Vol.14 進化 1999-05-11

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 インジェクションの事を少しづつ調べてゆくと、安定した電源が必要らしい。
 果たして4組のインジェクターを安定して制御できるのか?
 また、それらの装置を搭載するスペ−スが確保できるのか?
 インジェクターも、FZRの場合回転範囲が広いので辛いようです。
 排気量が小さ過ぎて精度を異常に要求して来るのと、かなりの高回転まで正確に動くものが単体ではない。
 基本インジェクター+高回転域インジェクターが必要。
 小さなインテークポート4個に8個のインジェクターを詰め込むと、エアの流れは、もうどうにも安定しなくなる。
 サージタンクとエアクリーナ通路はどこに?
 高回転をやると云う事は、インテークを極端に短くしなきゃならない、でも限界に近い状態だ。直噴? 一番正確そうで高回転など良さそうだけど……燃焼室が小さ過ぎてノズルを入れる場所がないので無理だ。
 インジェクションに関して勘違いしているのかも知れないが、まだ知識が浅いのと、装置自体を自力で制作する能力がイマイチ足りないので、あきらめる事になりました。
 なかなかうまく行かないものですね〜。
 現在使っているキャブはデフォルトでも濃いので、基本の設定を薄くして足りなくなる状況で、ガスを補助的に供給できるように通路の増設をするのが一番かなぁ?
 EXパイプ(排気管)の内径も少し上げられないものか?
 それよりも、デフォルトで妄想の原因になっているEXUPを再設定するために、データを取らないと。

狸穴:「まずはデータ集めからかな」
FZR:「データがないと先へ進めませんね」
狸穴:「これから先はどうなるか、俺にもさっぱり判らんよ」
FZR:「……」

 制御屋のおっちゃんのところへゆくと、何やら見た事ある機械を持ち出して来た。
 心電図の不整脈を連続して測定する、一昔前の携帯電話のような記録装置だ。改造してあるらしい。これに、メモリーを増設してクランク軸位置センサーと点火パルスと排気脈動圧を同じ時間軸で記録するらしい。
 センサーはそのための手作り品らしいが、どう見てもコンプレッサーの安全装置に使われてる奴と同じだ。点火パルスはイグニッションの一次側から取っている。
 4気筒一度に測定する事は出来ないようで、とりあえず1気筒づつ。
 点火系の電磁波を拾わないのかなぁ?
 何とも大雑把な機械だなぁ。
 人間の回転数とオートバイの回転数じゃ、えらい違いがあるが記録器ごとすでになんとかしてある、とのこと。
 でも、いまだ使用例はないらしい。
 まずは搭載してセッティングを始める。
 何回か回転数を上下しテストして、パソコンに読み込ませ、動いているか調べてみる。
 おっちゃん特製のソフトだそうだが……これもどこかで見た事あるぞー。
 四輪の某改造屋でプログラム作る時に使ってた。
 何台かこれで作ったことがある。デルタのケースを割ったのも、944turboのデータを書き直したのもこれだ。ROMライターに似たようなもの。

 アンダーカウルが邪魔なので、外す。
 車体の下に棒状の突起物が配線を引き回しながら付いているので、走りにくそう。
 4個も付けたら乳牛の乳しぼり吸引機みたいだ。カッコよろしくない。
 アナログなアクセル開度の測定装置も、スロットルのスイッチの部分のビスに挟み込んでつける。昔の四輪のエアフローメータの抵抗機部分をひっぺがしてきた、むき出しのモノだ。これもケーブルで背中に繋ぐ。

制御屋:「このセンサー、マジで高いから絶対にぶつけるな
     よ」
狸 穴:「もう少し短くならんのか? これじゃ倒し込んだ
     ら引っ掛かる」
制御屋:「反対側に倒して測定しろ」
狸 穴:「バンク角が左右で違うマシンって乗りにくくなる
     なぁ」
制御屋:「贅沢言うな」

 とっとと走って来いというので、箱の電源を入れてとりあえず出発。
 気になって仕方がない。
 地上まで4センチくらいしかないのだ。
 ちょっとした段差でサスが沈めば、ケーブルが路面に当たる。

狸穴:「どうだ?」
FZR:「エンジン的には変わりありませんが、……カッコ悪
    〜です」

 車体と背中に付けた装置を、数本の白いケーブルで繋いでいるので目立つ。
 隣に来たバイク青年がけげんそうな顔で、覗き込んでいる。
 測定時間は20分間程度らしい。
 太田区の道を少しペースを上げて走る。R1の品川近辺に来ると車線が増えるので、上まで回転を上げられるようになってきた。
 地元らしいRZ250Rが来たので、しばらく後ろについて走る。
 あいだぬけも馴れたものでスイスイと行ってしまう。遅れずについてゆく。
 あいだぬけで頻繁な加減速をしていたら、センサーがぶつかったらしくモゲて排気漏れを起こし始めた。
 象がおならをしたような音がしているが、高域で妙に調子いい。
 センサーの取りつけ部分の中空ボルトが中で折れている。ありゃ……厄介。
 センサーは50メートルばかり引きずってしまったので、壊れてなきゃいいが。
 運よくリアタイヤで踏みつけずに済んだ。
 とりあえず、すぐに帰る。

