Vol.201 もらった 2001-08-13


 先日、急な出張と何か火急の用事等々で家をしばらく空けなくてはならなくなった強化人間とそのご家族から電話が入り、犬の世話をしておいて頂けないか? とのオファーで、その犬ともあっしは知り合いなので了解した。
 毎朝6時と毎晩7時からの散歩と餌&水。
 一匹でホって置かれているのも可哀想なので、毎回1時間に渡るお話&お遊びも追加。
 始めのうちは犬も喜んでいたのだが、2日目から

犬 :「あれ……もしかして棄てられたのかな?」

 という状態が続き、楽しい筈の散歩でも尻尾は上がらない。
 更に追い打ちをかけるように、2日目の夜には近場で花火が……。
 この犬、花火とか雷等、空が鳴ることを異常に恐れるのでした。
 散歩に行こうよ、と迎えに行っても、

犬 :「僕、行きたくないっす……」

 しばらくなだめて、なんとか連れ出す。
 放尿をしていると、また花火が……。
 あわてて放尿したまま逃げに入ったので、自分の尿を全身に浴びておりました。
 戻って来て、水にて洗犬。
 大好きな筈のごはんも、中々食べられません。

犬 :「今日はごはん食べたくないです。家の中に入りたいよ〜」
狸穴:「お父さん達帰って来ないねぇ……」

 ジッと出入り口の方を見て匂いも嗅ぐ。が、誰も帰って来る気配ナシ。
 玄関ドアの底に身体を押しつけて伏せ、固くなっております。
 また花火が……。
 出入り口や花火とは反対の方を向いて震えながら伏せ直しました。

 次の朝来てみると、昨夜用意したごはんは全部食べておりました。
 水も半分以下に減っている。

狸穴:「散歩に行くか」
犬 :「へい!もう花火終わったみたいなので行きたいです。
    アハアハ」
 よしよし。
 でも、リードを付け替える間ずっと吠えていたので、吠えてはいけないと言う事で30分間の講義。

犬 :「おとなしくしていないとならんのか……また講義さ
    れても困るしなぁ」

 散歩に行くと昨夜とはうって変わって、リードを強く引きだす。

狸穴:「犬は横に付くか後から付いて来ないと行儀悪いです」
犬 :「なんで?」
狸穴:「犬には主導権が無いのです」
犬 :「え!マジ……」

 更に懇々と30分間の講義……。
 普段から、人間の言葉で30分間も話される経験が無かったのか堪えているようでした。
 なまじ、人間の言葉を少し理解すると、こう言う時には大変です。
 もうリードを引かなくなりました。
 犬は、人の言葉をかなり理解していますので、怒らなくても懇々と説明をすれば判るのでした。
 判らなかった場合は、額かケツにバカ犬の烙印を押されます。(じゅ〜)
 人と一緒に暮らす犬の精神構造はかなり高度化されているので、こちらも気を遣います。
 縦社会で生きるように設定された犬は、人間と違いその辺は厳格なので発令コマンドが矛盾しないようにしないと!
 前提条件として遊びの中でこちらが上位であると言うことを理解させて置かないと、いくら説明してもダメなんですけどね。

 こうして無事に飼主が帰って来るまで、この犬は生存出来ました。
 ただ、この数日間にお留守番に耐えられる精神構造を構築しようと思ったのですが、出来ませんでした。
 あっしが、世話を終えて帰る頃になると徐々に吠えだします。
 無駄吠えは意味がなく間抜けだと言うことを説明しても全然理解出来なかったようです。

狸穴:「あまり吠えると、何者かが遠距離から狙撃して来る
    かも知れない」

 と言っても、一人になるのが堪らないので一時的に自己喪失のパニックになり理解出来ません。
 犬は、縦社会で生きる動物なので指揮系統の無い状態の『一人』でいるのが一番辛いらしく我慢出来ないのでした。
 気を引こうと思って、水の容器をひっくり返したり……。
 また水が犬にとって必要なものである事を、懇々と30分に及ぶ講義です。
 水の容器を蹴っ飛ばすことはしなくなりました。

 犬も大変ですね。

 飼主が帰ってきて数日後には『講義』の内容もすっかり忘れてしまったようですが……。
 後日、強化人間から珍しくお礼と言う事で、オートバイ用のジャケットを2着頂いてしまった。
 革ツナギ以外のオートバイ乗車専用の着物を持つ事は、ここ13年無かったのでなんだか自分が着るのがちょっと不思議です。
 自分がこんな上等な物を着てイイのだろうか……。
 でも嬉しいです。

 うち一着は中尉の青/白の熊の顔面をモチーフとした、漫画系絵のあるジャケットの色違いなのだ。
 でも、留守見回りと犬の世話でこんなに貰ってイイのかな……。

マミアナ 犬

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