第三次改装 1999年9月〜10月実施


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アプリリアRS250にチギられた『アプリリアショック』により、エンジンのスープアップを決意。
同時に車体周りのチューニング

古今のパーツ供給事情を考え、耐久性重視の方向性でいくことになりました。


<チャンバーの加工>
 熟考の末、チャンバーをノーマル加工にすることに決定しました。(NS400R PLAZA!!での情報は大変参考になりました)

 まず、スペアとして確保してあった後期型チャンバーをプラズマカッターで溶断、中のパンチングメタルや仕切板等を全て取り出します。
 次にチャンバーの排気側テールエンドに、スダレ状に加工した48ミリ長のパイプを溶接し、チャンバーの脈動効果を調整します。
(デイトナサイレンサーを使う前提でのセッティングデータです。スダレ状加工は有効でしたが、間違うと焼き付く可能性が極めて高くなるので注意してください。またノーマルサイレンサーでは絶対に行わないでください
 最後に二つに開いたチャンバーを元どおりに溶接して、耐熱塗料で再塗装して作業は完了です。
 なお定番となっている、チャンバー入口に溶着されているスリーブの除去は行いませんでした。これは排気温度が高くなりすぎ、ピストンまわりに問題が発生する可能性が高くなったためです。

 作業でわかったことは、もともとのチャンバー設計が高速チャンバーということでした。低速を排気デバイスで補うつもりだったからでしょう。

 この加工による効能は、7000rpmからの吹き上がりと排気脈動効果がよくなり、馬力と反応速度が、かなり向上しました。
 副産物として、結構な軽量化になります。また音もうるさくなります。(音自体は調整が進むにつれ、マシなレベルになりました)

 なお費用ですが、Jhaチャンを新品で買うよりは安くあがりました。
 当然のことながら作業事情により、焼き付きの可能性は高くなります。充分気をつけてください。

〔チャンバー加工写真〕

 この加工を試す場合には以下の点に留意してください。

1:溶断の際には、可能な限り切りシロを取らないでください

 そうしないとチャンバーの容積が減り、設計時の性能を発揮できません。
 理想はプラズマカッターですが、どこにでもある設備ではありませんので、工場と相談してください。なお、サンダー等による切断は切りシロが大きくなるうえ、切粉がシリンダー内部へ吹き戻った場合、焼き付きの大きな原因になります。

2:作業中の火災に注意してください

 中古のチャンバー内には、燃え残ったオイルがかなり付着しています。溶断中に間違いなく引火しますので、作業前によくチャンバーを焼いておくか、慌てず延焼しないように務めましょう。

3:溶着には腕のいい職人さんにお願いしてください

 なにせ物が薄い鉄板の上、切りシロの関係で、開いたチャンバーを元どおりにきっちり溶着するのは、かなり難しい作業です。ほんの少しの穴があってもダメなのですから。
 今回の作業では、一度目ではうまくいかず、やり直しています。

 

<エアクリーナーBOXの加工>
 チャンバーに合わせて、エアクリーナーBOXのフタにある、エアインテークパイプの一部をカットしました。状態は写真を見てください。

〔エアクリーナーBOX加工写真〕

 耐久性等々を考慮して、エアフィルターはノーマルのままです。
 この加工は、セッティングが出ないと焼き付きの危険性があります。作業の際には注意してください。

 

<エンジン>
 シリンダーヘッドを全気筒0.3mm面研し圧縮比を向上。
 オイルライン・冷却系はすべてのパイピング、クリップ類を交換しました。
  特にオイルラインのインシュレータへの供給パイプ(部品番号 95001-30055-40 フェールチューブ 3×55 このパーツは現在供給中止中なので、内径3ミリの共通部品を注文し、切って使って下さい。アフターマーケットパーツは、熱による劣化が著しいため使用不可)は、経年劣化により接続部からエアを吸うため、車検時ごとにクリップ類もまとめて交換したほうが良いかと思います。

〔オイルライン参考図〕

 リードバルブはノーマルを使いました。無論新品です。
 カーボンバルブ化は棚上げ状態です。(どこかにレーザーカッターを持っている工場は無いですかね?)

 ピストンはベアリング・リングまとめて新品交換しました。
 パーツは3種類ありますが、ウチのは3気筒ともAピストンでした。パーツ発注の際には「A」「B」「C」と3種類ありますので、注文前に確認してください。シリンダー排気口付近に刻印があります。
  3気筒とも同じ品番のピストンを使ったのですが、困ったことに重量がかなり違っていたため、重量バランスと重心を取り直しました。
 品質管理に問題があるような気がします。

 シリンダーは三番のみ、軽い傷が入っていたため、交換するかどうか悩みましたが、交換しませんでした。
 傷の原因は、ATACチャンバー内の付着カーボンが吹き戻ったのが原因ではないか? と考えられます。
 うーん、第一次改装の際に分解清掃してから、5千キロ程度しか走ってないのですが……(一回うっかり入れられた低品質すかたんオイルの仕業が濃厚)

 そのほか、ATACにカーボンが堆積し、バルブがきちんと閉まらなくなっており、ソレノイドとのリンクが曲がっていたため、修正および清掃を行ってあります。

 それから、アバウトなことにシリンダーヘッドの冷却水口と、ガスケットに空けられた冷却水口をきちんと合わせてありません。ありていに言って、一部塞いでます。
 今回ガスケットを加工する時間的余裕がなかったので、ほおっておきましたが、手を入れたほうが良いかと思います。