狸 穴:「後輪あたりでぶつかって折れた」
制御屋:「大事に使ってくれよ〜。どれ?」
狸 穴:「これ」
制御屋:「んー。つなぎの部分が折れたか、中は大丈夫だろ
     うか?」
狸 穴:「50メートルくらい引きずった」
制御屋:「……壊れていたら請求するからな」
狸 穴:「……やむをえん」

 高い、と言っていたが、どの位するモノなのだろうか? 不安。

 データをパソコンに吸い出して見ると、アクセルを開けていると排圧が掛かっているので、EXUPが開くまでの間、少しずれがあるようだ。
 恐らくダイナモメーターに乗せてみると、そこだけパワーが落ち込んでいるだろう。
 EXUPが開き始めると、回転上昇に伴い排圧も下がったり上がったり。
 しかし、一定時間以上開け続けたような後は、EXUPが全開にもかかわらず、14000rpm以上では排圧が再び掛かって来る。
 サイレンサー部が詰っていて排気が抜けてない!?
 下側での妄想は、EXUPの見当違いとノロ間な反応が原因だったが、上ではサイレンサーのロスが原因だったようだ。
 EXUP自体は低回転域でしか仕事をしていないらしく、なんとかなりそうだが、排気音量の問題があるが、高回転域はサイレンサーをなんとかせねばならないようだ。
 昔、いろんなショップがこの手の、サイレンサーだけのスリップオンマフラーとかいう商品を売っていたが、どれも音がカン高くなり……。
 どうせ換えるなら、思い切ってEXパイプから最後までなのだ。
 デモそれでは、せっかくの厄介物のEXUPが使えなくなる。かといってEXUP付きのモノはどこもだしてなかったな。
 んじゃ、造るか?
 金がない。
 発売からかなり経っているので、今更メーカーに何癖つけて中身の違うサイレンサー部を造ってくれともいえないし……。(編註:以前そういう事件があった)
 風間さんの所へ行って、ディバージョンの右のサイレンサーだけ頂いて来るか……てなわけも行かんなぁ。
 あれならば600ディバに対応しているから、半分の300ccとしても使えるかな?
 わはは。

狸穴:「少し困ったねぇ」
FZR:「サイレンサーですか?」
狸穴:「ああ、EXUPが付いているから、デフォよりも少
    しだけ抜けの良いサイレンサーをいれても低速では
    静か」
FZR:「250インラインフォーの高回転音は、お嫌いです
    か……でもそれ以外の選択枝がないです」
狸穴:「嫌いという訳じゃないが、残念ながら俺のDNAに
    250インラインフォーのデータが入ってない。T
    ESTで試乗する事とお客さんに売るだけだった」
FZR:「普段乗っていても、すぐに6速にギアを上げてます
    もんね」
狸穴:「丁度良い機会だから馴れるよ。調子もすごく良くな
    って来たし」

 最近の燃費は、最悪のキャブがなんとか復旧できたようで、23km/Lで走っている。それでもまだエンジンを守るためか、ガスは濃い目だ。

FZR:「もっと排気量があったらなぁ〜」

 折れた金具のネジ部を外すためにマフラーを分解していたら、EXUP機構の内部に大量のカーボン堆積を発見。
 排気を絞っているうちに排気の流れが渦になり、当たった所で質量の多いカーボンが次第に溜まって行ったらしい。
 EXUPが分解可能になっているという事は、たまに開けて掃除しろということか?
 取れるだけのカーボンをすべて落としたら、また一つ調子が良くなりました。
 こりゃ、低中回転域のガスをすぐに薄くしてやらんと、また溜まるなぁ。
 当時EXUP搭載の400の方も、かなりガスは濃くカーボンの堆積は甚だしかった。
 EXUP自体が、消音を主目的とした機構なので、犠牲とする部分も多かったのか。
 今のR6等に搭載されているEXUPのデータはどうなっているのだろうか?
 知りたいが誰も乗ってない。
 先日、乗った時に聞いておけば良かった。R6は良いマシンだった。
 その前に鈴鹿まで乗った心臓がブラックバードのビモータ(テスト車?)は、もっと良かった……。

 次はデフォルトでの点火時期のデータを手に入れなければ、メーカーだな。

マミアナ+FZR

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Copyright © Taro Mamiana, COMBINED ARMS 1999-2005.
初出 KGB-NET 1999.