Vol.31 FZR捕獲作戦 1999-10-14

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 ある程度追いつめたところでセッティングしたかったので、身体の感覚を秋水に合わせていたため、FZRにはほとんど乗っていなかった。
 キャブの中の燃料が幾分蒸発していたようで、しばらく燃料ポンプが唸っていたがほどなく安定してセルモータのクランキングですぐに掛かる。

FZR:「外に出るのは久しぶりですね。すっかり涼くなった
   ようだわ」
狸穴:「3週間ほど前は、まだ残暑とか言って暑かったから
   なぁ」
FZR:「秋水様、帰っちゃったんですね」
狸穴:「寂しい?」
FZR:「はい、ちょっと寂しいですね。マスターは1人者
   で寂しくないんですか?」
狸穴:「たまに仕事の打上げで女の子にも言われるけれど、
   渡世人も長いから慣れ過ぎちまって麻痺してる。あま
   り感じないねぇ最近は」
FZR:「ふ〜ん。先日わたくしの後ろに乗せた、おもいっき
   り痩せてる女の人は?」
狸穴:「……あっしの天使ね。まだ若すぎるからもう少し古
   くなって来たら良いかもね、わはは」
FZR:「天使なんですかぁ? それでは手が出せませんね、
   あはは。」
狸穴:「FZRはどうなの? 秋水号は雪風マスターのとこ
   ろに帰って行ったし、もう一台、少しデカイの増やそ
   うか?」
FZR:「あ、F4伯爵ですか? それではまだまだ先ですね。
   マスターの銀行残高判ってますから……」
狸穴:「う〜ん、ずっーと先だな」

 走り出してすぐに感覚がまだ秋水号の状態なので、FZRのトルクの細さがじれったい。
 250/IL4エンジンと云う事を考えれば、我慢するしかないのだ。
 残念ながらリアの脚回りも、剛性感に欠ける。早めにアームを替えるか。
 いずれにしても感覚が戻ってある程度慣れるまでは、タイミングがズレるので要注意。
 3週間程度なれど、乗っていなかったので車体の細かいところが渋い動きになっている。ちょい走れば直る。
 フロントホイールのエアバルブもまだ交換していないのでエアが若干下がっている。ガソリンを入れる際に補給した。
 気温が下がって来ているため、水温計もたいして上がらなくなって来た。
 FZRの場合は車体が小刻みにブレる事はどんな状況でも無く、リーンを始めるにしても重量が軽いので構えなくて良いから楽だ。
 ただ、2サイクルのトルクに慣れてしまっているのでその辺が辛い。
 完璧とは言えないまでもかなり仕上がった秋水の脚回りとエンジンの関係と、今のFZRのセッティングとは基本的に違う。
 秋水はやはり戦車な要素を色濃く持っている。

FZR:「もの足りないんじゃありません?」
狸穴:「それなりの良さがそれぞれにあるから、すぐに馴染
   むでしょ」
FZR:「久しぶりに駐車場から出れて、わたくしは楽しいで
   す」
狸穴:「そりゃ良かった」

 不思議な事に、FZRで適当に流しながら道路を走っていると、極たまに車にすぐ脇を抜かれる事があるのだが、NS400Rではそれが無かった。
 車体のデザインという事もあるかもしれないが、リアビューのボリュームが極端に少ないFZRでは、ナメられているのかもしれない。
 FZRの発している音量もかなり小さい。
 今の高気密製の乗用車では、FZRの走行音は聞こえないのだ。
 速度自体は回りと同じなのだが……。
 走行中に同じ車線内で追い越しを掛けて来た車のフェンダーに5センチまで寄って行ったら、停止してから怒鳴り込んで来たアホがいた。
 降りて横に来て、『ガキの癖に、単車がチョロチョロ邪魔なんだ、危ねぇ!』と言っている。
 危ないのはそちらの方だろうに……。
 頭をドライバーの方に向けて顔を合わせると、あっしと似たような年格好。
 何も言わないでFZRのスロットルを全開。17000rpmまで回せばEXUPも全開なので結構デカイ音は出せるのだ。(秋水のギア抜けで学んだ事でした)
 信号変わったので、少し引いてるわがままドライバーを残し普通にスタート。
 すぐにいなくなってしまった。さよなら。
 R6は結構この手の人が多いのである。

狸穴:「少し排気音をでかくするか? それともアポロのよ
   うに火でも吹くか?」
FZR:「あまり変わらないと思いますけど。マスターのカッ
   コをもっと年齢に合ったものにするとか、威圧的なデ
   ザインにするとかの方が良いのでは?」
狸穴:「あまりゴツイ装備にはなりたくないなぁ」
FZR:「わたくしもですわ」
狸穴:「んじゃ、コレで良いか」
FZR:「はい」

 こう云う点ではNS400Rは楽でした。誰も寄って来ない。

 しばらく振りに乗り出したのは良いけれど……高速道路でお巡りさんに捕獲されてしまった……。
 天気が良かったので、前にも後ろにも注意を祓っていなかったのだ。
 ヌヤワkm/hのメーターをジッと見てました。
 覆面パトカーだった。
 スピードの事を聴かれたので、100km/hと返答。大虚けメ、バイクは80km/hとのこと。
 中に乗せてもらうと最近の車のシートは、後ろの座席もバケット感が凄い事になっているのを体感。
 アイドリングで止まっていても振動ゼロ。こもり音無し。
 エンジンフードの下にはたくさんの馬を飼っているようです。
 ダッシュボードの上には後付けでブースト計と油温計、あと訳の判らん見た事も無いメーターがもう一つ。
 エアコンも鬼効き。
 うちの車とは大違いだ……。
 車内のどこかからたまに聞こえて来る無線では、某新興宗教の所有する車が走っているとか、某核施設の車両が通過したとか……。
 肝心の違反はなぜか、スピード違反ではないとの事……。
コレからナニをしにどこへ行くのかとか細かい事をきかれる。
「国立に打ち合わせ」
 仕事はカメラマンだと言うと、どんな写真をとるのか? 誰から頼まれるのか? 儲かるか?『コマーシャル撮影、芸人さん撮影・企業等・景気は悪い』
 家族構成は?『誰も無し、渡世人状態です』
 結果は、前を走っていた大型トラックに接近しながら長い間走っていたとのことで、車間距離不保持。
 1点の減点と¥6000也。
 先程、前を走っていた平凡なトラックは何を積んでいたのかなぁ?

 撮影ズミのフィルムは無事だろうか?……あっしは、まだ元気です。

FZR:「マスターあの車、わたくしと同じ色でしたね!」
狸穴:「今日一日は安全運転をしよう。今から一日警視総監だ!」
FZR:「では、わたくしは覆面白バイですね!」
狸穴:「……御勝手に」

 金札免許は、また手を擦り抜けて行った。
 コレで良いのだ。

マミアナ+FZR

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Copyright © Taro Mamiana, COMBINED ARMS 1999-2005.
初出 KGB-NET 1999.