<キャブレター>
 Jha製口径28mmのビッグキャブとノーマル口径26mmを試した結果、今回はノーマルキャブレターをベースに、徹底的に精度を出したものを採用しました。

 あれこれ試した結果ですが、NSのエンジンは三気筒ではなく、一気筒のエンジンを三つ束ねて使っているという考え方をしたほうが早いようで、三気筒全てのジェッティングやパーツの合わせ位置などが全て違います。
 分解して組み上げるとき、例えば1番シリンダーについていたキャブのパーツを、2番や3番につけたりしないでください。確実に調子が悪くなります。

 精度を出すために、空けてある穴などを一旦埋め、再度穴を開けなおして使用しています。
 現状のセッティングデータは以下の通りです。

 

メインジェット #122  
スロージェット #38  
パワージェット 1番気筒 #88  
2番気筒 #92  
3番気筒 #88  

 

 正直言って、マニュアルのセッティングデータが一番でした。ノーマルのチャンバーを加工しているためだと思われます。
 ただし、番数は一応#122とか書いてますが、気筒ごとに少しずつ穴を調整してあり、むりやり表現すれば#122.5番とか、#122.3番とかになると思います。
 なおジェット類の加工は、かなり面倒な上リスクを伴うため、お薦めしません。作業を発注する場合には、レース活動をやっているスピードショップに依頼してみてください。普通のバイク屋には頼まないほうがよいかと……思います。

 セッティングは筑波サーキットで弾き出しました。三日間でキャブ脱着を50回以上行ったそうで、作業を請け負っていただいたメカニックの方々は大変お疲れさまでした。ありがとうございます。
 実はこのへんで資金が尽きたため、完璧な状態のセッティングが出ていません。(ノーマルキャブを使用する場合のベストは出ています)
 最終段階では1番3番が28mm、2番のみ26mm径のキャブを組み合わせるのが最良ではないか? という基礎データを得たのですが、資金に余裕が出てから試したいと思います。

 セッティング中のデータでは、最高パワー100馬力以上(ただし多大に問題あり)というのもありましたが、今回の改装では70馬力強、トルク約6キロ。レブリミット11000rpmという状態です。

 

<フレーム>
 ハイサイドを起こしたり、凍結路面で転倒したりしていたため、フレームの修正を行いました。
 右舷被弾3、左舷被弾1で曲がるというか、歪んでおり……前輪と後輪のセンターが12ミリズレていました。
 修正ついでに、ステムヘッドの対地角を26.50度に変更しました。

[1999.11.07追加修正]

 

足回り

<TRAC再調整>
 呆れた欠陥機構のTRACですが、できるだけフラッターを押さえ込むため修正を加えました。
 何が発生するかは〔TRAC問題〕に記しますので参照してください。

 作業はTRACの可動するキャリパーサポート(部品番号 45210-MJ6-016 L.フロントブラケットCOMP)の上部の支点部分に圧力をかけ、広がった支持部を締めます。
 次にボトムケースの取りつけ部を実測し、精度「」の公差で取りつけます。(キャリパーサポートの支点部分を締めた後に、削って精度を出してください)
 取りつけの際にはブラケットスリーブ(部品番号 51536-MB2-000 フロントキャリパーブラケットスリーブ)を必ず新品にしてください。(できればボルトやシール類も)
 うまく加工できれば、ほぼブレやフラッターは出なくなります。

〔キャリパーサポート参考図〕

 これはブラケットとボトムケースの強度不足が、一番の直接的な原因です。TRACの問題点と現象は別にまとめましたので、そちらを参照してください。
 ただし、この加工は非常に面倒です。工賃や手間を考えますと、ブラケットとボトムケースを新品に交換したほうが安く上がると思います。

 作業後エンジンパワーの大幅な向上により、リアサスセッティングを見直した結果、TRACの効きを1レベル強くし、ノッチ位置2にしてあります。

 

<リアサス再セッティング>
 強化されたエンジンパワー(主にトルク)に対抗するため、再セッティングを行いました。
 反応速度をあげて、全体的に固めにしました。
 なお、二番排気管の熱でやられていましたので、オーバーホールしています。(熱対策を現在検討中)

 

<二次減速比の変更>
 ノーマルの減速比では街乗りで3速以上使わないため、機械的に弱い2速が多用されるのを回避するために、前後のスプロケを変更しました。
 ついでにチェーンサイズを520へ変更しました。

フロントスプロケ NSR'87年型 純正 15T
リアスプロケ   ジェイド用 AFAM 43T
二次減速比    2.867

 これにより最高速度が210km/h程度(理論値)になりましたが、街中で四速が利用できるようになり、ミッションに対する負担が減ったと同時に、コントロール性が向上しました。

 

そのほか

<盗難防止装置の搭載>
 最近治安が悪化しているため、ページャー対応の盗難警戒機を導入しました。
 当然、ハーネスがないので結構大変でした。
 本体はなんとかリアカウル内に収まりましたが、別体の送信ユニットは一寸無理がありましたので、サブフレームに止めてあります。アンテナはフレームから絶縁してタイラップで固定しました。

 

試せなかったこと

<ATAC関連>
  排気デバイスのATACはセッティングを出す際のガンとなりました。バルブが前閉か全開しかないという、熟成が全くされていない、試作品みたいな機構だからしかたないのですが。
 さらにサブチャンバーの容積が足りないことが、なんとなくわかりました。
 スリーブというかゲタを作って、容量増加を狙う予定でしたが、資金切れで後回しです。
 またRCバルブ搭載化計画という話も出ましたが、シリンダーを作る最低ロットの問題で寝ています。

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