Vol.55 夜=自由時間 2000-05-20

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 夜中に走っているのが丁度良い気候になって来た。
 打ち合わせが早めに終わって、時間もあったので久方ぶりに相模大野方面の不良な外人さんもやってくる、友人の経営するレストランへ行ってみた。
 以前少しだけ書いた、あっしの天敵なカタキもたま〜にやって来る店だ。
 店のパーキングスペースには、新旧のH.D.やCBR900やZZ−R1100などの高速機もいる。大きなサイズのオートバイが多い。
 250はFZRだけだ。
 店の入り口に近い所に、デスモドローミックの古い動弁機構を持つドカの900SSが停まっていたので、その横の空いているスペースにFZRを入れる。

FZR:「マスター、ここにわたくしが来るのは始めてですね」
狸穴:「昔は良く来たんだが……俺も久しぶりだ」
FZR:「大きなオートバイが多いんですね」
狸穴:「前からこんな感じだよここは」
FZR:「このあたりは盗難などは少ないのですか? わたく
   しのディスクロックを忘れてますよ……」
狸穴:「まあ、それなりだろうけれど、この店の駐車場では
   まず問題無いと思うよ」
FZR:「ではここで、お待ちしております。ごゆっくり」

 来ているお客が少し普通じゃないので、まずオートバイをここから盗もうという方はいないのである。
 客層が以前と変わっていなければ、不用意に他人のマシンに触れるものもいない。
 店に入ると、店主は相変わらず下を向いてオーダーをこなしている。
 入って来たお客なんぞに、目もくれない。
 得なキャラだ。
 相変わらず野郎のお客が多い店だが、前より女性客の数も倍近く増えている。
 店主に奥さんが出来て、店に出ているからだろう。
 日本人と外国人の比率は半々と変わっていない。
 椅子の無いカウンターにまっすぐ着くと、やっと店主は顔を上げた。

狸穴:「久しぶり」
主人:「あれ……、久しぶり。誰だったっけ、名前忘れた」
狸穴:「マミアナ」
主人:「……そうだった。まだ生きてたんだ。誰かが死んだ
   って言っていた」

 御挨拶な奴である。7年も会ってなければそうも思うか……。
 壁を見ると、以前貼っておいた若い頃のあっしの写真がまだ貼ってあった。
 その頃はもうここの店主は、オートバイから降りてなにも乗っていなかったはずだ。仕事上、手の汚れるオートバイには乗れないとか言っていた。
 なにか他の理由があったのだろう。

主人:「オートバイ?」
狸穴:「そうだよ」
主人:「まだ乗っていたんだ……俺もまたオートバイを始め
   た」
狸穴:「へ〜、何乗ってるの?」
主人:「そこのデスモ。お客が2年間のツケの代わりに置い
   て行った」

 FZRを隣に止めた黒いドカがそうだった。
 店主の手元を見ると指先が黒くなっている。どうせここに来るお客は自分達もそうだから気にはしないのだろう。
 カウンターからほとんど出ない奴が、店の外までマシンを見せてやるとか云いながら出て来た。

狸穴:「ちゃんとエンジン掛けられるの?」
主人:「……たまに掛かる。速いよ。そっちは何乗って来た
   の?」
狸穴:「自分のFZR250」
主人:「なんだ〜? 250、コレ?……アメリカ女て書い
   てある」ワハハ。
狸穴:「そう」
主人:「……何考えてんだ? 脳、怪我でもしたの?」
狸穴:「良いの、コレで。セル付いてるし」

 デスモを改めてよく見たら、全体の配線が老朽化している。前側のキャブもフロートレベルが上がってしまうようで、オーバーフローの跡が付いていた。
 細いフォークのシールも少し抜けてオイルが出て来てる。
 前側のウインカーは装備されていない。
 古いオートバイでまだエンジンが生きてる場合は、大抵このあたりを何とか刷新して調整すれば掛かりも良くはなるだろう。
 点火系の刷新もこの手のマシンには効果的だ。
 昔〜のオートバイでも調整次第で、調子良く走れるのでした。
 だが、エンジン周りの至るところからオイルが出ていた、古いドカではオイルが入っている証拠……らしい。そろそろO/Hしてガスケット全交換だね。

 少しだけ昔の話をして、ちゃんと代金を払って出て来た。
 時間を気にせず、いつでも適当に行きたい所へすぐに行けるオートバイと云う乗り物は、ありがたい。
 夜走るのにも良い季節になりました。ただ、朝が早く来るのは頂けない。
 たまには夜に走るのも良いものです。オートバイにはライトも付いてます。

マミアナ+FZR・店主

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Copyright © Taro Mamiana, COMBINED ARMS 1999-2005.
初出 KGB-NET 2000.