Vol.209 車検 2001-09-08


 オートバイ屋さんをやめてからも、かつて自分が販売したオートバイなど、まだ乗っている友人のオートバイの車検継続を手伝っている。
 二日ほど前にディバージョン400というオートバイの車検をやった。
 風間氏のディバージョンが来ている間、FZRは風間氏の所へ……丁稚の修行。

FZR:「マスター、またしばらくお別れですねェ」
狸穴:「ディバージョンがいる間は、FZRの居場所が無い
   (また知人の倉庫に預ければ良いのだが……駐車代が
    出ない)のだ」
FZR:「どの位の期間でしょうか」
狸穴:「あらかじめ依頼は受けていたし、特殊な変更は無い。
    で、消耗品のパーツはすでに用意してあるから頑張れ
    ば2日で終わるかな〜」
FZR:「2日ですね、ではわたくしは風間の貸元様の所へ御
    厄介になる事と致します」
狸穴:「良く仕えるように」

(前側のスプロケットの調子が悪かったので交換したFZRは調子も復調しました)

 ということで、ディバージョンもやって来ました。
 この時期には珍しく表の仕事がヒマなので、掛かり切りになれるからすぐ終わるだろう。助かった。(《弐號》ゴメン、この後にまた《秋水號》も来るし……でも素晴らしい仕上げの排気管屋さんを発見したので許してくれ)

Div:「お久しぶりです、狸穴たらう氏」
狸穴:「おー。久しぶりだねぇ〜。前回来たのはいつ頃だっ
    たかな?」
Div:「リアアームをアルミ材のモノに交換して以来です」
狸穴:「結構、時間が経ってるなぁ。エンジン周りは調子良
    さそうだねぇ」

 でも減ってしまったタイヤをはじめ、脚回りは要調整〜と言う感じ。
 普段から毎日稼働していれば、少しづつ狂いは出て来るのだ。
 自己修復機能を持たない機械なのでやむを得ない。
 ダンパーの効きの甘くなったフロント周りをバラしてみると、フォークオイルがかなり劣化している。
 廃油の匂いも酷い(ドブの匂い)……こりゃ、水分がかなり入っている?
 フォークオイルを交換する際にインナーチューブを点検してみると、一部ポチリと錆が始まっている。
 微細な錆の部分をストロークしているオイルシールが切れてオイルが吹いて漏れると言う状態にまでは至っていないが……何らかの状況がそろってフォーク内部に水分が進入したらしい。……なんで?
 フォークを車体に組み直してみたが、前輪を装着する前にどうも合点が行かないので、もう一度車体から下ろして、オイルシールもスライドメタルも交換する事にして分解。
 バラしてみると、特に右側のフォーク内に水分が多く発生していたのを発見。
 インナーチューブのボトムエンドに付いている方の、幅の広いメタルの表面に水分が着いていた跡を確認。
 オリフィスバルブ付近のパーツにも水分付着跡を発見……。
 通勤号として、距離は短いが休み無く動いていたので錆びるという結果には至らなかったようだが……フォークオイルを換えるだけでなく内部パーツを全部洗浄脱脂して、再組み立て時に再使用出来ないスライドメタルとオイルシール・ダストシール等の消耗パーツを交換して、全〜部やり直した。
 不審に思って分解してみて良かったのだ。
 ついでに、フォークのセッティングを現在のFZRxやFZR600xと近い状態に合わせてしまう事にした。
 以前変更した際に、一枚ディスクのフロント・ブレーキが気になるため、わずかにイニシャルを与えているカラーの長さを左右で変えていたのだが、これを左右均等に合わせて更に低いスピード域でもダンパーの反応を良くするべく、イニシャルを弱めて調整し直した。
 今回はオリフィスいじらず。
 風間氏の体重と、少し重めの荷物を積載した状態を想定した上での調整。
 リアショックのOHLINSも封入してあるガス/オイルのみ交換。スプリングとダンパーの設定を若干変える。

狸穴:「コレで先程とはちょっと違うセッティング。前より
    も車体が落ち付いた動きになる筈」
Div:「以前より脚回りが低速でも素早く動けるようになり
    ました」
狸穴:「フォークオイルはやはり1年に1回は換えた方が良
    さそうだねぇ」
Div:「え……1年に1回換えるんですか?」
狸穴:「そうですよ……オイルだけでもそのサイクルで換え
    ていると、オイル劣化によるダンパーの甘さがなく
    なって安全になる」
Div:「知りませんでした……。そう言えば最後に換えたの
    は以前お世話になった時以来です」
狸穴:「そうだねぇ……気がつかなくて申し訳ない」
Div:「FZRさんはそのあたり、どう扱っているのですか」
狸穴:「……甘やかしているので半年に一度は換えてるかな
    ぁ。たまに新しいオイルが出ていたりすると実験と
    して使ってみたりしてるし」
Div:「イイですねぇ」
狸穴:「でも、またすぐにデータの出ているABSOという
    オイルに戻している事の方が多いけど。FZR的に
    は大失敗なんて場合もあるんだよ〜」
Div:「それって、データ取りですか……」

