Vol.12 強化人間(タイトル改題) 1999-05-03

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 昨日はCBR600F(’97USA)改と街中を一緒に走行。
 CBRのオーナーは、動体視力・神経伝達スピード・筋肉反応速度・肉体発生パワーの立ち上がりが強くて速い状態の、天然強化人間状態に近い異常体質の人体。
 CBR600F改も中身は別物。アメリカ本土のレースパーツで組み直された筋鋼入り。
 はっきり言って、バランスを取り直した程度のFZRでは手も脚も出ないのだ。
 とりあえずこのCBRにどこまでついて行けるか引っ張ってもらう事となりました。

狸穴:「減速だけは間に合わないから、後は少しハイペース
    で前走って」
強化:「いいの? 一応7000rpmまでに抑えるよ。オ
    カマ掘らないでね〜」
狸穴:「そうしてくれると、ありがい。たまに前出るから、
    その時にこちらの車体の挙動を見ておいてくれる?」
強化:「あいよ!」

 さすがにアメリカで走っていた時点で、すでにハイチューンしてあるCBRだから速い! 車体の動きもしっかりしている。
 多少日本のガソリンと設定が違うので吸気が若干合っていないが、それでもついてゆくのが苦しい。
 高速道路では……300ccまで排気量上げて、過給せんと間に合わないなぁ。
 発生トルクに3倍以上の差があるので、アクセルを開けるタイミングを予測して、若干こちらが早めに開けておかないと一気に離されてしまう。
 いつも単独で走っている時には、7000rpmまでしか使わなかったが、今日は7000rpmから上しか使えない。
 14000rpmから上で吸気がついて来なくなり、排気もEXパイプ(排気管)の容積が足りない事が判って来た。
 EXパイプの容積が足りない上に、EXUP自体が邪魔をして、排圧が掛かり過ぎているのだ。
 そのため、14000rpm〜18000rpmのパワーが棒ノビになっている。
 3速以上のどのギアでも同じ事が起きている。

狸穴:「FZR250RRのキャブと排気を持って来ないと、
    上が詰ってるね」
FZR:「さすがにCBR600Fには、ついてゆくのがやっ
    とです」(かなり手加減されてますが……)
狸穴:「キャブの口径もあと2ミリ上げないと、上で付いて
    こなくなるな」
FZR:「もともと私は乗り易さを重視されているので、そこ
    までの戦闘能力はありません。点火時期とカムも高
    速化しないと……」
狸穴:「基本性能差は年式も排気量も違うし、どうにもなら
    んな」
FZR:「コース状況が限定されればなんとかなりますが……
    これ以上は持ちません」
強化:「ついて来れるとは思わなかったよ。小さいけれど頑
    張るねぇ」
CBR:「マンホールや、路面の段差が細かい所を減速しなが
    ら曲ると、車重と剛性が裏目に出て、差が詰められ
    ました」
FZR:「その状況でも、ブレーキをもっと効かせた上で加速
    しながらだと、もうかないませんわ」
狸穴:「もっともだ」
強化:「こっちがアクセル開けるタイミング予測してた?」
狸穴:「ああ、かなり早めに開けていたから追いて行けた」
強化:「でも良くエンジン回ってるみたいだねぇ」
FZR:「中速域の7000rpm〜13000rpmまでだっ
    たら、タイミング次第で追い上げられますが、それ
    以外では安全マージンを稼げなくなり始めます」
強化:「そりゃそうだよ、うちのもR−1やCBR1000
    あたりを相手にしたら、気を抜けないもんね」
CBR:「14000rpm〜18000rpmがもっと使える
    と、かなり楽に付いて来れるんじゃないかな」
FZR:「ええ、でも放熱が間に合わなくなりますし、フレー
    ムが辛くなります」
狸穴:「ラジエターに加えてオイルクーラーの増設か……」
CBR:「こっちもラムエアが、ダイノジェット組む際にネッ
    クになりましたよ」
強化:「そうだった。もう、なかなかセッティング出なかっ
    たなぁ」
狸穴:「CBRはあとは日本のガソリンに合わせれば、もう
    少しつながりが良くなりそうだ」
CBR:「それが……難しそうです」
狸穴:「そっちのマスターにまた頑張ってもらえば?」
強化:「そこが問題なんだよ……なかなか簡単に合わなくな
    って来ている」
FZR:「マスター、あまり刺激されないで下さい。私、持ち
    ませんから」
狸穴:「そうだよなぁ……まあぼちぼち。350ccも排気
    量に差があれば、比べても無理はあるな」
強化:「走行中の挙動の件だけど、リア周りが少しモタ付い
    てるね。あとは問題ないみたいようです」
狸穴:「年式もフレーム強度も限界あるからね、そのあたりも
    これから考えながらやるよ」
FZR:「マスター、TZR250のアームですか? ゴツ過
    ぎるし長過ぎますわ」
狸穴:「まだずっと先の事だし、それ以前にやる事たくさん
    あるからなぁ」

 なんだか、CBR600F改と走っているとFZR250をFZR600改(編註:以前某作家のFZR600を手がけたことがあった。最高傑作だそうである)と勘違いしてしまい、感覚的に妙な感じです。
 FZR250はFZR250なのだ。

狸穴:「CBRどうだった?」
FZR:「手加減してもらったけれど、すごいですね」
狸穴:「特にあの個体はね。乗ってるのも普通じゃないし」
FZR:「あの人何者ですか?」
狸穴:「天然の強化人間」
FZR:「人間にもいろんな種類があるんですね」
狸穴:「オートバイにもね」
FZR:「……」
狸穴:「今度また筑波サーキットでもう一度CBRと一緒に
    走ってみる?」
FZR:「そうですねぇ……ハンデがあればもう一度お手合わ
    せ願いたいなぁ」
狸穴:「本気? セイバーマリオネットのチェリーが、西ス
    ポの無敵テムジンと闘うよなものだけど……」
FZR:「頑張りますわ!!」
狸穴:「壊れないでね」

 すんでのところで、妙な相手を基準に思考してしまうところだった。
 ……危ない危ない。
 こういうお仕事は、雪風★中尉の秋水(編註:ウチのNS400Rのこと)にお願いしておこう。

マミアナ+FZRvs強化人間*CBR

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Copyright © Taro Mamiana, COMBINED ARMS 1999-2005.
初出 KGB-NET 1999.