Vol.147 筑波のカエル 2001-04-06


 カワサキ社のKSR改に入れるチャンバーのことで友人から問い合わせを受けた。
 そのKSRの詳しい改造内容はまだ聴いていないが、80ccの排気量を越えた状態にあるらしい。どのくらい越えているのだろうか?
 そのため、その排気量に合わせたチャンバーが必要とのこと。
 以前2サイクルレーサーを造っていた時に選んだ、チャンバー制作者2名と連絡をとってみる。
 片方は連絡が付かない状態にあるが、一社は連絡が付いた。
 いろいろ聴いてみると『その排気量では適当に実績のある市販のチャンバーを使ってセッティングで仕上げていった方が道は早い』との解答。

FZR:「2サイクルの排気管はチャンバーと言うんですね」
狸穴:「そ、チャンバー=膨張室」
FZR:「わたくし達4サイクルとは違うのですね」
狸穴:「排気管の構造に関しては全く違うんだよ。4サイクルも
    排気脈動効果を使うんだけれども2サイクルの場合それ
    がもっとパワーや、rpm数や耐久性に影響が出る」
FZR:「なんだか大変そうですね」
狸穴:「そうでもないんだけどね……市販車ベースでマシンを仕
    上げるのであれば、どこまで要求するかだ」
FZR:「レースですか」
狸穴:「詳しく聴いていないので判らん。けど、KSRというこ
    とでそれほど高度な要求は無いと思う。他のマシンより
    多少パワーが出るバンドを広く持たせた設定で、勝てれ
    ば良いのではないかと思う」
FZR:「排気量から言ってあまり低回転は要求されないようです
    けど、パワーバンドは広めの方が勝てる可能性があるん
    ですね」
狸穴:「多分。鈴鹿サーキットとか、FISCOのような最高
    rpm速が要求されるコースではないと思う」

 小さなオートバイでやるレースはあまり広いコースで行われることはない筈だ。
 昔、筑波でやってたSS50、SS90なんていうレースはとても楽しかった。
 その小さいマシンで減速時間を減らして、ロス無く走るということを経験して以来、公道での自爆事故を全く起こさなくなった。
 始めのうちはコーナーに入る度たびにたくさんブレーキを使ったが、慣れて来ると車体が流れることが、ブレーキを掛けることと同じことであることに気がつき、ブレーキを使う率が始めの半分以下になった。
 次第にドリフトさせる量も減り、タイムも上がっていった。
 エンジンやタイヤに負担を掛けないで走る方法もこの時覚えた。
 脚回りのセッティングや、車種ごとのコーナリング時の車体の挙動のあり方とかの基本もコレで覚えた。
 排気量が少ないので少しでも軽量化をするために、使っている身体を42kgまで減量したこともある。
 若かったけれどヘロヘロで、走り終えたあとしばらくは日向に出る体力も温存して、日陰にいた。水分が無くて夏なのに汗もかかないのだ。
 気味の悪い身体になってしまい、人前では脱げなかった。
 一緒に競技中の他のライダーの裏をかくことも覚えた。
 結構いろいろな人が出るレースで、上級者から初心者までたくさんいた。
 上級者とはカウルを当てるまで競り合っても構わなかった。
 サーキットという恵まれた環境だったので、この排気量では倒けてもそれほど大ことに至ることはなかった。
 自分ではそろそろ上位に喰い込めるのではないか? と錯覚した時期もあったが、上には上が更にいた。
 絶対的なパワーで劣る筈の4サイクル車でエントリーしている2台のCB50改のうち、年嵩のライダーに一瞬インを突かれて負けたことが凄く悔しかった。
 後で知ったが、ライダーの格が違ったのだ。

 混み合うサーキットに通っているうちに練習やセッティングを出すため、知り合いのオートバイ屋さんの走行会で初めて750ccとかと一緒のコースを走ることになった。
 当然大排気量車には適わないだろう、邪魔にならないように走らねば。と思っていたが全く負けなかった。このことで、直線の少ない所では車体の軽さということの強さを覚えた。
 それ以後、ツーリングなどで通過する峠では、125とかの軽い車体を持っている者とはコーナーで競り合わないようにすることにした。
 特に、下りではかなわないのだ。
 筑波サーキットを走っていて、参ったこともあった。
 夏になるとコース周辺の池から、大きなカエルがカナシイ目で、団体で出て来る。
 最終コーナーを全開で減速せず入ってゆくのだが、コース脇に一列に並んだ30匹ほどのカエルが全員こちらに向かって待機している。視線が合う。
 次の周回では、このカエル決死隊御一行達が横断する最終コーナーに全開で入っているのだ。
 不思議なモノで、どうしてもカエルを見てしまう。見るとマシンはカエルへ線を引いたように真っ直ぐ進む。
 踏むと思い切り自分が跳ぶ。
 何度も踏んで何度も跳んだ。痛かった。
 目を合わせないようにして入っていっても、やはり踏んだ。
 上手なライダーは特攻カエルを踏まないで済むラインを一瞬で見切って、先にそのラインにマシンを乗せる。
 中型排気量のオートバイになると裏のストレートで速度も乗り、ラインの変更も重い。そのままではカエルをよけられないので、さすがに減速する。
 と、後続のマシンに追突されたりした。
 5回ほど踏んでしまったので、カエルと似たような緑色のレーシングスーツを着てみたが、やはり踏んだ。
 お影で高かった革ツナギは自前の血液も染みて1年でツギハギだらけ。
 風通しも良い。

 こんなことを、前はやっていたのでした。
 今ではコースも整備され、カエルも出て来なくなったらしい。
 んじゃ、どこへ行ったんだカエル隊達は……。

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