 わはは。

 新しいタイヤはリムのサイズの関係もあり、今回選んだのはブリジストン社のBT−39FとBT−39R。
 残念ながらディバージョンのリアホイールには高性能なラジアルタイヤを選ぶリム幅が無い。
 次回タイヤが減って来たら、その際にはホイール交換を含めて考慮する事にした。
 ホイルサイズがちょっと広いと、新しい技術で造られたいろいろなタイヤを選択出来る幅がとても広がるのでした。
 このディバージョンは、すでにリアアームをアルミのモノに変更してフレームも強化しているので、そのあたりはサス設定を変更する程度で問題無くラジアルタイヤが履けるようになっているのでした。
 多くの場合、鉄なアームは重たいしねじれやすいし、あまり良い事がありません。
 良いことは、曲がった際に戻しやすい事と熔接等の加工がし易いことかなぁ。
 BT−39FとBT−39R、バイアスタイヤとしてはとても素直で良いです。乗り心地も良いし振動皆無で走行音も静か。
 いつも思うのですが、タイヤの技術の進み方って半端なスピードじゃないんですね〜。

 不思議な事にディバージョンに合うカム/リフター間のアジャストパッド・キットも持っている。で、調整〜。
 前回合わせてあった筈だが……バルブの部位によってはカム側が減っていたりバルブシートが減っていたり……。少し狂って来ておりました。
 ディバージョンは4気筒でも2バルブエンジンンなので、全部調整しても8個だけ。
 この辺はFZRの半分しかないのでとても楽です。
 性能を重視するのならば16バルブや20バルブが欲しいけど、ディバージョンならば、コレで充分。
 このヘッドとカムの設定のせいか、ディバージョンのエンジン様は中速域での扱いが、とてもフラット・トルクでかつ反応が適度に早く扱い易いのでした。
 高回転型な使い方に慣れてしまったライダーには少し物足りなくなるかも知れないけれど、実際に街乗りが多い中回転域重視なライダーには、とても重宝な特性なのでした。
 オールドスタイルな出力特性にも感じるけれど、ある意味とても希少価値です。

 今回の点検で特に要点として発見した消耗関係はブレーキ関係。
 フロントディスクも長年の走行により、偏摩耗が発生してわずかに波打って来ております。ブレーキを浅く掛けているとレバーを押し戻して来ます。
 それとブレーキスイッチを押している部分の構造的弱さ。
 あと、テールランプの球が1個しか入っていない……。
 2球式ではないので1球が切れたら点かなくなります。→いずれLED化決定。
 ディスクは交換。
 ブレーキスイッチは同じモノを使ってもいずれまた壊れるのでマスターシリンダーごと違う物に交換。マスター径とフルード容量が合っている物を選べば、あとはタッチが良い物やスイッチの耐久性のある構造の物に換えられます。
 このあたりはとても重要な事なのでした。
 お預かりして帰る途中、信号停止などしていると何度か後続の車が急ブレーキを踏んでノーズを上下させているのを確認。
 変だと思い、市ヶ谷見付で歩道に入って最重要保安部品のブレーキランプを確認すると、リアは点くがフロントスイッチを押しているプレートが壊れて作動していなかった……。
 ヤバかったです。
 車に追突されても、何〜も文句言えないです。
 とりあえず、応急修理のため車載工具を引っ張り出す。
 オーナーの風間氏は純正の工具を同内容でしっかりした工具に入れ換えて、更に必要と思われる追加の工具も装備。万全です。
 でも、デフォルトの工具袋が容量が小さ過ぎるため、袋の底に穴が……。
 ブレーキレバーをマスターシリンダーからなんとか外し、以前風間氏が応急修理していた箇所を再調整。
 コレでフロントスイッチもまた点くようになりました……が、こうならないようにマスターシリンダーとスイッチ一式全部換えてしまう事に致しました。

Div:「どのようなマスターシリンダーになるのでしょうか」
狸穴:「そうだねぇ……多分いつも使っている会社の物になる」
Div:「アレですね」
狸穴:「んだ」
Div:「うれしかも」
狸穴:「データ、取れているからねぇ〜」

 あとは可動部分を全部点検して、使えなくなり始めているパーツも何点か交換して、電装系パーツも全部チェックして終了〜。
 排気系の堆積したカーボンへの対策もしたし。
 ディバージョン號は、脚回りもバタつく事なく無事に帰って行きました。

狸穴:「ンじゃねぇ〜」
Div:「1年後のフォークオイル交換のアナウンスお願いし
    ます」
狸穴:「ん……忘れてるかも知れない」
Div:「ではFZRさんに言付けて置きます」
狸穴:「FZRならば多分、端末のVisorに記憶してい
   るだろうから忘れないだろう」
FZR:「すでにもう書き込んで置きました。大丈夫ですよ」
狸穴:「そう言えば、FZR。風間氏はFZRに乗ったの?」
FZR:「わたくしには乗られませんでした」
狸穴:「あ、そう。今は乗らない方が良かったかもねぇ……
    ディバージョンのタイヤまだラジアルじゃないもん
    ね。換えたばかりなのにラジアルにしたくなったら
    困るしねぇ」
FZR:「マスター、ふだんはわたくしを他の方が触る事も、
    お貸しする事もあり得なかったのに何故ですか」
狸穴:「風間氏とは古い付き合いだし、ココまで変わる以前の
    FZRにも乗った事がある、オートバイにはFZR
    のような形もあり得る、と言うことを体験して知っ
    て頂きたかった事も一つあったのだ」
FZR:「わたくしの耐荷重実験かと思いましたわ」
狸穴:「わはは、風間氏はゴツイもんね。中尉と同じ評価の
   『全域でトルクが薄い!』と言う評価が出ていたかも
    ……」
FZR:「残念ながら、それはあり得ますわ」
狸穴:「彼が保有するGXとFZRはほぼ同じ排気量だし、
    GXのトルク特性と比べたら薄く感じても致し方な
    いか……」

ディバージョン 狸穴+FZRx

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