Vol.178 taxi 2001-06-23


  FZR、今日はお休み。

 オートバイにとって『天敵』とか言われることもあるタクシー。
 普通に道路を走っていれば、いつも一緒にタクシーは走っているのである。
 タクシーにも色々いる訳で、たまに後方確認されない方とかいますが、総じて一般の若年ドライバーよりはまわりを確認しています。
 あっしは、タクシーがお客の案内が悪く妙な動き方をしている時とかには、先を譲ることにしております。
 かれらのハンドルには、家族の生活もかかっているのだ……。

 ココ1年? で世間の4輪自家用車の運転レベルが物凄く下がっている。
 AT免許と言うモノが出来て、車が賢くなって、教習所が受けを狙うようになったからだろう。
 オートバイも車体と排気量が大きくなった。
 4輪ではデフォルトで280馬力とか870馬力とか1000馬力を越えて走っているモノもあるらしい。2トン弱の重たい車体を軽々とゴリゴリ動かしている。
 月に1回くらいでイイから、そのパワーを出し続けなければならない時間帯があったら、みんな運転もっと巧くなってくれるかなぁ。
 その時間帯に起きた事故等に関しては保険が利かないと言うことで。

 何年か前に、中尉と雨季のタイに居据わっていた。
 深夜の空港から気前良くタクシーに乗ってバンコク市内へ。
 この時に乗ったタクシーが凄かった。
 荷物をトランクルームに叩き込み、後席に付くと車内にはすえた甘い匂い。
 ギョエ! この運転手、何か薬物やってる……。
 目を覗いた時に気がつくべきだった。
 乗る前にサッと車両外観を確認すると、タイヤは4本とも微妙に違う種類とサイズのモノが入っていた。
 空気は入っているようだ。
 バンパーもついているし、大きな凹みは無い。(が、左前のフェンダーに穴があいていた)
 走り出すと、ショックは4本ともダンパーが逝っているし、パワートレインも等速ジョイントやベアリング類にガタが来ていて盛大に『ゴーゴー』唸っている。
 タイヤ外径が違う以上、デフが常に作動しっぱなしで減って終っているのだろう。
 その分、ヘタリ切ったエンジンの出すパワーは喰われているが……。
 こりゃ……ヤバい車に乗っちゃったなぁ。
 でもこれはまだ甘かったのである。
 この運転手、アクセルペダルをほとんど踏みっぱなし。戻すことを知らないのだ。
 シフトもシンクロが逝っている上に回転が合わないので、力技でガリガリ押し込んでいる。
 ハンドルを回すのだけは速い!
 もうどうにでもなれ〜と思い、全然言葉は通じないがスティグ・ブロンクビスト!! とかアリ・バタネン!! とかエマニュエル・ファンジヲ!! 等の名前を連呼してやったら更に最高速を上げ始めた……。
 もう奴には目指すSSのチェックポイントしか見えないらしい。
 タクシーはすでに真っ直ぐ走っていない。絶えずどちらかの方向に車体を振っている。
 こんなタクシー始めてだ〜。
 たまに後輪が50cm程跳ね上がっている感触。ストラットが抜けるぞ……。
 それでも、奴は各ギアーでバルブ・サージングが起きるまでエンジン回転を引っ張り、踏み続ける。
 ドライバーズ・シートの天井には何やらサンスクリット文字の羅列。
 後で判ったが奴等のヒーローを現す『ブッダ』を意味する強力な魔除けらしい。
 コレが描いてある以上、何が起こっても平気だそうだ。(凄いぜ! 俺も描こう)
 暗い夜道を悪霊から逃れるようにタクシーは全力で疾走。
 路面はあまり良いモノとは言えないのでたまに穴に填まってまた弾ける。
 そのたびに、フロアーがバチンと鳴るのでよく見ると、熔接がはがれ掛けている。
 地面、見えてるよ。
 市内に入るとマシンに対する鞭は更に苛烈を極める。
 交差が増えたので市内の路上を見回すと、お巡りさんのパトがたまに停車しているが、その前を思いっきり信号無視……。
 振り切る。
 舗道の縁も普通は内輪差で乗り上げる所を、パワースライドでかわして行く。たまに引っ掛けると一気に回頭完了〜。横Gが……。
 カウンターステアのタイミングはメチャメチャだけど、我らがブッダのお影で無事だ。
 彼に抜かれる車はあっても彼のマシンを抜く車は一台もいない。
 う〜ん、やってくれるのだ。(熱いぜクレイジーだぜ……!)

 なんとか生きたまま空港から空き部屋があるかどうか確認の電話ておいたホテルの前に到着。
 空港で乗る前に交渉した値段とはエラく違った金額を吹っかけて来る。
 でも払ったのは交渉した金額だけ。
 お金を受け取ると現金なモノで、イヤー素晴らしいレースだったよ、お客さんも早く着けたし喜んでくれた、こ〜んなに嬉しい事はない! と、言うような事を言って去って行った。
 奴の頭の中にはきっと、ACDCが流れていたのだろう、Kenny Gを流し込んだら、眠ってしまう。

 日本の最近のドライバーもアレくらい月に一度やると、普段の速度では充分に余裕が出来、状況判断と安全確認の精度も上がるかも知れない。
 んな訳ないか……。

 タイでMAX powerなブーストメーター付きのGTR大改とかランサー大改を大量に売ったらどうなるのだろうか?

 ダイハツ軽のパワーパッケイジを積んだ両足の間に5速+Rのシフトノブを生やした、3輪車の『tuk−tuk』もやることは似たようなモノで、彼等は細い道と渋滞する交差点でツッコミの速さを競うらしい。
 その、tuk−tukも現在ではメーター付きタクシーに押され、今では観光様となっているようである。
 当時のレートで換算すると¥680,000.−くらいで買えるらしい。
 今の車検制度だったら、とおせるかも……。
 たまに豪快にやり過ぎて、お客を乗せたまま交差点で転んでいます。
 オートバイと同じバーなハンドルでは、内輪が上がった時にあの重量を1人力では支え切れないのだな。

 約3円で乗れる狭い市内を走る小さめのバスは、スコールが降ると乗車定員200%でも濡れた路面を豪快にドリキしてます……。
 他の交通も、みな当たらずに避けるのも巧い。
 乗っている乗客も、サイドカーのパッセンジャーよろしく微妙に重心移動に貢献している。混み合う市街の路上でのドリキを皆で喜んでいた。
 決まると拍手。

 真天に強烈な太陽があるココでみた新車のDT200WRは、カッコ良かったなぁ〜。

 ヴェトナムでは旧サイゴン市で走っていた3輪車はタイとは違い、後輪独立サスペンション構造でした。
 アレのミッドにV8ホーリーな5Lエンジンをブチ込んで200Lタンク、都内で……う〜ん、危ない?
 なんだか、FZRとは全然関係無い話になってしまったが、たまにはイイか。
 きょうは、FZRは昼寝してました。

マミアナ

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