Vol.26 なんとあれは! わはは 1999-07-02

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FZR:「お久しぶりです」

 昼に新宿へ必要なものを買いにゆくため、R20の四谷あたりを走っていたら。
 あれ? 前をゆくのは同じFZR……それも資生堂仕様。
 当時の平というGPライダーが男性向け化粧品のイメージタレントとして使われ、そのメーカーから、耐久レースでのスポンサードを受けた事により発生したTECH−21マシン。
 21はたしか彼の選手権時におけるゼッケンナンバーだったかな?
 なんて珍しいマシン……。

FZR:「あらら! TECH」
狸穴:「なんと……良く回ってる」
FZR:「こちらには、気が付いて無いみたいですね」
狸穴:「しばらく走っている所を見せてもらおう」

 薄紫の車体色……この手の色は乗り物にはとても難しい色なのだが、キレイにまとまっている。色も激しくは腿色していない。
 タイヤの黒が程良く効いていて硬い色目じゃないが、デザインを締めている。
 FZR250(2KR)を販売していた当時は、基本色が白ベースと黒ベースの2種類あり、TECH−21/SHISEIDO、AMERICANA/NESCAFEは限定カラーでイロモノ的存在。
 中型のオートバイに始めて乗る人が選びやすいように、とメーカーが用意した当時は、テレビCFなどの影響で、知名度の少しあるとっつきやすい色。
 が、1年したら飽きられ(呆れられ)る車体色……。
(本音を云えば、FZRのアメリカーナ・カラーもカッコ悪く感じていたのだ)
 上位機種にFZR400とかが、本物指向を強く出して販売されていたので、お客さんの中にも長くオートバイに乗っている人から見れば、250にはそういうマシンもあっていいんじゃない? な、見方をされていた。
 両方とも、耐久レース用のオートバイの色をいただいたFZR250だったので、中型オートバイのエントリー・ユーザーには良く売れた。

FZR:「結構速く走る人ですね」
狸穴:「大分、このコースに馴れているなぁ」

 四谷から新宿へ抜ける弾丸トンネルに入るらしい。同じ方向だ。
 交通量が少ないのでトンネルに入る前に一度前に出る。
 トンネルに入る直前の信号に引っ掛かった。
 TECHのライダーがこちらに気がつき、珍品を見る目でじっと見ている。
 改めてこちらもTECHのサイドヴューを見せて頂く。
 TECHのライダーも若くはないようで、お見掛けしたところ30才近辺。
 信号で待っていると他のオートバイが車の間を抜けて並び出した。
 皆こちらの2台に気がついたのか、視線を感じる。
 指さして見ている者までいる……。
 ヘルメット越しに、『テックとアメリカーナだ……』など聞こえて来る。
 う〜ん、若干恥ずかしい〜。動物園状態。
 さすがに2台揃うと目立つ。
 信号が青に変わっても、お互いすぐに出られず、3台ほどオートバイが出た後にやむなくスタート。
 すぐ後ろにTECHが付いているので、並んで走っている状態。
 急いでいる人以外は、他のオートバイは少し距離を置いている。
 トンネル出口で、また信号に捕まった。並ぶ。
 TECHのライダーがシールドを上げて話かけて来た。

TECH:「こんにちは。そちらの、アメリカーナですよね」
狸穴:「ええ。TECH−21、だよね」
TECH:「並んだのは、はじめてだ。調子どうですか?」
狸穴:「いろいろ直して、今は良いですよ」

 会話はこれで終わってしまった。
 信号が青になったので、また走る。
 新宿駅の南口を過ぎ、しばらく行ったところで右に曲がって目的地に向かおうとしたら、TECHも同じ所を曲がって来た。
 少し進んだところのコーヒー屋の前にとりあえず止めて買い物に行き、戻って来たらTECHがFZRの隣に駐車していた。
 見ていると、コーヒー屋から先程のオーナーが出て来て、

TECH:「先程はどうも。もしお時間があれば、一緒にお茶飲
   んでゆきませんか?」
狸穴:「……はい、良いですよ」
FZR:「行ってらっしゃ〜い」

 TECHのライダーは目黒で、音楽関係の事務所をやっているらしい。
 先程はお互い、妙にカッコ悪かったとのこと。
 TECHは1年ほど前にほとんど新古車で買って、気に入っているらしい。
 本来はTECHを奥さんのために買ったらしいが、ほぼ自分の物になっているようだ。
 名刺交換をして、お開き。
 店から出て来ると、スカイウエーブ250を挟んでCBR250Rが止まっていた。
 アンダーカウルには、"OKI"と描いてあった……。
 妙に集まって来ると大変な事になるので、早々に立ち去る。

FZR:「あのTECHはキレイでしたね」
狸穴:「奥さんのオートバイらしいよ。うちも帰ったら洗車
   するか……」
FZR:「はい。この手のオートバイは汚く乗れませんから」
狸穴:「……へい、そのようで」

 資生堂やネスカフェのロゴの入ったマシンは、今後価値が出て来るのだろうか?
 程度次第、というところかな? ……多分、無理だなぁ。
 あと50年も経てば価値も出るか……それまで?

マミアナ+FZR

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Copyright © Taro Mamiana, COMBINED ARMS 1999-2005.
初出 KGB-NET 1999.