カムシャフトの隙間を測定します。
 O/Hをする前にはこの隙間、全部バラバラでした。
 バルブとヘッドの当っている部分のバルブシートが自然と減ったり、カーボンを噛み込んでいたりで狂って来るのでした。
 バルブシートも8個とも全部切り直しているので、リフターの中にいるシムと呼ばれる小さなコインのような形状のモノを細かく厚みを変えながら、カムシャフトとリフターの隙間を既定値に合せて行くのでした。
 ゼファー400の場合はイン側が0.10〜0.20、EX側が0.15〜0.25だったかな。
 とりあえず、合う筈もない現状で一度カムシャフトを組んで、クランクシャフトも回して各バルブのクリアランスを測定。
 全然合いません。(当たり前)
 再度カムシャフトとリフターを全部外してシムの数値を確認してみると……。
 焼き込まれている筈のシムの数値がほとんど消えて無い!
 以前どこかのオートバイ屋さんでO/Hされた時にシムの上下を逆に付けられたらしく、擦れて消えてしまっておりました……。
 悲しいでやんす。
 とりあえず、微かに残ったシムの数値を確認出来る物だけ反射角度で拾います。
 完全に消えて終っている物はマイクロメータで測定。
 中心と縁の部分でわずかに厚みが違っている……

狸穴:「このシム、厚さを合せるために新しい部品を取寄せ
    ないで、入っていた物を無理やり手と砥石で削った
    な……」
FZR:「ますたー、わたくしのヘッドと同じ構造のようです
    が……面倒な事になってますね」
狸穴:「そうでもないよ。確認の為にリフターの外径とリフ
    ターの入る穴の内径も確認してる。問題なかった」
FZR:「シムを反対に向けたり削ってしまうのは反則ですよ
    ね」
狸穴:「まぁね。でもむかし気質のオートバイ屋さんとか、
    忙しい所はたまにコレをやるのだ」
FZR:「ゼファーさんの伝票にはシム8個とも全部交換した
    と書いてありましたが」
狸穴:「……手は入っている。数値上はコレで問題なかった
    のだろう」
FZR:「マスターはちゃんとあわせて下さいね」
狸穴:「普段FZRでは、イイ加減な事ばかりしてるからね
    ぇ……こう言う時だけはちゃんとやるか」
FZR:「そうして下さい。わたくしが恥ずかしいです」
狸穴:「はいはい」

 と言う事でその場から電話でパーツの発注〜。
 新しいシムが来るまで待つしかやる事はなくなったのでした。
 吸気側の必要クリアランスは全部測定で結果をだせたが、排気側はシクネスゲージの入る隙間が全然かせげなかったので、リフターの厚みとバルブの位置から大体の数値を割りだしてカンでパーツを発注した。
 たぶん排気側はあと1、2回シムを発注して合わせるしかないだろう。
 シムを合せる際には、そのオートバイのシムを全種類4個づつセットで持っていれば細々発注しなくてもイイのだが、残念ながらオートバイ屋さんはもうやっていないのでそう言うセットはヤマハ用の数車種分しか持っていない。
 カワサキの分は無いのでした。
 時間は掛かるが、ちゃんと合えば良いのだ。
 こう言う作業に締切時間を設定されても狸穴的には出来ません。
『そんな細かい所は狂ってても構わない』と言われてもそういう仕上げはしないのでした。
 今回は、ちょっとクリアランスを大きめに取ります。
 ゼファーのオーナーの走り方は少し高目の回転数を要求するようなので、大きめにするのでした。
 冷えている時と、暖まってもオイルがヘタっている時にはこの部分からカチャカチャと小さな音が出る筈です。
 この良く喋るエンジンの方がメンテナンスの時期をのがさないのだ。
 FZRも2番シリンダーの吸気右側シムと、4番シリンダーの排気右側シムのクリアランスを大きめに採ってあります。
 そのためオイルが廻りきれておらず、暖機が済んでいない時にはチチチッと鳴きます。
 最近はオイルがヘタって来ているので、油温が加熱して緩くなっている時にも少し鳴くようになりました。

FZR:「わたくしがオイル交換を要求している悲痛な声です」
狸穴:「大げさな……全く良く喋るようになったもんだ」
FZR:「マスターがお話を聴いてくれるからですわ」
狸穴:「そか」

 こうして手間と時間は懸かるのでした。

 ゼファーも納車後ナラシで500Kmほど走って頂いたら、改めてバルブ廻りの点検をしなければ……コレをしないと駄目なのでした。

FZR:「次は秋水様ですね」
狸穴:「んだ」
FZR:「マスター表のお仕事は……」
狸穴:「大丈夫入っている」
FZR:「忙しいですねお時間大丈夫ですか」
狸穴:「《秋水號》は物凄い速度で仕上げるために現在、色
    々仕込み中」
FZR:「でも車検も兼ねるのですよね」
狸穴:「あ! そうだった、納税証明とか取れたかなぁ」
FZR:「中尉殿が頑張っておりますわ、きっと」

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